ブルライト地方のある川と湖の近くにある人間とエルフの多い村に生まれたリナは普通のエルフの女の子でした。
周りより身長が小さいことを気にすることもありましたが、そのうち気にしないようになりました。

妖精使いとしての才能があったリナは妖精と遊ぶことがあり、
そんなある日のこと、天気の悪化に気付かないまま村を離れてしまいました。
気付けば豪雨になり嵐のように風が吹く中、村に戻る余裕ないと判断したリナは以前見つけた洞窟で雨宿りをすることにしました。
既に全身ずぶ濡れで、かといって服を脱ぐ気にもなれず、強く降る雨の音と冷たく濡れた服が肌に張り付く感触だけに意識が向いていました。
そして時間が過ぎる中ふとリナは思いました。思ってしまいました。
この冷たさいいな、と。
思い返してみると水浴びが好きだった。寒い日に外に出るのが好きだった。氷にずっと手で触れているのが好きだった。
そんなことに気付きながらも、体が冷えすぎた結果か雨の中走った疲れからか自然と意識を失いました。

幸いリナがいないことに気付いた大人たちによって無事保護され、数日体調を崩した程度で済みましたが、
気を失っている間に知らない声が聞こえていた感覚と何か説教されていたようなうろ覚えの記憶が残りました。
リナはあの冷たさはあまりよくないものなんだなと幼いながらに理解しました。

それからしばらくしてやっと自分に呼びかける"風と雨の女神"の声に気付くのですが、それはまた別の話。