スピカ・エトワール
プレイヤー:かにみそ
「私は元気な希望の子
今日も適度に頑張るぞー!」
- 種族
- ヴァルキリー
- 年齢
- 15
- 性別
- 女
- 種族特徴
- [戦乙女の光羽][戦乙女の祝福]
- 生まれ
- 魔術師
- 信仰
- なし
- ランク
- ダガー
- 穢れ
- 0
- 技
- 8
- 体
- 6
- 心
- 12
- A
- 2
- B
- 6
- C
- 2
- D
- 5
- E
- 6
- F
- 12
- 成長
- 1
- 成長
- 12
- 成長
- 1
- 成長
- 1
- 成長
- 7
- 成長
- 13
- 器用度
- 11
- 敏捷度
- 26
- 筋力
- 9
- 生命力
- 12
- 知力
- 25
- 精神力
- 37
- 増強
- 増強
- 1
- 増強
- 増強
- 増強
- 1
- 増強
- 器用度
- 1
- 敏捷度
- 4
- 筋力
- 1
- 生命力
- 2
- 知力
- 4
- 精神力
- 6
- 生命抵抗力
- 13
- 精神抵抗力
- 17+2=19
- HP
- 45
- MP
- 88
- 冒険者レベル
- 11
経験点
- 使用
- 68,500
- 残り
- 730
- 総計
- 69,230
技能
- コンジャラー
- 11
- スカウト
- 8
- ソーサラー
- 5
- アルケミスト
- 5
- ウォーリーダー
- 5
- エンハンサー
- 2
- ドルイド
- 1
戦闘特技
- 《魔法拡大/数》
- 《鼓咆陣率追加Ⅱ》
- 《MP軽減/コンジャラー》
- 《武器習熟A/スタッフ》
- 《武器習熟S/スタッフ》
- 《ダブルキャスト》
- 《ルーンマスター》
- 《トレジャーハント》
- 《ファストアクション》
練技
- 【アンチボディ】
- 【メディテーション】
賦術
- 【ヴォーパルウェポン】
- 【クラッシュファング】
- 【ヒールスプレー】
- 【パラライズミスト】
- 【イニシアティブブースト】
鼓咆/陣率
- 【怒涛の攻陣Ⅰ】
- 【怒涛の攻陣Ⅱ:旋風】
- 【怒涛の攻陣Ⅱ:烈火】
- 【陣率:効力亢進Ⅰ】
- 【陣率:抗拒の推断Ⅰ】
- 【怒涛の攻陣Ⅲ:轟炎】
- 【陣率:衝戟の刪削Ⅰ】
判定パッケージ
スカウト技能レベル8 | 技巧 | 9 | |
---|---|---|---|
運動 | 12 | ||
観察 | 12 | ||
アルケミスト技能レベル5 | 知識 | 9 | |
ウォーリーダー技能レベル5 | 先制 | +1= | 10 |
- 魔物知識
- 0
- 先制力
- +1=13
- 制限移動
- 3 m
- 移動力
- 27 m
- 全力移動
- 81 m
言語
会話 | 読文 | |
---|---|---|
交易共通語 | ○ | ○ |
魔法文明語 | ○ | ○ |
魔動機文明語 | ○ | ○ |
地方語(リーンシェンク) | ○ | ○ |
魔法/賦術
魔力 | 行使/賦術 基準値 | ダメージ 上昇効果 | 専用 | ||
---|---|---|---|---|---|
ソーサラー技能レベル5 | 真語魔法 | 9 | 9 | +0 | |
コンジャラー技能レベル11 | 操霊魔法 | 15 | 15 | +0 | |
ウィザード最大魔法レベル5 | 深智魔法 | 15 | 15 | +0 | |
ドルイド技能レベル1 | 森羅魔法 | 5 | 5 | +0 | |
アルケミスト技能レベル5 | 賦術 | ― | 9 | ― |
技能・特技 | 必筋 上限 | 命中力 | C値 | 追加D | |
---|---|---|---|---|---|
《武器習熟S/スタッフ》 | ― | ― | ― | ― | 3 |
武器 | 用法 | 必筋 | 命中力 | 威力 | C値 | 追加D | 専用 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ブラックロッド | 2H | 10 | +1=1 | 20 | 12 | 3 | 魔法の消費MP-1 |
技能・特技 | 必筋 上限 | 回避力 | 防護点 |
---|---|---|---|
技能なし | 9 | 0 | ― |
防具 | 必筋 | 回避力 | 防護点 | 専用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
鎧 | “足絡みの”ソフトレザー | 7 | ― | 3 | 手番開始時に[1d]を振り、[1]が出た場合転倒する。手番中には起き上がれない。 | |
