１：この天地は一つではなく、数多の一の集合体。狗、飛ぶ獣、天使、悪魔、人の子、老いたる者、等しく一。ならば己が意志で立て。――さぁ、世界に試練を与えよう。

２：ボクから目を離せない。ボクが踊るから歌うから、崇めて信じて祈りたくなる!拒めない?だったらもう、ボク以外壊すから!――じゃあ、世界に試練を与えよっか!
３：黙れ。言葉は功罪を生む。沈黙だけが平等を創る。口を噤み、等しく生きよ。功を求むは、首を刈る。――よって、世界に試練を与える。
４：己こそ真の邪悪。畏れ、油断、甘え、弱さ、全ては己の心。対峙せよ。目覚めぬのなら、心と眠れ。――今、世界に試練を与えん。
５：世界はワタシの下に在る。踵で爪先で捻り潰して、塵と灰。格を越えねばワタシに隷属、間抜けな獣――――アハッ!世界に試練を与えてあげる!
６：決して絶えることなきよう、命は耐えた。そして増えた。ならば、その在り方こそ核である。畏れるな、滅びなど有り得ない。永劫に耐えれば良い。――然らば、世界に試練を与えてやろう。
７：愛し合わないか。パトスの海に滑らかな種を墜とせば、染み付いた欲望はもう剥せない。――嗚呼、世界に試練を与えるよ。
８：満ちることは世界の敵。飢えれば欲す、欲せば進む。故に簒奪、よって略奪。そして餓え、渇きなさい。――それでは、世界に試練を与えます。
９：知の雨に濡れそぼる者よ、何処へ行く。意思、希望で、何故偽る。装い、嗤う。曝け出せ、深奥を。本質、本能、本当を。――では、世界に試練を与えるとしよう。
１０：ごきげんよう、無知蒙昧。世界が無垢に笑うから、貪り尽くしてしまいたい。恋に狂えば酸いを知り、壮丁になるものだから――――そうね、世界に試練を与えてしまいましょう。