ラビの一族は昔から蛮族の爪弾き者だった。
蛮族でありながら、歴史の記録と観察を自分たちの使命とし大破局の直後からそれを行ってきたと言う。
彼の親はウィークリングとして誕生したラビの事を疎む事も無く、人族社会に紛れ込ませることが可能なラビの生誕をむしろ喜んだ。

ラビ自身もまた、ウィークリングとして生まれた故か蛮族特有の思考を持つことなく親の理念に同調する。
自身が半端な存在として生まれた事を天命の様にも感じていた。
親たちは、蛮族社会の歴史を。
自分は、人族社会の歴史を。
それぞれ見聞きし、記録に残し後世に残す。
多面的な観察を行うことでできるだけ真実に近い過去を紡ぎ、歴史そのものを自分たちの家系に刻んでいく。
過去に幾度も失われた文明と、忘れ去られた神々への供養も兼ねて。

しかし、成人を迎えたラビが自身の役目を全うしようと親元を離れ人族の社会で生活を始めた辺りから、彼の心情に変化が訪れる。
人族が暮らす街は、一言で言うと活気に溢れていた。
人々は喜怒哀楽を表に出し、またそこから行動を起こし日常を謳歌する。
嬉しい事、楽しいことばかりでないのは勿論だが。
殺伐とした蛮族社会(蛮族の中に溶け込めていないのでそれでもマシな方)で生活してきたラビにとってはその光景そのものが青天の霹靂だった。

────ああ、人族って面白ぇな────

彼の一族は、見聞きした事を記録し後世へと語り継ぐ歴史の語り部である。
だが、ラビはただそれだけでなく人族の生き様を未来へと遺したいと考えるようになった。
要は、彼自身が人族の事を気に入ったと言う事なのだ。
ラビはアルフレイム中を旅して色々な街を巡って人族の生活を観察していった。

人族に紛れて生活するようになって数年。
ラビは己の本分と、自身の想いの両立を果たす為に大破局の再来の渦中へと向かう事を決心した。
目的地はハーヴェス王国。
その国のとある冒険者ギルドが矢面に立って奮闘していると風の噂で聞いた。

────受け入れて貰えるかはわかんねぇけど、それじゃあ俺も行ってきますか！────

こうしてラビは月狼亭の扉を叩く事になった。

・人族観察
・人族との会話
・残された歴史の見聞

【経歴】
・一所に5日以上滞在したことがない
・引きこもっていたことがある
・役に立たない得意技がある

【冒険に出た理由】
・親に言われて