A-2-2 裕福な家に生まれた
C-3-5 決して手放せない小物がある
C-1-4 かつて従者がいた

2-1 探している人がいる

私は町で一番大きな家の３女して生まれた。
だけど私はナイトメアだった。
それでも忌み嫌われる存在であった私を家族は受け入れてくれた。
そして従者のレンリ。
私より3歳上の青年で、私が8歳の時に雇われた。
彼は太陽のように眩しい笑顔ととても穏やかな性格で、初めは驚きこそしてたものの彼は私のことを人間の女の子として扱ってくれた。
外部との接触の少ない私が彼を意識し始めるのはそう難しいことじゃなかった。
いつか彼と一緒になりたい、そんな思いが強くなっていたが…。
私が17歳のころ町に蛮族が攻めてきた。
私はすぐにレンリとともに地下の逃げ道から逃がされたが、ほかの家族は嫁ぎに出ていた次女以外は皆殺しにされてしまった。
私とレンリは次女の嫁いだ家へ助けを求めたが私がナイトメアだったばっかりに門前払いされてしまった。
それからは何とか連絡の取れた次女から少しのお金と衣服を送ってもらい町に住むこともできないため町はずれのボロ家を借りそこへレンリと二人でなんとか暮らしていた。
そして私が20歳になった日、レンリは宝石でできた髪飾りを残していなくなってしまった。
町へ探しに行っても見つからず住人からは石を投げられた。
それでもあきらめなかった。
何日も何日も、町へ足を運んだ。
そんなある日、衛兵からある噂を耳にした。
なんでも奴隷商人が町へ来ていたらしい。そして彼らが町を出ていくと同時に何人かの住人が姿を消してしまったのだという。
頭が真っ白になった。
彼は攫われて奴隷にされてしまったのではないか。
もしそうなら早く見つけ出して助けないと。
そうして私は旅へ出た。
レンリを見つけるために。
私の片翼を取り戻すために。