合計:すべての防具・効果 | 0 | 3 |
装飾品 | 専用 | 効果 | |
---|---|---|---|
頭 | 軍師徽章 | ||
顔 | ひらめき眼鏡 | ||
首 | 勇者の証[心] | ||
背中 | サバイバルコート | ||
右手 | 俊足の指輪 | ||
左手 | 正しき信念のリング | ||
腰 | アルケミーキット | ||
他 | 知性の指輪 |
- 所持金
- 64,973 G
- 預金/借金
- ―
所持品
冒険者セット
保存食*9
スカウト用ツール
魔香草*5
1点魔晶石*10
2点魔晶石*15
3点魔晶石*10
5点魔晶石*10
10点魔晶石*5
5点MCC*1
俊足の指輪*2
知性の指輪*2
疾風の腕輪*1
叡智の腕輪*1
ぬいぐるみS*10
陽光の魔符+1*5
月光の魔符+1*5
陽光の魔符+2*3
月光の魔符+2*3
マテリアルカード
B | A | S | SS | |
---|---|---|---|---|
赤 | 10 | 10 | 5 | |
緑 | 20 |
- 名誉点
- 823
- 冒険者ランク
- ダガー
名誉アイテム
点数 | |
---|---|
冒険者ランク | 20 |
容姿・経歴・その他メモ
リーンシェンク地方の片隅にある名も無き小さな村で生まれたヴァルキリーの少女
村に口伝されている英雄の生まれ変わりだと信じられ、そうなるべくして育てられただけの普通の田舎娘
魔法の才能は言うほどでもない
どちらかと言えばフィールドワークとか機械とか都会の方が好き
卑屈だが前向き、楽観的だが現実主義の難儀な性格
身長/体重:151cm/45kg
「はい、スピカです。スピカ・エトワール。未熟者ですが、お役に立てるように頑張りますとも!」
「きっと何とかなりますって。気合い入れてこー、おー!」
「―――そんなこと言われたって、無理だよ。無理」
経歴
のめり込む趣味がある
敵対する者がいる(いた)
同じ夢を何度も見ている
冒険に出た理由:他に生き方がなくて
【第0話:希望に満ちた旅立ちの話】
村を旅立ち早三日。
開始早々、私は大変な問題に直面しておりました。
「……これから、何すればいいんだろ」
ぽかぽかと暖かい日差しを受けながら、陽気とは真反対の暗い気持ちで呟きます。
何を隠そう、村を出たはいいものの、さっぱり目的が分かりません。前途多難もいいところ。
とりあえずひと月分ぐらいの食料はありますが、街道を進むだけではなんにも見えては参りません。
そもそも英雄になるーだとか、そういう高い志などとは無縁の村娘でありまして。そうあれ、と願われたものの実力も才能も足りません。
「とりあえず大きな街を目指せばいいかな……でもそれっぽいものどこにも見えないし……」
ひとりぼっちの孤独な旅路。
慣れてるし、寂しいわけではないですが、独り言も多くなるというもの。
ここまでは運良く蛮族にも魔物にも出くわしませんでしたが、これからどうなるかは分かりません。
自衛手段もないですし、襲われたらひとたまりもないでしょう。
「せめて行きぐらい護衛付けてくれても良かったんじゃないかなあ……なんか考えたら腹立ってきた。こんちくしょー!!」
「おう、往来で大声出してどうしたんだお嬢ちゃん」
「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
***
「そうかい、すまなかったな。儂はてっきり狂人かなんかかと」
「えへへ、えへへへへ……すみませんでした……」
がたごとがたごと。
均された道を走る木製の車輪が、時折小石を撥ね飛ばす音を聴きながら、私は馬車の後部座席で小さくなっていました。
人気のない街道を単身で歩く私の姿は、さぞ怪しく映ったことでしょう。
「こんな人っけのねえ道をツレもなく歩いてるなんざ、オーガあたりの変装かイカれた第二の剣の信徒って相場は決まってるモンだ。そしたら単なる考え無したぁ、流石の儂も驚いたぜ」
「えへへへへへ……」
豊かなふさふさの髭をいじりながら、ドワーフのおじさんがちらりと視線をこちらに向けます。
いたたまれなくなって俯くと、今度は自分の足元に横倒しになっているゴツい突起のついた鈍器が目に入ります。
誤解が解けたからよかったものを、下手をすればコレで頭をカチ割られていたと考えるとゾッとします。
そして目的地不明、目標不明、現在地不明なあまりにも無計画な私を見兼ねたおじさんのご厚意で、一番近くの大きな国───草原の国アクイラまで乗せてもらえることになったのです。
その距離、なんと馬車で三日。
本気で言ってる? 徒歩だとその三倍ぐらいかからない?
