名前/アリサ
種族/ティエンス
技能/軽戦士、神官(ミリッツァ)、召異術師
好きな物/読書、英雄譚
嫌いな物/魔神
備考/

昔から、英雄譚は好きだった。
清廉で誇り高く、誰かの為に戦うその在り方に感動し、いつか自分もこんな風にあれたらと夢想する。
結局の所、憧れで終わったのだが。

いつか信じていた物。
諦めない事で起きる奇跡を。救える物があると信じていた。
…怪物を知り、現実を知り、そんな物はただの夢物語にしかないと知った。
どうしようもない物がある事を、彼女は知っている

いつか継ぐはずだった物。信念。
彼女が踏み躙り、潰し、壊してしまった彼女の中の“理想”
正しさを、今でも■■■■■■■■は知っている

一人の少女の話をしよう
彼女は田舎の村のイーヴ神官の家系で生まれたティエンスだった。齢8つにして“奈落の盾神”イーヴからの神託を受け取り、戦士としての才覚もあった事から、将来は優秀な神官戦士となる事を期待されていた。
家族は期待の裏返しからか厳しかったが、村の人達は皆彼女に優しく、将来を約束した幼馴染もおり、幸せに暮らしていた。
まぁ最も、今では彼女は彼らの顔すら覚えてないのだが。

ある日、村に一人の魔神使いが来た。目的は特にない、強いて言うなら暇だったらしい
結論だけ書こう
---その日を境に、村に住人は存在しなくなった

父は弓を持った魔神に首から上を吹き飛ばされた。母は低位の魔神に群がられて原型が分からなくなった。
両親は、彼女の中で強さと高潔さの象徴だった。それが何も出来ずに蹂躙される姿を見て…彼女は、それに背中を向けた
必死で逃げた。首の無い父と、泣き叫ぶ母を置いて。
それが恐怖からだったのか、村の人達に助けを呼んで貰おうとしたのか、今となっては分からない事だ

逃げた先に広がっていたのは、地獄だった
壊れた家、燃え盛る火の灯り、真っ赤な景色、数えるのも億劫になる程の魔神…そして、そこら中に広がった肉塊
幼い彼女にとって、世界は家と村で完結していた。家が、村が壊れたという事実は、彼女が全てを諦めるのには十分すぎた。
…しかし結果的に、彼女が殺される事は無かった。
良い事を思いついたとでも言う様に、実験の結果を待つ子供の様な表情をしながら、「魔神使い」は少女に一つ魔法を掛ける
魔法の名は「フェイクメモリー」。老いた姿をした彼は、“二人目”として、その少女に目を付けた
突然、自分が生きてきた人生の数倍の記憶を流し込まれた。
自分が生きてきた人生と、全く両立しないはずのもう一つの記憶。
明確な異物を取り込んだ彼女の脳は、幸運にも自我を保った

それを面白がったのか、彼は少女を拾い、弟子兼助手として育て始め…それから数年、彼女は彼に従い続けた
反抗する気力なんて、彼女には無かった。あったのは、従わなければ殺されるという恐怖だけだった。
魔神使いとしての基礎の習熟、実験のメモ取り、供物として攫ってきた人の世話、不要となった死体の処分
攫ってきた人に助けを求められる事もあった。だが、彼女は我が身可愛さに、その声を聞かないフリをした
――もう、神の奇跡は使えなかった

ある日、実験の結果として“魔域”が発生した
彼女はそれに巻き込まれ、魔神使いとはぐれた。
茫然としながら、彼女は魔域を歩き続け…
…いつしか気が付けば、彼女は、知らない場所で目覚めた

彼女は、偶然にもある神官に救われた。
事情も聞かずに、傷を治療され、暖かい食事を出し、しっかりとした衣服を渡され、仮の宿を与えてくれた
余裕は、優しさは、人の心に善性を与える。自分のやった事に耐えられなくなった彼女は、全てを神官に告白しようと考えた
自分の罪を全て打ち明けて、罰を受けようと、そして自分を『駄目だよ』
…舌が勝手に動いた、気にする神官に、何でもないと勝手に話した

「魔神使い」は、用意周到な人物だった
自分の存在が、種の内に誰かに対処されない様にするのも、当然だったのだろう

ありとあらゆる手段を試して、自殺を何度も試みて、その全てが無為に終わった時、彼女は悟った。
「魔神使い」は追ってこなかったんじゃない、ただ追う必要が無かっただけなのだという事を
…きっともう一生、自分は彼から逃げられないのだと言う事を

神殿で暮らして暫くしてからたった日、神官が「英雄」の話を彼女にふと教えてくれた
絶望的な戦況を、確定した滅びを覆して、国を、人を救う完全無欠のスーパーヒーロー

彼女が最後に縋ったのは、その細い糸だった
「英雄」なら、きっと、何とかしてくれるんじゃないのかと

幸い、まだ軽戦士としては戦えた。それに拾ってくれた神殿に少しでも何かを返したかったという気持ちもあった。
彼女は反対する神官を説き伏せ、その日、街の冒険者ギルドへと向かった。
探し物は「英雄」。どんな事態もきっと何とかしてくれる、そんなスーパーヒーロー。

また一人、冒険者が生まれた

・普段の態度はキャラ作り。キャラを作っている理由は素のままだとメンタルが参っていて周囲を心配させるから。
・消える事なく、少しずつ侵食してくる魔神使いの記憶のせいで現在進行形で幼い頃の記憶が欠落していっている。
・宝石はブルートパーズで、場所は胸。そして宝石の位置を上書きする様に悪魔の印が刻まれている。
・家で教えられていたイーヴ神官としての理想の姿だった「清貧」「弱者を守る」事に執着しているぞ。
・魔神使いが掛けた保険の効果で、「自殺」そして「魔神使いについて話す事」が出来ない。
・「アリサ」は魔神使いに名付けられた偽名。
・我が身可愛さに見捨てた人々の夢をよく見るらしい。そのせいか眠りは浅いぞ。

『初めまして。私、アリサ様の小魔を…』スケッチブックを見せ
『…おや、珍しい。魔神語が話せるのですか。有難いです。やはりこの身の上だと話し相手に飢えまして』
『改めて。私アリサ様の小魔を務めさせて頂いております、タリスマンと申します。気安くタリスとお呼び下さい』
『以後、よろしくお願いします』

常に敬語を崩さない慇懃無礼な扉の小魔。シルクハットにモノクル、大仰なマントを着込んだ翼の生えた二足歩行の猫型。
デコの宝石は位置こそ違えど主とお揃いらしい。
一人称は私(わたくし)、二人称は貴方。
主人への感情は何かと色々あるらしいが…敬愛度合いは本物。執事かなにかの様に仕える。

？？？