いい打点ブーツ
- 知名度
- 13
- 形状
- しっかりと地面を捉え、豪快な攻撃を補助する機構を持った無骨なブーツ。とある人気小説に登場する防具をモチーフにしている。
- カテゴリ
- 装飾品:足
- 製作時期
- 現在
- 概要
- 《全力攻撃Ⅰ》を使用可能になる
- 効果
-
装備者は戦闘中、補助動作で合言葉を唱えることでブーツに搭載されたサポート機構を展開することができます。展開中、装備者は《全力攻撃Ⅰ》を習得しているものとして扱いますが、代償に《全力攻撃Ⅰ》以外のあらゆる宣言特技が使用不可能になります。
展開した機構を収納するには1回分の主動作を消費します。なお、合言葉については発声の必要はありますが言語は問いません。
由来・逸話
「なんて数だ!ゴブリンが10、20……まだまだ出てきやがる!ありゃ100体はくだらねえぞ!」
「100体のゴブリン、ですか。ふふっ、相手にとって不足はありませんね」
ゴブリンの群れの前に、一人の冒険者然とした女性が進み出た。彼女は無骨な鎧を身に纏い、身の丈を越える巨大な剣を軽々と構え……まるで散歩にでも行くように軽やかに歩を進めていく。
「おいあんた、何をする気だ!見たところ腕に覚えがあるようだが、いくらなんでも一人であの数を相手にするのは……!」
「4、いや3……2、でいけますかね?」
「なんだ?いったい何の話を……」
「いえ……何発必要かな、と思いまして」
そう答えると、彼女はすぐさま何かの合言葉を口にした。無骨なブーツから無数のアームが展開され、肩や腰、腕を支えるように防具に接続されていく。その光景はまるで花が開くよう――居合わせた男がそう感じた刹那。彼女は大きく跳躍し、単身ゴブリンの群れの中に飛び込んだ。
「ふっ……!!」
膝を折って着地の衝撃を受け止め……身を低くした彼女は、右下段に構えた大剣を全身のばねを使って跳ね上げるように振り抜いた。ぱんっ、という乾いた音から一拍遅れて、無数のゴブリンの血が、骨が、肉片が……飛沫となって飛び散る。吹き飛ばされたゴブリンは近くの同族の体に激しく叩きつけられ、新たな犠牲者を生む。
まだ、彼女の攻撃は終わらない。前方のゴブリンを一掃できたと判断すると、彼女はわずかに重心をずらす。すると、ブーツから伸びるアームがそれに応えるように重心移動をサポートする。結果、彼女の体はまるで氷上を滑るように向きを変えた。大剣は勢いそのままに――否、むしろ勢いを増して彼女の左側にいた哀れなゴブリンたちを薙ぎ払った。
「ふう。一撃で十分でしたね」
そのままコマのように一周して剣を振り抜いた彼女、その周囲には凄惨な光景が広がっていた。まるで彼女を中心とした大きな爆発が起きたかのように、放射状に飛び散るゴブリンの肉片。中心部近くの肉片はもはや原形をとどめておらず、赤と緑の悍ましいグラデーションが出来上がっていた。
一刀の下に100体のゴブリンを屠った勇者は、何事もなかったかのように悠々と踵を返した。
「すみませんが、ここのことはお願いします。このゴブリンの数……近くに大規模な集落があるはずです。放っておくわけにはいきません」
「だ、だけどよ、あんた……」
「?」@mone
「肩が!!!」
彼女の肩を覆っていた布は強靭な筋肉に耐えきれず、弾け飛んでしまったようだ。
「……これはお恥ずかしいところを」
彼女はそっと掌で肩を覆う。真っ赤な返り血に塗れ、表情も何も分かったものではない。それでも、男には……勇者がひどく、赤面しているように見えた。
~~「ゴブリンスレイヤー・クロード」(著:蝸牛くも)より引用~~