改めて、自分の考え無し具合に軽く自己嫌悪に陥ります。でも、いつまでもヘコんでいるわけにもいきません。
「それにしても……」
「ん?」
「い、いえ、事情……聞かないんだなーって」
「聞いたところでどうするよ。お前さんにはお前さんの事情ってモンがある。そいつに儂が口を出す義理はねえし義務もねえ」
「うわーお……カッコいい」
「へっ、茶化すんじゃねえよ」
短く鼻で笑って、それきりおじさんは黙り込んでしまいました。
がたごと。がたごと。
「……あのー」
「なんだ」
「い、いえ、ちょっと気になったもので」
「なにがだ」
無言はちょっと辛いので、適当に世間話でもしてみることにしました。
足元のメイスをチラ見します。
自衛のためとは言え、ものすごく重そうな武器。
それだけでなく、丁寧に手入れされているものの、細かい傷や歪みも見えて、相当年季の入った代物です。
「これ……昔から使ってるんですか?」
「ああ」
「えっと、どこかの国の兵隊さんだったり?」
「冒険者だった」
「……ボーケンシャ」
聞き慣れない単語。ボーケンシャ、ボーケン者、冒険者?
「なんでぇ、その反応は。今どき冒険者も珍しかねえだろ」
「ええ、と……その……」
「……まさかお前さん、知らねえのか。冒険者」
「…………ハイ」
「…………こいつは驚いた」
がたごと。がたごと。
また暫くの間、私たちは無言で馬車に揺られます。
「まあ、なんでも屋だ」
「……へ?」
「冒険者だよ」
「あ……へ、へえー」
「一人のやつもいるが、大抵は仲間と一緒にな。金貰って蛮族退治や用心棒したり遺跡の調査だ」
「傭兵……みたいなものなんですか」
「そういうやつもいる。自由だ」
「自由……」
「儂は戦士だった」
それきり、おじさんは口を噤んで手綱を取るのに集中しました。
どうして今は行商人に? と聞くつもりはありません。
おじさんが話さないのであれば、それでいいのです。
人には色々、事情があるのです。
それに、おじさんは元々あまり口数の多い方ではないらしくて、道中も、食事時も、無言でいることの方が多いぐらいです。
でも、不思議と嫌な感じはしませんでした。
なので、馬車に乗せてもらって三日目の夜───明日の昼前にはアクイラに到着すると言われて、思い切って私は聞いてみることにしたのです。
「あの……どうして私を助けてくれたんですか?」
「なんのことだ」
「え、いやいや……とぼけちゃってえ、こんなに親切にしてくれる理由は何なのかって……」
「別に親切じゃねえぞ、三日で百ガメルだ」
「お金取るのぉ!?」
「あたりめえよ、お前さんまさか商人の馬車にタダ乗り出来るなんて思ってたんじゃなかろうな」
「えっ、いやー、あはー、うん、それはー、そのー」
じろりと半眼で睨まれて、たまらず目線を逸らします。
ごもっともすぎて何も言えません。
「これでも相場より安くしてやってんだ、有難く思ってくれねえとな」
「ハイ……」
「後はまあ、なんだ」
「?」
ふさふさの髭をいじりながら、どこか照れ臭そうにおじさんは空を仰ぎます。
天には輝く一番星。私の名であるスピカの星。
「単純に、儂のためだ」
「おじさんの?」
「旅は道連れ世は情けってな。困ってるヤツには手ぇ貸してやれって親父から言われてんだよ」
「……お父さんから」
ぐるぐる。ぐるぐる。頭の中で反芻される数多の声。
その中には、実の両親の声も混ざってる。
もう、何を言っていたのかよく分からないけど。
