容姿・経歴・その他メモ

アイザック・ハザード（Izaac Hazard）

　戦士の青年。テラスティア大陸北端、ザルツ地方は“橋の国”ダーレスブルグ公国出身。
　一般家庭に生まれたごく普通の人間だが、幼少期に“騎士神”ザイアの声を聞き、自らの意志で公国騎士団に入団した。神の奇跡を授かっている点と謹厳実直な人柄を高く評価され、二十歳を過ぎた頃に王子（正確には公王アルフレートⅢ世の令孫）付きの近衛兵に任命された。平民階級の出の者としては相当の躍進である。
　当時の近衛兵団のなかで最年少の騎士として務めを果たしていたアイザックは、王子と比較的年齢が近いこともあって随分と慕われていた。王子が宰相や教師に相談しにくいこと――勉強が難しいとか、街での生活について知りたいとか、同年代の友達がほしいとか――の相談相手になっていたのである。アイザックも、王子が冠を戴く日まで、そしてそれからも騎士でありつづけることを心に誓っていた。
　アイザックが近衛兵に任命されてから五年ののち、泰平を保っていた公国を災禍が襲った。事が起きたのは、王子の十歳の誕生日を記念した祝賀会。王子の節目の年ということで広く国民を招いて開かれたパーティは城内の中庭で盛大に催されていたが、そのなかに間者が――レーゼルドーン大陸から渡ってきた複数のバジリスクが紛れ込んでいたのである。宴酣の時、示し合わせたバジリスクたちは一斉に行動を始めた。まず近衛兵団ほか騎士団の者を真っ先に石化させると、続けて王族、市井の人々を次々に石に変え、石像と化した彼らの身体を使って門を鎖した。会場は大混乱に陥り、石像に潰されて圧死する者、群衆に圧されて窒息死する者、石化した状態で倒れ身体が破砕する者で溢れかえった。この時、アイザックは王子の傍に控えていたが、初めて魔物を目前にした彼は恐怖で足が竦み、王子を背に庇うのが精一杯であった。アイザックを除く公国騎士をすべて石に変えたバジリスクたちは王子を四方から取り囲み、立ち塞がるアイザックを一蹴に付すと王子を攫って去っていった（見たものを無差別に石化させる目を持つバジリスクを前にしてアイザックが石にならなかったことは、彼が文字通りに「見向きもされなかった」ことを意味している）。
　暫時失神していたアイザックが目覚めると、眼前には地獄の有様が広がっていた。王子が拐かされたことは予感していたため、ただ王子の姿がないことを認識したアイザックはその場で声を上げることもなく、真っ白な頭のままでふらふらと立ち上がった。近衛兵長を捜し出し、石化を解くためにその前に膝をついたところで、アイザックは初めて気がついた。――神の声が聞こえないのである。
　実はこの時、“騎士神”ザイアはアイザックに語りかけていた。が、アイザックが無意識のうちに「もはや自分に騎士神の声を聞く資格は無い」と思い込んでいたため、彼のほうが神への心を鎖してしまったのだ。神の声が聞こえず石化解呪の奇跡も効果を現さなかったことで、アイザックは「騎士神は、王子を護れなかった自分から奇跡を剝奪したもうたのだ」と確信した。
　騎士の資格を失った自分にできることは何もないと考えた――実際、彼一人にできることは何もなかった――アイザックは、門を抉じ開けて城外のザイア騎士団（ザイア神殿附設の自治組織）に状況だけを知らせ、そのまま国を後にした。
　数年間の放浪は凍餒たるもので、生活の様相は放浪者（ヴァグランツ）の最下層のそれであった。いつしかアルフレイム大陸まで流れついたアイザックは“月を望む国”セレノフィルの〈月鏡亭〉店主に拾われ、宿代に代えて雑用を担当するようになった。恩義はあるが、そこに必然性はない。
　そのうちに“雑用”の範疇として冒険に同行するようにもなった。装備は公国騎士団所属時のものを使用しているが、騎士団の紋章は自分の手で削り取った。かつての彼であれば、祝福と共に呪いを受けるアビスの力を公王より下賜された武具に宿すことなど考えもしなかっただろうが、今の彼は寧ろ“騎士の誇り”を自らの手で穢すことで精神を保っているのだと思われる。
　なお、ダーレスブルグの公王はその後無事に石化を解呪されたが、これは王子の安否と併せてアイザックの知るところではない。また、バジリスクによる襲撃事件のあとアイザックは、消息不明ののち死亡扱いとなっている。ザイア騎士団の目撃証言があったといえども妥当な判断であろう。
　愛称は「アイク」。その名で呼ばれることを明確に拒むことはしないが、その響きを耳にした彼の乏しい表情は、何かを押し殺すような悲痛に、僅かに歪む。
　好きなものはイチジク。苦手なものは甘い菓子。

「アイザックだ」
「仕事以外で俺に構うのはよしてくれ。……すまない」
「（もう何も護れない。護りたく、ない）」

身長

185 cm

体重

80 kg

髪

柘榴

瞳

思

肌

生成

カラー

#A73831

経歴

A-1-5　罪を犯したことがある
B-5-5　過去に仕えた主がいた
D-1-4　大きな勘違いをしている（していた）

セッション履歴

収支履歴