故郷の村では花開かず、アルフレイム大陸に流れ着つき、師という師を見つけられることが出来ないまま放浪の旅をしていたアーチョの人生を大きく変えたのは、
とある行き倒れのグラップラーを助け、その時襲ってきた大熊をそのグラップラーが見たこともない流派の技で倒した4年前のことであった。

流れる様な乱舞。
腕を大きく広げて放たれた波動。
そして戦い後も余裕を見せるその度胸……。
アーチョに大きな衝撃を与えるのには十分過ぎる出来事であった。

「……お願いします！俺を……自分を弟子にして下さい、師匠！」

「ハッ！……師匠、この拳ですね！」『まだまだ！腰が甘いぞォ！！』

「ハァッ！……師匠、この蹴りですね！！」『お……おう！や、やるじゃねぇか！！』

「ぐぅ……師匠の波動を習得出来ないとは……まだ未熟……」
『いやいや！これ以外の俺の技をこんなにすぐ習得するのがスゲェよお前は！？』

「……師匠！師匠の『気持ちの余裕さを持て』というお気持ちは分かります！……しかし、自分には敵を舐めるような、寧ろ侮辱するようなことはどうしても……」
『わ、分かった分かった！俺が悪かったから！……こ、これは俺だけの秘伝の技だからな！！！』
「！……失礼いたしました、師匠！……もっともっと、最も強い流れを見抜けるよう誠心することに注力致します！！」
『お、おう！分かれば良いんだ分かれば！』
『（……まさか「挑発伝説」をマジに受け止める奴が居るとは思わなかったぜ……！）』

しかし……この師弟関係は長らく続かなかった。

「師匠！離れて下さい！魔神だけでなく、奈落も迫って……」
『バッキャロー！この魔神だかなんだかを放ってられっかってんだ！……お前は立派な弟子だ。俺が居なくてもやっていける！！』
「そんな……師匠！師匠！！」
『離れてろ！俺がこいつを食い止める！！……へへっ……この魔神……イコパ………感じ……いく……！……王……道拳！！！！』
「師匠ォォォォォ！！！！！」

……その後の大爆発の後。奈落も魔神も……そして師匠も消え去っていた。
俺は慟哭した。俺はどうすれば良いのだろうか？


だけど、その時。師匠がいつも言っていたあの言葉を思い出した。
「フッ……チョー余裕っす！！」
そうだ。『いつも心に余裕を持て。悲しみに囚われず、前を向いていけ。』
『それが最も強い流れ』だ……と。


そして俺は今日も旅を続ける。このアルフレイム大陸で、最も強い流れを極める為に……。

好きな格ゲーキャラはアカツキ・さくら・アレックス・テリー・スパイディ・ガルフォード等です