「……それって、別に守らなくてもいいやつですよね?」
「そうだな。だが、なんとなく続けちまってこんな歳だ。今更生き方を変える方が難しいってもんよ」
おじさんは寡黙ですが、話すことが嫌いだったり億劫なわけではないようで。
話しかければ、その分だけ話を返してくれます。
「でも、めんどくさいなあとか、割に合わないなあ、とか思わないんです?」
「思うさ、思うがまあ、それだけだ。今回だって割に合った仕事でもねえ、元々アクイラに寄る用事はなかったしな。ただの時間の無駄だ」
「そ、そこまでかあ……」
「けど、お前さん助かってんだろ」
「それは……そうですけど」
「なら、それでいい」
そう言うと、おじさんは荷物から厚手の毛布を引っ張り出して、くるまりながら体を横たえます。
「さあ、見張りは任せた。きっかり三時間だからな」
「……はい」
両目を閉じて、すぐにいびきをかき始めたおじさんを見て、私は───とても、気味が悪いなあと思ったのです。
***
「じゃあな、縁があったらまた会おうぜ」
「はい、お世話になりました!」
ぴしゃり。馬に鞭を入れて、その会話を最後に私たちは別れました。しっかり百ガメル払いました。
目の前には大きな門。村のものとは規模も素材も何もかもスケールが上の、立派な門。
「うわー……うわー……すごーい……」
完全におのぼりさんです。でも、仕方ないじゃないですか。小さい頃からこういう都会に憧れていたのです。
きょろきょろと辺りを見回しながら門番の人に白い目で見られつつ正門をくぐると、目の前に広がるのは人! 人! 人!
人の海です、私の故郷の百倍はいます。見たことない種族の人もいて、目に映るすべてのものが新鮮です。
しかし、浮かれているばかりではいけません。私は英雄スピカの写し身、希望の子。兎にも角にも、手当り次第にやれることを頑張らなければ!
まずは手始めに……。
「あ、あのー……英雄スピカって、ご存知ですか?」
「は? 誰あんた?」
***
終わった。完全に終わった。どう考えても怪しい宗教の勧誘か何かに思われてる。
そもそも、アクイラまでこんなにも遠い辺境のちっさい寂れた村に伝わる昔話なんて伝わってないに決まってるじゃん、私の馬鹿!
「はあ…………」
塩対応を返されて、村民全員知り合いだったり見ず知らずの私に手を貸してくれたおじさんだったりの方が少数派なのだと思い知りました。
昼下がり、閑静な広場にあったベンチに座って、一人で憂いに満ちた溜め息を吐き出します。
人のいるところには着いたけど、結局前途多難なのは変わってません。ほんとにこれからどうしよう。
と、そんな風に考えていたときでした。
「おーっと、かわいこちゃんこんな場所でどうしたんだい?」
「へ?」
「君だよ君、素朴な感じのピュアガール!」
「わ、私ですか!?」
突然、私に向けて投げ付けられた大きな声。
顔を上げると、私の二倍ぐらいありそうな半裸の男の人が立っていました。にこやかに、とてもにこやかに。
「変態だーーーーーー!!」
公園に響き渡る絶叫。
十五年間生きてきて、多分最大級の声量で叫びました。
いや叫びますよこんなの。誰だって叫びます。
……でも、街の人は気にも留めてないような。
「はっはっは! 変態じゃないぜー! こいつが都会のスタイルさァ!」
「えっ、そうなんですか!?」
それは初耳。凄いなあ都会、進んでるなあ。
道行く人達、みんな服着てた気がするんだけど最先端過ぎてついて行けてないのかな?
