引きこもっていた事がある。
魔物に襲われた事がある。
命を救われた事がある。
自由の為に。

少女はイーヴを信仰する騎士の家に生まれた。
同じ年生まれの姉がいる。
姉はあまり評判が良くないらしく、家に過ごす事が多かった。
オレはオレで病弱だった為、外出を禁じられ自然とお互い一緒な事は多かった。

姉には神官としての才能が有ったようだが、オレには何も秀でた物は無かった。
幼い頃、姉を庇う為か放っておかれる事が多かったオレは、
窓の外の遠い景色に想い焦がれたものだ、この広く穏やかな地平線をどこまでも飛べる・・・
そんな鳥の様になってみたいと。

・・・ある日を境に父の行方が分からなくなった。
そして後を追うようにして姉も屋敷を去っていった。
母親は何も語ってくれない、何も無かったかのように淡々と時間だけが過ぎていく。
オレの生涯はこれからも、この鳥籠の中・・・。
そんな事はもう耐えられない。
今思えばきっかけが必要だったのかもしれない。

オレはただただ、当時の生活が嫌だった。
何も見えず、ただ与えられるだけで、鳥籠の中からエサを与えられるだけの日々。
与えられるだけ与えられて、共に過ごしていた者が去っていくのを見送るだけ。
ため息をついた次の瞬間、オレはろくな荷物もまとまらないまま窓から飛び降りた。

花畑を越え、森に入ると段々と心細くなってきたものだ。
魔物に襲われ恐怖に死を覚悟した事もあったが・・・
幸運にも通りすがりの冒険者によって事なきを得た。
どうしたものかと困っていたので、オレはとっさに嘘をつく。
「冒険者になる為に冒険者ギルドを目指しているのだ」と。
こうしてオレの旅は幕をあげた・・・何一つ持たないまま。

あれから１年くらいだろうか・・・
北へ北へと放浪し続け、気付けば今やセントラルへとたどり着いた。
ここには昔のオレを知る者はいないはず。
今では剣の腕も上達し、風の精霊と心を通わせ加護を得られる様にもなった。
魔神を殺せば、殺しただけ人々はオレを必要としてくれたし、私が生きる為にその行いは必要だった。
オレは日々、戦い続ける。
斬って、斬られて、最後には立っている。
ただただ生き抗い、自由を叫ぶために
これまでも、そしてこれからも。

いつまで続くのか・・・ここが私の求めた空の景色だったのだろうか。
何故オレは戦っているのだろうか・・・そんな事をふと考えてみる。

オレは孤独だった。
ここで戦い、人々に称えられる事が嬉しかった。
そしてこのオレの今の姿を・・・大切な人に見つけて貰いたかったのだと今になって気付く。
心配して欲しかった。
褒めて欲しかった。
抱きしめて欲しかった。
だが・・・待ち人は今日になっても現れはしない。
テメエの剣が折れるのが先か、待ち人が現れるのが先か。
幸いにして敵は尽きる事を知らず。
オレはただただ今も、此処に居る・・・。

名前の由来
ドイツ語で「刃物の舞手」
ヴィーナスとラブ、愛に焦がれ、孤独(ビーナスの誕生から＝生まれる時と死ぬ時は１人)から。

１：魔力撃、武器習熟Ａ
３：なぎはらい
５：マルチアクション
７：回避or頑強
９：変幻自在or武器習熟Ｓ　回避と薙ぎ払い置き換え