一般的には、ルーンフォークという種族は魔動機文明、即ち2000年前に作られたという。
だが、その遥か前の魔法文明末期頃にこのツヴァイは作られていた。

とある魔術師、アナスターシャ＝オジャエンラが造ったとされる人造人間の試作機2号目であり、名前も「ツヴァイ」として定着した。

だが、造物主からの寵愛は彼女には不要だったらしく、後に『クール系なのが失敗だった』と言っている。

そんなことで、自分のオリジナルとも言える初代人造人間『アイン』に忠誠を誓う。
造物主はアインを指して『これ以上ない最高作であるが、性格はロボットとして最低の失敗作』と言っていた。

アインとツヴァイは奈落で魔物や魔神を倒し続けていた。
当時は手慣れた武器で戦っていたが、ツヴァイは一時死の窮地に追い込まれていた。

それを助けたのが、人間の英雄ベルジャーエフ、そしてアインだった。

三人は戦友として常に奈落で戦い続けた。

―――とある悲劇が起こらなければ。

ある日、何も変わらず奈落で魔物や魔神と相対していた。
だが、突然の出来事が三人を襲った。

ツヴァイに故障が発生し、アインはツヴァイをかばってしまった。

その結果として魔神はアインを狙うことになるのだが、ベルジャーエフはその襲い掛かる魔神を全て押し返した。

―――そしてベルジャーエフは、魔神が戦場から消えた後に息絶えた。

次に彼女が目を覚ましたのは、3000年後のラクシア―――

即ち、現在のラクシアであった。

目覚めた瞬間、アインのメッセージが頭をよぎった。

『ツヴァイ。このメッセージが聞こえているということは、私は既にこの世界に存在しないだろう。お前が目覚めた場所がどこになるかは分からないが、私達のあるべき思い出の場所を探してくれ。少なくとも、ベルジャーエフの伝承を追っていけば分かるはずだ。お前は自由だ、もう私に従わなくてもいい。新しい出会いがあるように。 【アナスターシャ・ナンバーズ初号機 】『アイン＝アナスターシャより。』』

そうして、新しい体躯を得たツヴァイMark2は、アインとの思い出の場所を探す旅に出るのであった。