「それはそれとして、ピュアガール。実はいい儲け話があるんだけどサァ、乗ってかない?」
「儲け話!? 聞かせてください!」
「イエース! いい心意気だ!」
そしてこのとてつもなく耳寄りな情報。
儲け話と聞いては見過ごせません。何をするにも先立つものは必要です。
私は二つ返事で了承すると、意気揚々と男の人の後を着いていくことにしました。
───これが、私の運命の始まりだったのです。
むかし、むかし、あるところに女の子がいました。
女の子は、とても貧しい小さな村で生まれましたが、お父さんからも、お母さんからも、村の人たちからも、たくさん愛されて育ちました。
女の子は、かみさまから祝福された証である輝く星のようなつばさを持っていて、それを見たお父さんは言いました。
『かわいいわたしの娘。おまえはきっと、天使さまの生まれ変わりに違いない』
『お父さん、お父さん。天使さまってどんなひと?』
『天使さまはね、眠りについたかみさまの代わりに、困っている人たちを助けてくれるんだよ』
それを聞いた女の子は、こう言いました。
『それじゃあ、わたしも困っている人たちを助けてあげないと』
みんなから愛された女の子は、みんなから愛されたぶんだけ、おんがえしをしようと思ったのです。
春がきて、夏がきて、秋がきて、冬をこえて、また春がきて。
何度も季節はめぐり、すっかり大きくなった女の子は、旅に出ることを決めました。
『お父さん、お母さん、村の人たち、今までお世話になりました。私はきっと、りっぱになって帰ります』
こうして旅にでた女の子は、旅のとちゅうで出会った困っている人たちを、次々に助けてあげました。
『こまった、こまった。悪いばんぞくが、村の子どもをよこせと言っている』
『それは大変。では、私がその悪いばんぞくを、たいじしてさしあげましょう』
『こまった、こまった。雨がふらないから、やさいがぜんぜんそだたない』
『それは大変。では、私が神様においのりをささげて、雨が降るようにおねがいしてみましょう』
そんなある日、たくさんの人たちを助けた女の子のうわさを、大きな国の王様が聞きつけました。
『なんと素晴らしい。きっとその女の子は、私たちの国を救ってくれる救世主に違いない』
そうして、女の子は救世主として、りっぱなお城に招かれることになったのです。
『おお、よくぞ来た。そなたのうわさは聞いているぞ』
『はい、王様。お会いできて光栄です』
王様は、女の子に言いました。
わるい人たちが、この国をほろぼそうとしているのだと。
大切な家来や民をまもるために、力を貸してほしいと。
女の子は、こう答えます。
『もちろんです、王様。私を愛してくれた人たちのため、望まれたことを、望まれるように』
それを聞いた王様は大喜び。
一度目の、賑やかな宴が開かれました。
しばらくしてから、わるい国との戦いが始まりました。
女の子は、一生懸命戦いました。
ケガをしたり、とっても疲れてしまったけれど、一生懸命戦いました。
女の子はとても強く、悪い人たちをたくさんやっつけました。
女の子はとても優しく、傷ついた人たちをたくさん助けました。
そうして、春がきて、夏がきて、秋がきて、冬をこえて、また春がきて。
何度も季節はめぐり、わるい国の王様が言いました。
『まいった、まいった。こうさんだ』
とうとう女の子は悪い王様をこらしめて、国に平和をもたらしたのです。
『やはりそなたは救世主。その働きを認め、夜空に輝き我々を見守るあの星に、そなたの名前を付けるとしよう』
『そして、そなたこそこの国をおさめるのにふさわしい。どうじゃ、わしの代わりに王様にならないか』
二度目の宴も終わりになるころ、王様は女の子にそう言いました。
しかし、女の子は言いました。
『いいえ、王様。それはできません。私の帰るべき場所は、私を愛してくれた人たちが生まれた、あの小さな村だからです』
そうして、女の子は旅を終え、愛するお父さんとお母さん、そして村のみんなが住む小さな村へと帰ってゆきました。
これが、今も星空から優しい輝きで私たちを見守ってくれている、英雄スピカのお話です。
ううん、正直、しんどい。
子供の頃から何度も何度も、それこそ暗記してしまうぐらいに聞かされた昔話。
英雄スピカ。輝く星の戦乙女。優しき光の希望の子。
なんの変哲もない村娘として生まれながら神の祝福をその身に宿し、幾多の民衆に手を差し伸べ救い、隣国との戦争の折にも兵を率いて最前線で戦った……らしい。
凄いなあ。うん、凄い。凄いとは思う。
でもそれって結局、全部無駄だったってコトじゃない?
