容姿・経歴・その他メモ

「仕事はまぁ、程々に手を抜いて。余力を残しておくのが大事だと思うんスよね」

ケルディオン大陸の地方小都市、リカントの街レオポリス。
さまざまな種類のリカントが共同生活を送るこの街の衛兵は、同時に市長の率いる傭兵団の一員でもあり、時に冒険者として方々に派遣されることがある。
パッチは市中の見回りと外壁警備を担当する｜平《ヒラ》の衛兵である。
いつも薄笑いを浮かべ、気さくに市民に挨拶して回り、見知らぬ旅人とも世間話に花を咲かせる友好的な青年だ。
ただ衛兵としての勤務態度はあまり真面目ではなく、巡回中に寄り道をして商店でおやつを買う、喫茶店のテラス席で堂々と居眠りするなど、同僚からはその軽薄さを咎められることも多い。
彼曰く、「何事も本気でやるのは疲れますから。気を抜ける時に抜いとくのが大事なんス」とのこと。

「え、出兵？どこッスか？……いや、行きたくなくて訊いてるわけじゃないッスよ」

一方で上官に能力の高さは買われており、戦場では遊撃部隊の一員として特殊作戦に携わることが多い。
戦場でも変わらず軽薄に笑い、前線に立って戦況を切り拓く彼は部隊のムードメーカー的存在として一目置かれることもある。……もっとも、後で平常時の気の抜けた姿を見て幻滅されることも日常茶飯だが。
一人でいる時はとても静か。
夜間の城壁警備の際、真面目な面持ちで遠くを見つめている姿を仲間にからかわれることがしばしばある。
彼はレオポリスの生まれではない。傭兵団の遠征の際、拾われた孤児である。

「どうあれ、オイラの帰る場所は一つしかないッスから。」
「傭兵団の名を挙げることがオイラの居場所を、みんなの街を守ることに繋がるんなら、真面目にやるッスよ。程々にね」

故郷を逐われたリカントの集うレオポリスの街に、彼のような境遇を持つものはけして少なくない。
ちぐはぐな寄せ集めであっても、レオポリスは1つの群れである。街の住民は家族、傭兵団として働くことが彼にとっての孝行であるがゆえ、パッチは槍を取る。

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