首都キングスフォールの北西部。カルメンテ駅から徒歩20分の距離にある石造りのアパート。その3階、角部屋の先に僕は住んでいる。カーテンの間隙から差し込む朝日を浴びながら、僕は何時もの様にわざわざハルシカ協商国から取り寄せたコク深いコーヒーをゆっくりと淹れる。砂糖やミルクは入れない。が、チップ型のチョコレートは2つ入れさせていただく。マグノアの宮廷にも出されるダークチョコレートだ。此れを入れることによって、コーヒーの余分な渋味が緩和され、コクを残したまま朝でも飲みやすい味わいへと変化する。

「ふぅ......。そろそろ新作を考えないと」

小説と云う物は如何にもハイカルチャーに類されるようだ。アル・メナス時代の多くの印刷技術が失われ、書籍の普及が技術的に困難になったことが一般的に話される要因だが、僕は単純に「本」が高額品になっていることも、小説がハイカルチャーへと成った要因であると考える。20頁程度の白書が、30ガメル(3,000円)もするのだ。それを更に僕の様な文芸人が手を加えれば......必然と小説や詩歌集の購読者は上流階級層に絞られる。まぁ、それ故に彼らが僕ら文芸人のパトロンとなり、生活クオリティに磨きがかかるのだが。

だがパトロンを維持し続けるには、彼らの興味関心そして期待を抱かせ続けなければならない。勿論、僕が書きたいと思ったものを綴るのが大前提だが......読者のニーズに応えるのも重要だ。そして総じて高貴な読者は、普通は体験しないようなアドベンチャーやアクションを好む傾向がある。僕もそういったジャンルは好みだ。理由を語るには些か冗長が過ぎるので割愛するが。

「......？」

小説を書くにはインスピレーションが必要であることは言うまでもないだろう。そして先のアクションやらの素材を集めるには、矢張り冒険者に体験談を訊くのが一番手っ取り早い。だが問題があるとすれば、如何にも冒険者と云う者は......少し臭う。少し語弊がある言い方をしたが、鎧を着て魔物と戦い且つ野宿した冒険者の集団とすれ違った時、男女関係なく中々にワイルドな香りがしたことを覚えている。勿論、依頼に出かける前や普段から身嗜みに気を遣っている者からはそう気になる匂いはしないが......。友人から勧められて僕も冒険者の資格は取り敢えず手に取っておいたのだが、先の問題も有り普段から僕は取材に行く時も実際に仕事をしてみる時も、もう何十年も前から愛用している香水を付けて出かける。そして其れが今日、遂に無くなった。

「途中で寄って行くか...」

冒険者ギルドに立ち寄る前に、このカルメンテの隣、アウンガルテンにある実家であり香水専門店でもある「カルンシュタイン」に寄って行く。如何にも高級店感を醸し出す店内に入ると、今年で163歳になる母スティリアが笑顔で出迎えた。今日も今日とて、何処かの資産家か重役か、はたまた異国の貴族の為に新作の香水を作っている。

「あらシュシュ！今日はどうしたの？もしかして「何時もの」が切れちゃった？」

「相変わらずの直感力だね......。まぁでも合っているよ。また1本同じのを宜しくね。それはそうと僕はもう47だよ？もうシュシュって呼ばれる年齢じゃないさ」

「シュシュは何時までもシュシュよ」

小さく息を吐き、僕は50ミリリットルで140ガメル(14,000円)する「ディープブルー」と云うシプレ調のオードパルファムを手に取る。僕が日常的に使う唯一の香水だ。だからと言って他のを持っていないという訳ではない。5時間は持続するこの香水は上品で、端整で、少しフェミニンさを感じられるものの木材やコケ類の奥深いウッディさが香る、そんな僕好みの香水だ。

手に入れる物を手に入れて、次は適当な冒険者ギルドへと向かう。執筆活動に専念できるよう、特定のギルドに専属はしていない。その方が様々な冒険者に取材が出来る......そんな魂胆だが。

「そう言えばシュシュ、冒険者の資格を手に入れたって聞いたわ。大丈夫？危なくないかしら？」

「矢張りもう識っていたんだね。まぁ資格は確かに取ったかな。でも安心して。仕事は実力相応のものを選ぶし、教養だった弓術も今じゃすっかり実戦向きになったから。それに......作品にリアリティを与えるには、僕自身が実際に体験することが重要だから」

「それでも、それでも無理はしちゃダメよ？」

「勿論さ。母さんや父さんを悲しませたりなんかしないよ。...僕の最古参ファンなんだからね」

『個人色』
・ワインレッド：B33E5C
『キャラクリエイト』
種　族：アルヴ　生まれ：学者
基礎値：技10　体5　心10
能力値：A.1D6 B.1D6+3 C.2D6+3 D.2D6 E.1D6+6 F.1D6
《2023/07/26作成》
①5[5]+(3[3]+3)+(4[1,3]+3)+8[4,4]+(6[6]+6)+1[1] ＞ 39
②5[5]+(1[1]+3)+(6[4,2]+3)+6[1,5]+(4[4]+6)+6[6] ＞ 40
③6[6]+(2[2]+3)+(2[1,1]+3)+4[2,2]+(1[1]+6)+4[4] ＞ 31　　　②を選択

《戦闘系》
2D6+7　【生死判定】
2D6+9　【魔物知識判定】
2D6+5　【先制判定】
2D6+7　【生命抵抗判定】
2D6+8　【精神抵抗判定】

2D6+9+1　【命中判定：2Hヘビーボウ(矢)／狩人】
2D6+9+1　【命中判定：2Hヘビーボウ(徹甲矢)／狩人】
2D6+9+3　【命中判定：2Hヘビーボウ(徹甲矢)／狩人】秘伝：横睨みうち

2D6+0　【回避判定】

K27+10@10　【2Hヘビーボウ(矢)】
K22+10@9　【2Hヘビーボウ(徹甲矢)】

《探索系》
2D6+10　【真偽判定】
2D6+9+1　【真偽判定／オーサー】
2D6+10　【聞き込み判定／シューター】

2D6+6　【隠蔽判定】
2D6+6　【解除判定】
2D6+6　【スリ判定】
2D6+6　【変装判定】
2D6+6　【罠設置判定】
2D6+5　【受け身判定】
2D6+5　【隠密判定】
2D6+5　【軽業判定】
2D6+5　【登攀判定】
2D6+5　【尾行判定】
2D6+7　【足跡追跡判定】
2D6+7　【異常感知判定】
2D6+7　【聞き耳判定】
2D6+7　【危険感知判定】
2D6+7　【探索判定】
2D6+7　【天候予測判定】
2D6+7　【罠回避判定】
2D6+9　【見識判定】
2D6+9　【地図作製判定】
2D6+9　【病気知識判定】
2D6+9　【文献判定】
2D6+9　【文明鑑定判定】
2D6+9　【宝物鑑定判定】
2D6+9　【薬品学判定】
2D6+9　【執筆判定】
2D6+9　【創作判定】
2D6+9　【家系知識判定】
2D6+9+1　【社交判定】
2D6+9　【作法判定】
2D6+7　【威厳判定】