“外道魔女”スカラ(スカラ・ヴェローチェ)
- 知能
- 契約に従う
- 知覚
- 魔法
- 反応
- 契約による
- 穢れ
- 10
- 言語
- なし
- 生息地
- なし
- 知名度/弱点値
- -/-
- 弱点
- なし
- 先制値
- -
- 移動速度
- -/20(浮遊)
攻撃方法(部位) | 命中力 | 打撃点 | 回避力 | 防護点 | HP | MP |
---|---|---|---|---|---|---|
なし | ― | - | ― | - | 100 | 100 |
特殊能力
●基本能力
○剣持たざるもの
[種族特徴]を持つキャラクター、及びそのキャラクターが所有・使役する騎獣や魔神などによる攻撃や魔法等の効果によって、HPが「0」以下にならず、気絶・睡眠・放心などと言った状態の異常の一切を受けません(数値的なペナルティ修正は無視できません)。
○無剣の誓約/覆夜黒翼
戦闘開始時、この魔物を起点として、「半径30m/すべて」の範囲内にいる[種族特徴]を持つキャラクターそれぞれに、「100」点の「守護翼ポイント」を与えます。「守護翼ポイント」を得た対象と、対象が所有・使役する騎獣や魔神は、この能力以外の「○無剣の誓約」から一切の影響を受けません。
この効果を受けた各キャラクターは「守護翼ポイント」を記録しておき、消費する度に現在値を確認できるようにしておきます。
「守護翼ポイント」は対象と、対象が所有・使役する騎獣や魔神などによる判定や、発生させるダメージの上昇・被ダメージの減少の為に消費出来ます。
消費の点数は、判定やダメージ決定の出目を確認した直後に、対象が任意の値を宣言します。全て1回の判定及びダメージ決定ごとに有効で、判定においては1点ごとに5点、ダメージ決定においては1点ごとに1点の消費となります。
各行為判定における達成値の上昇(1回につき20点=達成値+4まで)
HPに与えるまたは被る物理ダメージの上昇・減少(1回につき10点まで)
HPに与えるまたは被る魔法ダメージの上昇・減少(1回につき5点まで)
また、戦闘中、「守護翼ポイント」を与えた対象が生死判定に失敗し、死亡するとき、それぞれの対象につき一度だけ、即座にその生死判定を自動成功に変更させることができます。
その後、その対象の「守護翼ポイント」を「20」点だけ増加させます。
○奪われた力
“外道魔女”ヴァレンタインにより、その力を大きく削がれています。現在、この魔物は戦闘に耐えうる能力を喪失しています。
誓いを共にした仲間がヴァレンタインを追い詰めることで、その力を徐々に取り戻していくでしょう。
“外道魔女”ヴァレンタインのHPの現在地が最大値より「50」点減少するごとに、「●追加能力」のうち任意の一つずつをヴァレンタインから取り戻してゆきます。
取り戻した能力は、ヴァレンタイン側は使用不能になり、この魔物の持つ「○無剣の誓約/覆夜大翼」により「守護翼ポイント」を得た対象全員が、それぞれに所持する能力となります。
この能力でヴァレンタインからすべての「●追加能力」を取り戻した後、「守護翼ポイント」を持つ対象のうちだれか一人は、補助動作を用いて、武器〈夜明けの剣〉を取得・装備することが可能となります。
●追加能力
○黄昏の冠羽
手番中、通常の主動作に加えて1回だけ追加で主動作を行う事が出来ます。
この能力は、戦闘中に1回だけ使用できます。
≫逢魔時の瞳
このキャラクターが判定を行う直前に宣言することで、その出目を「12」が出たものとして扱います。
ただし、自動成功としては扱われません。
この効果は1ラウンドに1回、戦闘中に合計2回まで使用できます。
○宵の口の嘴
戦闘中、各ラウンド毎に、このキャラクターが初めてHPを持つキャラクターから
「20」点以上の適用ダメージを受ける時、その適用ダメージを半分(端数切り上げ)に減少させ、
更に「この効果で減少させたダメージ」点の確定ダメージを、ダメージを発生させたキャラクターに与えます。
この効果による確定ダメージでは、相手のHPは「0」を下回りません。
○夜半の翼
戦闘開始時、このキャラクターはHPとは別に「20」点の追加HPを得ます。
この追加HPは【ホーリー・ブレッシング】等で得たものと同様のものとして扱います。
この追加HPが「1~10」の間、このキャラクターは「○飛行」を得ます。
この追加HPが「11~20」の間、このキャラクターは「○飛行Ⅱ」を得ます。
○闇夜の風切羽
このキャラクターの行う命中力判定、及び「抵抗:消滅」に該当する魔法の行使判定や効果等において、
ダメージのみを発生させるものを、「抵抗:半減」として扱います。
≫夜更けの鍵爪
このキャラクターがダメージ決定で2dを振る、もしくはこのキャラクターに対してダメージ決定で2dが振られる際、
そのダメージ決定を2回行い、任意の方を選択してダメージとして適用します。
一度に複数のダメージ決定が行われる場合、その中の任意の一つを選んでこの効果を適用します。
