騎乗術の名門、ベルデライト家の三男。
三男である彼も兄らの例に漏れず、ライダーとしての英才教育を受けてきた。
中々に整った容姿と、どこか愛嬌のある雰囲気のため社交界などでの人気は中々に高いとかなんとか。
複数の女性から告白を受けたこともあるが、「まだまだ若輩者故、色事にうつつを抜かすことはできないのです」と断っているらしい。もったいない。

そんな彼の夢は最強のライダー「竜騎士(ドラゴンライダー)」となること。
ベルデライト家の家長は歴代皆竜騎士であり、アルハロトが憧れとする父、並びに長男もまた、竜騎士である。
いつか竜の背で戦うため、アルハロトは騎獣を駆る。冒険こそがライダーを最も成長させると知っているからだ。

…が、そんな彼唯一といってもいい欠点。それは「極度の方向音痴」。
騎乗術は素晴らしいものがあるのだが、想い込みの激しさとまっすぐな性格、そして「考える前に動く」を信条にしている所為で、「迷った時はとりあえず向いてる方に真っ直ぐ」を実践。結果目的地と正反対の方向に走り出していることもしばしば。
魔剣の迷宮等入り組んだ地形は言わずもがな。かつて参加した探索隊では、いつの間にか一人孤立してしまい、三日三晩を騎獣と共にくりぬけたとか。
一応毎回迷った時も、最終的に味方と合流したり、目的地に到着したりは出来ているらしいが…騎獣の賢さ故だというのがベルデライト家全員の認識だ。
家族はとても生暖かい目で彼の成長を見守っている。

アルハロト・ベルデライトの経歴表
経歴1：告白されたことがある
経歴2：未だ叶わない夢がある
経歴3：魔剣の迷宮で迷子になったことがある
冒険に出た理由：最強の存在になるため

〇：自動発動　▶主動作　▶▶補助動作　△戦闘準備で可能　・その他

〇騎獣強化
　騎獣のコア部位の命中力・回避力+1
〇探索指令
　ライダー技能+知力ボーナスで足跡追跡、異常感知、危険感知、探索、罠回避の判定が行える。
〇高所攻撃(超高所攻撃)
　騎手や同乗者の物理ダメージ+2
〇攻撃阻害
　騎手や同乗者の回避力+1。
〇人馬一体
　騎手が騎乗状態でも両手が使えるようになる。
〇獅子奮迅
　騎獣が２部位で攻撃できる。この効果使用後、１ラウンドの間騎獣の回避力-2
〇特殊能力解放
　騎獣の特殊能力スキルが使用可能になる。

ティルグリス
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=AGGURq

全て補助動作

▶▶怒涛の攻陣Ⅰ
　攻撃系　ランク１　陣気+1
　1ラウンドの間、使用者以外の味方キャラクターの物理ダメージ+1
▶▶怒涛の攻陣Ⅱ：旋風
　攻撃系　ランク２　陣気+1
　1ラウンドの間、使用者以外の味方キャラクターの命中力+1

騎獣と聞いて人は何を思い浮かべるだろうか。
やはり一番に来るのは馬だろう。速く走るために進化した流線型の肉体と、柔らかくも力強い筋肉。馬の背に乗り颯爽と駆ける姿はそれだけで絵になるというものだ。
幻獣まで含めるならばやはりペガサスは外せない。地を駆けるのみに飽き足らず、空をも駆けようと手に入れた翼。優雅に空を跳ねるその姿に心弾ませる人もきっと少なくはない。…ああ、ペガサスといえば、以前似てるからという理由でユニコーンに乗りたいというライダー見習いがいたが…アレは気分屋過ぎて乗れる人間が限られるし、手懐けるのもとてもじゃないが不可能だ。
近頃であれば魔導機も忘れてはならない。残念ながら未だ縁無く、乗ったことはないが、生物とはまた違う景色を見せてくれるという。走る様を一度見たことがあるが、たしかに生身の騎獣では有り得ない規則的なあの駆動は常とは異なる興奮を覚えるに違いない。
その他にもティルグリス、リザード、ディノス、ラクーン…騎獣というのはかくも多種多様だ。
だがやはり、私が騎獣と聞いて最初に思い浮かべるのは…

「兄様！帰っていらしたのですね！」
廊下の先で歩いていた黒服の一団の中に親愛なる兄の姿を見つけた私は、傍目も気にせず廊下を駆け抜ける。
黒服達の間を縫い、兄の腰に抱きつこうと…したところで体か宙に浮く。
「おお、アル！さっき帰ってきたところだとも」
小さな私を持ち上げた兄…トールトラス・ベルデライトは朗らかな顔でそう言った。
身長の二倍以上の高さに持ち上げられた私の体が黒服達の中心をぐるぐる回る。
「兄様！高い！高い！」
「はっはっは！いずれアルもこれくらいの高さになる！今のうちに慣れておくべきだ！」
…確かこの時点で兄の身長は190を超えていた筈だ。…今尚届く気配はない。私もそこまで低いわけではないのだが。
ひとしきり回して満足したのか、兄は私をゆっくりと床に降ろす。回る視界に足元がふらつく。
「はっはっ。不甲斐ないぞアル。この程度で目を回しているようだと…騎獣の上だと天地がひっくり返ってしまう」
「しょ…精進しまふ…」
ふらつく体が周りの黒服の人に支えられる。
当時の兄は若くしてエユトルゴ騎兵国の騎兵隊の第三部隊副隊長を務めており、彼らはその第三部隊の騎兵隊員だった。ベルデライト家と騎兵隊は関係が深く、中には家系に連なるものも多い。彼らの何人かは顔見知りだ。
「トール様そろそろ」
「ん、ああそうだな。ではまた後でなアル」
「待ってください！」
隣の騎兵に声をかけられ踵を返す兄を呼び止める。
兄はこういう時でも首だけ向けるのではなく、しっかりとこちらを振り向いてくれる。
「今回はいつまでいらっしゃるのですか！？」
「ん、あー…」
期待の眼差しを向ける私に、兄は気まずそうに目をそらす。
私と兄は年が多少離れている。当時の私は10歳、対し兄は22歳。だから兄というよりも父に向けるものに近い尊敬と親愛を抱いていた。ライダーギルドで理事を務める父が兄以上に中々家に帰らないのも相まって、より一層その感情は深いものとなった。
つまり構って欲しかったのだ。