オレの本当の親は、オレが生まれる前に事故で亡くなった。会ったこともないしそこまで悲しくはなかったけど、それでオレを迎えてくれた義理の親がちょっと苦手なタイプだったな。

その義親は可愛い娘が欲しかったらしくて。フリフリのドレスを着させられて、家でお淑やかに育てようって感じだったんだけど、オレはどちらかといえば動きやすい格好の方が好きだったし、外を走って風を感じる方が好きだったんだ。
家の中はほんっとうに窮屈で仕方なかったよ。家で食べる高級料理より、街で食べる串焼きの方が何倍も美味しく感じた記憶もあるな。まぁ、すぐにバレて大目玉喰らったからそれ以来食べれてないんだけどさ。あ〜あ、また食べたいな。
親はその事実を隠すために、「うちの娘は知的で素敵な淑女だ」って近所に言いふらしてたみたいなんだ。あははっ、そこまで見栄を張りたがるなんて逆に面白いよね。

一応拾ってくれた恩もあるし少しは耐えてたんだけど…もう成人しちゃったし、流石にやりたいことをやっていきたいと思って窓から抜け出しちゃった。ふふふ、きっと今頃慌てて探してるんだろうなぁ。でも捕まってあげるつもりはないよ。だって、やっと家の外に出られたんだよ？これから自由な人生が待ってると思うと、胸が高鳴って仕方ないんだ。
【経歴】近所では1番の物知りだった、家族から探されている、忘れられないほど美味しいものを知っている
【冒険者になった理由】自由のために