私は、生まれながらにして欠陥品だった。
でも父は、魔術の才があるとかなんとか言って、私を弟子として育てた
見る目は正しかったのだろう。私は父から魔術の講義を受けたが、一度も躓かなかった。
操霊術師として、召異術師として、森羅導師として、私は父が見込んだ通りに成長して行った。
従順だったからか、束縛はされなかった。程々に自由に、だけど何処かに行く気もせず、ただ言われるがまま、教わるがまま、静かな森の奥で、父の魔術を学び続けた。
---ある日、森で一人の女の子に出会った
村から抜け出して、ここまで冒険してきたらしい
あの子は最初は驚いて、でもすぐに話しかけてきてくれて、こんな目を持ってる私と遊んでくれた。
二人の遊びはしばらく続いた、彼女が教えてくれる色んな遊びをして、私も森の穴場なんかを自慢気に話して。

それが何日も続いて…ある日、魔法の話になった。魔法への憧れを無邪気に話す彼女に、私も魔法が使えるのだと、見せてあげるという話になり、目を輝かせたあの子と一緒に、私の部屋まで杖を取りに行った。

そして、父と鉢合わせた。

考えもしなかったんだ。怒りや癇癪なんかの激しい感情を見せた試しが無かった父が
何とも無しに、少し面倒な作業をするかの様に、あの子を、殺してしまうなんて
あまりに非現実的で、状況が分からなくて、何故、と聞いた。

「自分達蛮族は、穢れを持たず、弱く矮小な第一の剣の眷属よりも、優れた存在である」
「お前は混ざり物ではあるが、天才だ。間違いなく強者の側の存在なのだ」
「だから、弱者を虐げろ」
「自分の命すら自分で守れない弱者に意味などない、だが我々の糧となる事で、初めてその生涯に意味が生まれるのだ」
「弄び、甚振り、苦しめて殺せ、馴れ合うなど持っての他だ」
「…分かったなら、返事をしなさい、クラウン」

理解出来なかった。悪い人では無いと思っていた父が、怪物に見えた
私は、逃げ出した。杖だけ持って、なりふり構わずに。
逃げて、逃げて、逃げて…走れなくなって、地面に倒れて、そしてふと、怒りが沸いてきた

ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな
あの子に価値がない？お前に、あの子の何が分かるんだ。
私なんかに、優しく接して、仲良くしてくれたあの子の何が！

…認めさせてやる。アイツが間違ってたんだって。
弱者だって使い様なのだと、糧にする事でしか価値を見出せないのは、ただお前の視野が狭かっただけなんだって。
絶対に、絶対に、絶対に…！

Q,つまり？
A,弱い=価値がないの蛮族理論にキレた結果、弱い駒を束ねて強者を討つ事でその理論を否定しようとしてる変な奴

・父親には「クラウン」と呼ばれており、クソ喰らえと言う意味も兼ねて、アンゼルを付けて名乗っているぞ
・弱者の価値云々というのを問われて戦力の話に思考が飛ぶ辺り思考が普通に蛮族に毒されてるぞ
・ぶっちゃけ弱者の価値云々は“あの子”を自分のせいで殺した事から来る半分現実逃避だぞ
・殺された瞬間はかなりトラウマで毎晩夢に出て来たり、鏡を見た時に幻覚を見る程度には引きずってるぞ
・実は普段の態度は割とキャラ作り。常に気丈に振舞うのも手札の一つとして考えてるぞ

生まれた環境/英才教育
幼少期の経験/魔法使いの弟子
ハプニング1/家族が危険な組織の幹部だった
少女期の経験/魔法に打ち込む
ハプニング2/自分のせいで誰かを傷つけた
青年期の経験/執念と繰り返し
冒険に出た理由/倒したい相手が居る