というのも、彼女が救った国は既に亡く、かつての記録は大破局の折に消え、遺されたのは童話じみた口伝だけ。
この現代に、英雄スピカが身を粉にして守ったものは、何ひとつ残っていないのです。
生まれたときから、私の背には翼があった。
と言っても、空も飛べない羽ばたけない、精々が高いところからカッコつけて落ちれるぐらい。
そんな翼の形をした烙印を見て、お父さんもお母さんも村の人たちも、私を英雄の生まれ変わりだと信じ込んだ。
『この子はスピカ様の生まれ変わりに違いない』
二度目の生を受けたとして、英雄の名を付けられました。
英雄は稀代の魔術師だったとかで、物心付いてからずっと魔法の修行をしました。
民草を導く心得が必要だとかで、兵法の勉強もしました。
神のしもべとして教養をつけるためだとかで、この世界が如何に苦しみに満ちているかを(今にして思えばかなり偏った視点で)教わりました。
魔法の才能はさっぱりで、半年かけても魔法をひとつ覚えるのがやっとです。
いえ、本当にさっぱり魔法が使えない人から見れば恵まれている方だと思うけれど、こんなのじゃ口が裂けても稀代の魔術師だなんて言えないレベル。
むしろ半端に適性があったおかげで、変に期待が増える始末。
物事というものは、いつも上手く噛み合わないのです。
兵法なんてもっての外。そもそも戦いなんて、村の若い人が妖魔を追い払っているのをたまに見るぐらい。
外から持ち込まれた書物を読んだけど、これって一緒に戦う人がいる前提だし、たぶん私には無縁のもの。
それに、神様の声なんてこれっぽっちも聴こえません。
そもそもなんで寝てるのに声なんか聴こえるんだろうと思っているぐらいですから、信心深さとは無縁です。
それでも私は、投げ出すことだけはしませんでした。
『スピカ、私たちの可愛い娘。どうか健やかに成長しておくれ。そして、私たちを救っておくれ』
『スピカよ、おまえは英雄様のように強くならなくてはいけないよ。この暗澹とした世の中に光をもたらすために』
『スピカ、スピカ、希望の子。毎日あんなに頑張ってる。頑張っているのに、どうして僕たちよりも弱々しくて、頭も悪いの?』
だって、私は希望の子。夜空に輝く一番星。
みんなが見ているのは私でなく、英雄スピカその人なのですから。
期待を裏切るわけにはいきません。
うそ、やっぱり結構きついです。
何も気負わないのがハッピーです。
いっそ、失望される方が楽ちんです。
だってそうじゃん。
それって本当に私がやらなきゃいけないこと?
ぐるぐる。ぐるぐる。
ずっと頭の中で鳴っている。
そんなこと言われても、そんなもの見せられても、私じゃどうにもできないよ。
だから旅立つことになって、内心かなりほっとしました。
英雄に囚われた村から出れば、私はただの村娘。
今よりは気楽に過ごせるかとは思います。
思ってはいたのですが、やっぱ無理。
ぐるぐる。ぐるぐる。
何度も何度も気持ち悪いけど、私が『英雄スピカ』をやめてしまったら、今度こそ彼女の軌跡は消えてしまう。
きっと、彼女はものすごく頑張ったのだと思います。
正直なところ、高潔すぎて正気を疑うぐらいに気持ち悪いんですけど、そこはそれ。
お話になるのはいつも良いことばかりですから、実際は割とめんどくさいなあとかかったるいなあとか思っていたということにしておきます。そうでもしないと理解できないし……というのは置いといて。
彼女がずっと頑張った結果が何の意味もなく消えていくなんて、なんというか、その、すごく嫌だ。
努力をすれば報われる、なんて甘いことを言うつもりはないけれど、一応、そういうことになってるみたいだし。
まあ、もうちょっとぐらいは頑張ってみようかなって。
でも、ずうっと考えていることがひとつだけ。
スピカの殻がなくなれば、救世主の生まれ変わりとしてしか育てられなかった私には―――いったい何が残るのでしょう?