この効果は1ラウンドに1回、戦闘中に合計3回まで使用できます。
≫丑三つ時の尾羽
戦闘中、任意のタイミングで、受けている効果一つを選び、HPとMPを「魔物レベルまたは冒険者レベル」点消費する事で、その影響を即座に解除できます。
この効果は1ラウンドに1回まで使用できます。
戦利品
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解説
スカラ・ヴェローチェは、絶海の孤島バンケット島に生まれついた、ナイトメアの少女だった。
魔神信仰が蔓延り、生贄の因習を守り続ける異常の島にあって尚、穢れ持ち……特にナイトメアは、酷く忌避される存在であった。
誕生の際にその角で母胎を切り裂き、母の命を奪ってしまった彼女も、当然にその例には漏れなかった。
彼女がその目に初めて映したのは、深い失望と憎しみの籠った父からの視線であり。
物心ついたときには、島を護るとされる“異形の神”への“花嫁”……事実上の生贄として、捧げられることが決定していた。
齢にして6歳の時である。環境への強い反発心を抱き、手の付けられぬ訊かん坊と化そうとも、まだ恋愛のれの字さえわからない少女を“花嫁”として神へと捧げる儀式は、滞りなく進められようとしていた。
その意味が理解できなくても、自分の命が己の嫌う連中に良いように使われる事に納得できないでいたスカラだったが、そんな彼女は思わぬ形でその押し付けられた役割から解放されることになった。
そう、島へと“正当な花嫁”の系譜たる、ディアマインド夫妻がやってきたのだ。
ヴァレンシア・ディアマインドは、その血筋の証明として、“異界の神”との交渉を行い、“婚約”の儀式の日程を10年先に延ばして見せた。
そして、信用を勝ち得たヴァレンシアが自らの娘こそが“正当な花嫁”である、と宣言したことで、スカラが生贄に捧げられることは永遠になくなったのだ。
この時、スカラは、強く、強く、感謝した。たとえその母親が行ったのが、邪悪な野心に基づく利己的な行動だったとしても。
まだ齢3歳のフェニーチェが右も左も分からず母親の言う言葉に従っただけだったのだとしても。・
それでも、確かにスカラという一人の子供の命は、彼女らによって救われていたのだ。
たとえ“正当な花嫁”の系譜であったとしても、島内の人間の穢れ忌避は強く、島外の住民がいきなり島の重役に収まる事への不安もあって、フェニーチェは母の目の届かない所でひどくいじめられており、それはある意味でスカラにとっては都合がよく働いた。
同じ穢れ持ちの被差別層というシンパシーを得られ、か弱いフェニーチェの代わりに丈夫なナイトメアの肉体を用いて矢面に立って差別に立ち向かったことで、スカラはあっという間に母子の輪の中に受け入れられたのだ。
数年もすれば、フェニーチェは勿論ヴァレンシアからさえも、全幅の信頼を置かれる数少ない存在になっていた。
しかし、悪意は何度でも弱者を踏みにじる。
母の願いの為に、己の好奇心さえ抑え込んで“花嫁”に成る事を決意したフェニーチェの為、自分も本心を押し殺して彼女を護る翼となる事を誓ったスカラ。
その誓いもつかの間。そのスカラ自身が築いてきた信頼を、島の大人たちの悪意に利用され、フェニーチェを穢されてしまう。
自身の無力さと世界の理不尽に慟哭しながらも、スカラはディアマインド母子とこの悪意渦巻く島を脱出しようと決意した。
しかし、いくら16歳になろうとも、人同士の大きな争いの起きない孤島で、十分な武器も振れずにいたナイトメアにできる事など、たかが知れていた。
彼女の立てた作戦はいともたやすく失敗し、“婚約”の儀式が不成立となった罪を問われたヴァレンシアは火刑に処されてしまった。
しかして、ヴァレンシアは火にその身を焼かれながらも生き延び、逆に魔神との契約を交わし、己と娘を傷つけた「男性」すべてを皆殺しにする殺戮の魔女へと転じてしまった。
その狂気は島からの脱出を目的とするだけのスカラとフェニーチェにさえ向けられ、そしてついには死を待つしかない状況に追いやられてしまったのだ。
――そして、少女は魔神へ剣を捧げた。
こんなクソッたれな世界への、最期の反抗を込め。自分とフェニーチェと共にあった魔神へと、禁忌の契約を交わしたのである。
自分という概念が、この世界から塵も残さず消失してしまおうと。
いつか必ず……その翼が、愛するヒトを、夜から攫いに来てくれる。
そう、信じていたのだから。
以上の人生をもって、彼女の名は決定された。
バンケット島のナイトメア、スカラ・ヴェローチェなぞ過去の幻。
その名を“人面鳥”、或いは“外道魔女”スカラ。その夜より深き漆黒の翼をもって夜空を覆い、ただ一人の少女のために時を刻み続ける、夜明けを待つ鴉である。
……もし。彼女の生きた証をこの世に取り戻せるものがいるのであれば。
それは、ほんの幻のような一瞬であってさえ、彼女と共に同じヒトを護り、誓いと思い出を共有した……或る冒険者たちのみだろう。