｜惑星眼《プラネットアイズ》
小星落とし
イーグルアイ

「ここがハーヴェスですか…とっても大きな町ですね！！…え、ちがう？？？」
「リベルどこに行ったの…まったく、私がずっと見ていないとすぐどっか行っちゃうんだから！！」
「難しいことは分かんないですけど、蛮族と邪教徒は駆逐すべきだと思います」

天然でかなり抜けている性格。
しばしば常識では考えられない言動をとるが、指摘されればすぐに直す根は素直な良い子。
普段の態度は実年齢より幼い印象を与える。
蛮族や第二の剣の信者に対しては強い恨みでもあるのか、かなり苛烈な態度をとり、見つけ次第殲滅しようとする。
蛮族と会話できるが、話すだけ無駄だと思っている。
芸術の都マカジャハットの孤児院出身ということもあり、芸術には明るい。
とりわけ絵画に関しては、プロに近いレベルの技量を持ち合わせている。

上記のように愚鈍な人間を装うが、それは自らが自らの出自を自覚しないためのある種の自己防衛であり、人並み以上には聡明。
自分が蛮族の生まれであるということに強烈なコンプレックスや不安を感じており、蛮族であることを隠すためにたびたび「人間」であることを主張し、蛮族退治に積極的に参加する。
「蛮族である」ことを自覚しながらも、そのことを自分自身にも他人にも嘘をついて、悟らせないようにしている。

かなり重量のある両手剣を振りかぶり攻撃するアタッカー構成。
一応神聖魔法も使えはするが、レベル１どまりなので回復魔法はまだ覚えていない。あとMPが少ない。
→4/17のセッションで使えるようになる。とはいえ、回復量はそんなに多くないしやはりMPが少ない。

エイリー：孤児院の教育係であり、自分の名付け親。敬虔なシーン信者。学者でもあり、ウィークリングという特殊な種族についても知っていた。
リベル：エイルが孤児院に住む前から居たルームメイト。リカントの少女でエイルと同年代くらいの見た目。捨て子であったため実年齢は不明。エイルの種族について知っている数少ない人物の一人で、親友。ともに冒険者になり、ハーヴェスを目指して旅に出たが、いつの間にかはぐれてしまった。しっかり者で抜け目ない性格。

ある朝、私は“揺れ”で目が覚めた。

いつものあの過酷な日常が、虐げられるだけの一日がまた始まる。
そう覚悟して開いた眼には強烈な光が差し込む。
目も開けていられないぐらいの光、太陽の光。それを“見た”のは初めてのことだったのかもしれない。
やっと光に目が慣れてきて、周囲の様子がぼんやりと見えてきた。自分が横たわっていたのは敷き詰められた柔らかい干し草。巣で無残に朽ち果てた人たちが持っていたのと同じような器具がその上でちらりと光る。
きょろりと周囲を見回すと、誰かが向かい合って、私の顔を覗き込むようにして座っていた。
それは「××××××××」と知らない言葉を投げかけた。
幻影でも何でもない、初めて見る生きた人間･･･
そう、生きている人間。
それがこうして言葉を発している…初めて聞く人間の声。
私たちはこの人間たちに“負けた”、そう理解するのに時間はかからなかった。
そしてあの忌まわしき“日常”は完全に破壊され、もはや戻ることはないのだとも。

それから起こった出来事は、あまり覚えていない。
特段興味もないことだった。どういうわけか生きているが、敗者である自分に課される宿命などたかが知れている、いやというほど知っている。だから考えないようにしていた。
それがどういうわけか、生きている。生き続けている。
十分な食事と清潔な衣服、そして小さいけど綺麗な部屋を与えられた。
決まった時間に起こされ、決まった時間に食事をとる。
そして決まった時間に、目の前に書物を持った人間が現れて、ぺちゃくちゃと何かをしゃべっている。
彼女は私に、人間の言葉を教えているのだと、ゆっくりと理解した。
彼女はエイリーというらしい。

そんな新しい穏やかな日常の中、自分の姿を見た…いや、あれは「鏡」というもの。どういう原理か、その目の前に立った人物の姿を写し出す道具。
ふと違和感を感じた、そういえば、私の右目はなぜ開いてないんだろう。
気にしたこともなかった、なぜって、ずっと暗闇の中で暮らしてきたから。両目を開けたとてさしてものは見えない。そういえば昔、右目にひどいけがを負った気がする。
でもそれもずいぶん前のことだ、今はもう直っているだろう。そう思い、右目を開けてみた。

金色に光る眼が鏡に映し出された。

なぜ右目だけ？
そういえば、群れの仲間もこんな目をしていたような？
そんなことを考えて鏡をじっと見ていると、横からにゅっと手が伸びてきて、右目を覆い隠した。
「×××××だめ×××…」そんな慌てたエイリーの声がした。

「だめ」･･･だめ？何が？
エイリーは周囲をきょろきょろと見回して、周りに人がいないのを確認すると、私の目を抑えながら無理やり彼女の部屋に引っ張っていった。
彼女は戸棚をガサゴソと漁り、眼帯を取り出し、私の右目に当てる。私の頭の後ろでしっかり止めると、向き直って、こう何度もゆっくりと繰り返した。
「外す…ダメ…」
なぜ？とはいえ、理由を聞いたとしても分からないだろうから、その時私は何も言わずに従うことにした。

それから数か月が経って、言葉をある程度理解できるようになってから、自分の置かれている状況を理解した。
自分はこの、“シーン”という神様の教会にある孤児院で、人間として保護されているようだ。
そしてエイリーは自分の目についてこう話してくれた。
「あなたの目は、バジリスクの目…それを人が見たら、きっとみんな怖がって、あなたにひどいことをするわ。だからその眼帯でずっとかくしておきなさい」
そのときは、その言葉の意味が良くわからなかった。

それからしばらくして…
ある日、エイリーが一人の少女を連れて部屋にやってきた。
「今日からこの部屋で、あなたと一緒に暮らすことになるわ。よろしくね」
そういってその少女を私の前に突き出す。
猫のような耳に大きな目、茶髪を三つ編みにした活発そうな小柄な少女だった。
「私はリベル、よろしくね！」
そうして新たなルームメイトとの生活が始まった。

彼女はとても物知りだった。
この施設のこと、この町「マカジャハット」のこと、芸術のこと、冒険者のこと、そして蛮族のこと…
活発な彼女に連れられて、町のいろんなところを見て回った。
「いつか、こんな町の中だけじゃなくて、世界中を冒険してみたい」
そんな話を彼女はよくしていた。

「エイリーに止められているんだけど…」
広場の催しを見終わって、周りの客もさあ帰ろうかと腰をあげているとき、彼女は遠慮がちに聞いた。
「エイルのその眼帯の下って、どうなっているの？」
そのとき私は、特に深い考えもなしに、眼帯を取り去った。
…エイリーは確かに、眼帯を取るなとは言った。でも、ただ眼帯を取って、右目を見せたくらいで、なんだというのだろう。
その程度にしか思っていなかった。
リベルをその双眸で見る。彼女の顔が、片目で見るよりも幾分もくっきりと見えて…
その顔色は少し、恐怖に引きつっていた。