セッション履歴
No. | 日付 | タイトル | 経験点 | ガメル | 名誉点 | 成長 | GM | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
キャラクター作成 | 10,0006,000 |
80
| 敏捷×3 | 筋力×1 精神×1
|
| | ||
1 | 2022/1/8 | 第一話:時代に関する流転の話 | 3,3208,660 |
66
| 敏捷 | 民明
|
| |
精神 | ||||||||
2022/1/17 | 第二話:魔法を唱える貴族の話 | 3,2405,288 |
70
| 知力 |
|
| | |
知力 | ||||||||
2022/1/29 | 第三話:夢に託した誓いの話 | 3,8806,675 |
68
| 敏捷 |
|
| | |
精神 | ||||||||
2022/2/8 | 第四話:自由に狂う邪神の話 | 3,9008,600 |
82
| 敏捷 |
|
| | |
精神 | ||||||||
2022/2/17 | 幕間:恐れを守護する獣の話 | 1,0003,600 |
0
| 敏捷 |
|
| | |
精神 | ||||||||
2022/5/16 | 第五話:虚構を信ずる愚物の話 | 4,0108,470 |
33
| 知力 |
|
| | |
敏捷 | ||||||||
2022/6/27 | 第六話:未来に殉じた淑女の話 | 4,1309,220 |
39
| 敏捷 |
|
| | |
精神 | ||||||||
2022/7/27 | 第七話: | 4,42012,000 |
| 器用 |
|
| | |
生命 | ||||||||
2022/11/24 | 第八話:愛に嘆いた平民の話- | 4,59033,980 |
135
| 知力 |
|
| | |
精神 | ||||||||
2023/2/27 | 第九話 | 8,05033,980 |
207
| 敏捷 |
|
| | |
精神 | ||||||||
精神 | ||||||||
精神 | ||||||||
2023/8/31 | 第十話 | 8,86033,740 |
| 敏捷 |
|
| | |
敏捷 | ||||||||
知力 | ||||||||
精神 | ||||||||
2023/5/10 | 第十一話 | 9,48038,000 |
63
| 知力 |
|
| | |
知力 | ||||||||
精神 | ||||||||
精神 | ||||||||
取得総計 | 69,230 | 208,213 | 843 | 35 |
収支履歴
冒険者セット::-100
保存食お徳用*2::-100
スカウト用ツール::-100
クォータースタッフ::-140
ヤドリギの棒杖加工::-100
軍師徽章::-100
赤B*10::-200
赤A*5::-1000
俊足の指輪::-500
アルケミーキット::-200
サバイバルコート::-180
赤B*3::-60
魔香草*5::-500
勇者の証[心]::-10000
3点魔晶石*10::-3000
赤B*2::-30
赤A*2::-400
赤A*2::-400
アビス強化::-2000
赤A*1::-200
赤A*3::-600
疾風の腕輪::-1000
赤A*4::-800
3点魔晶石*2::-600
3点魔晶石*6::-1800
赤A*3::-600
俊足の指輪::-500
知性の指輪::-500
ブラックロッド::-22500
クォータースタッフ売却::70
ヤドリギの棒杖加工::-100
赤A*2::-400
1点魔晶石*10::-1000
2点魔晶石*10::-2000
3点魔晶石*10::-3000
5点魔晶石*10::-5000
正しき信念のリング::-30000
ひらめき眼鏡::-4000
叡智の腕輪::-1000
赤S*1::-2000
緑A*20::-4000
赤S*5::-1000
2点魔晶石*11::-2200
3点魔晶石*1::-300
5点魔晶石*1::-500
10点魔晶石*5::-10000
赤A*1::-200
緑A*2::400
赤S*5::-10000
ぬいぐるみSサイズ*10::-300
5点MCC*1::-2500
知性の指輪*2::-1000
俊足の指輪*2::-1000
陽光+1::-2500
月光+1::-2500
陽光+2::-4500
月光+2::-4500