18年前、エル生誕
　このときがエルに対する大衆のネガティブな感情のピークであった。エルについてあらぬ噂が飛び交っていたが、エル父（前王）が「エルがナイトメアであること、そしてエルの王位継承権を剥奪すること」を明言した。エルの扱いはこれ以上名言されなかったが、エルが王位継承に関与しないことが確定したこと、そしてエルが表舞台に現れないことから、大衆のエルへの興味は少しずつ薄れていった。
　エルは生かされた。しかし、エル父はエルと会おうとはせず、…

14年前、ルカ生誕
　弟ルカの生誕は大々的に発表され、大衆の興味はエルからルカへと移った。それからも重要な祭事などにルカは出席したがエルは出席しなかったため、ますますエルについての話題は減少していった。
　エルは王城で引きこもっている間に周囲の噂や陰口を聞いてしまうことがあり、…

3年前、エル成人、式典でスピーチ
　式典自体はそもそも参加をあまり広く募っておらず、大衆の興味も薄れていた。しかし、スピーチの内容がライフォス教の信条に反すると容易に捉えられるものであったため、スピーチの内容を直接か噂で聞いた人が再び嫌悪感を持ち始めるきっかけとなった。
　成人が近づいたころ、エルは、エルが生まれたときの父の行動を父の気持ちになって考えた。穢れを持ち、存在するだけで王家の信頼を損なう自分を、生まれた瞬間に殺す選択もあったはずだ。それでも父は、…

?年前、エル、バワ＝エペシを拾う
　バワ＝エペシの存在については、…
　エルは、バワ＝エペシとの共闘時、彼のことを奇妙な巡り合わせの相棒と考えていた。ガルーダを倒した後、２人は別れてそれぞれの生活に戻る選択肢もあったが、…

?年前、エル父逝去
　

・アルゲエーヴァ家の血統には、魔神や“奈落”の影響力を感じ取る力があるが、彼にはその力が全く現れていない。
・スフバール聖鉄鎖公国の求める、“魔神の力に頼らずとも魔神を倒せる存在”を意識しており、召異魔法や武具のアビス強化に頼らないで戦うことを好む。
・王位継承権の剥奪は、セレブロの法律では「王の同意のない婚姻」を咎める形をとる必要があったが、エルは単にナイトメアに生まれただけであったため、剥奪ができなかった。そのため、エルが生まれてすぐに自分の意思で放棄したこととした。
・エルは王族に生まれながら王にはなれないことを受け入れている一方で、何者かになりたいという欲があり、その欲が王座を狙う方向に向かわないように、そして他者に『エルが王座を狙っている』と扇動するきっかけを与えないように、意識的に言葉を選んでいる。
・戦闘力があることを明言しない理由は、自分が大手を振って活動すると穢れへの忌避感から反発を受ける恐れがあると考えたからであり、誰かから強制されたものではない。
・エルの15歳の誕生日に初めて公開で記念式典が催された。参加者は少なかったが、式典の形にはなった。
・エルの住む別荘はセレブロの壁にいくつかある門の１つの近くにあり、エルはその門の守衛の役割を与えられている。

　国民の皆様、初めまして。本日は私、エル・アルゲエーヴァの成人記念式典にご参加いただき誠にありがとうございます。今は包帯で隠していますが、角を持つナイトメアです。
（中略）
　最後に、この場をお借りして、２つ私の境遇について述べさせていただきます。まず１つは、私のこれからの立場です。私は生まれてすぐに王位継承権を自らの意思で放棄しました。成人となった今も、王位を望む意思はありません。弟のルカが、次代の王としてこの国を導いてくれることを期待しています。そして、爵位については、名目上“王族公爵”を賜りますが、実際は領地を持ちません。働いて稼いで生きる、その意味で平民と同じ身分となります。住居も、ここ王城ではなく、別荘に移ります。
　もう１つは、私を含むナイトメアの境遇についてです。ナイトメアの持つ穢れは、多く溜まるとアンデッドになってしまうという点で忌避されています。また、この角が出産のときに母体を傷つけてしまい、家族に疎まれる原因となってしまうことがあります。これらの内容は研究により事実であると分かっています。しかし私がここで強調したいのは、穢れは蛮族の残忍さとは無関係であるということです。セレブロには蛮族との争いの歴史があり、穢れを蛮族の代名詞と考えて嫌う声を今まで多く聞いてきました。しかし、穢れを持つ人を「何をしてくるか分からない」などと差別することは間違っています。今一度、穢れとはどういうものか、改めて知る機会を持っていただけたら幸いです。

From Noon Till Dawn ♪

エルはあまり人前に銃を出さず、戦闘力があることを明言していない。〈蒼き甲冑亭〉でも依頼を受けていないため、公で知られる形で名誉を獲得しているとは言えない。そのため、冒険者ランクは獲得していないものとし、エルの戦闘力を知らない者からは一般人と思われるということにする。しかし、名誉を得るに足る実績を上げているため、必要があれば個人にその実績を明かすことで、レギュレーションの名誉点を使用することができるものとする。

ルカはエルの戦闘力、思想、趣味などを全て知っている。メリエンヌ、ダグラスは、王国の特殊部隊の仕事に招集された際に武装したエルと会う機会があり、エルが特殊部隊の存在であることを知った。リーゼリットは、エルにいたずらをしようとあまり人の来ない練習場に入ったところで銃を構えたエルを見つけ、エルが銃を扱えることを知った。なお、この事実をエルは口止めしようとはしなかったが、弟のルカが口止めした。