商会の会長である父に付き添って、何度か飛空船に乗ったことがある。

10才の頃に魔法に興味を持ち、父親に買ってもらった魔法学の教本を読んで数ヶ月で真語魔法を習得した。
魔物を倒したのは12才の頃。実戦での経験を積むために父親を通じて冒険者に護衛を依頼し、一緒にフッド族などの弱い魔物を討伐した。冒険者の補助ありとはいえ、若くして魔法の才能を開花させたネイサンを周囲は"神童"ともてはやした。

晴れて15才で成人と認められ、翌年にはユーシズ魔道学院への入学も控えていたネイサン。
しかしとある魔剣によって、ネイサンの人生は波乱を迎える。
その魔剣は商会メンバーの一人が行商人から買い取ったもので、「石を金に、ガラスを宝石に変える」力を持っていた。
商会員は会長であるネイサンの父に相談もせずに、魔剣の力で作り出した財宝を使い自身と商会の資産を増やし続けた。
父親が事態に気づいたのは、お得意先から大量のクレームを受けた時であった。
「商会から買い取った財宝が石やガラス片に変わった」と……そう、魔剣の力には時間制限があったのだ。
この事件から商会の信用は地に落ち、まともな商売を続けられずネイサンの家は破産にまで追い込まれた。

「未来あるお前を学校に通わせないばかりか、自分の負債を背負わせるような真似はできない」
「冒険者であれば魔法を磨き、生きるための金を稼ぐこともできるだろう」
と言った父親から路銀と旅の装備を渡され、冒険者への道を歩むことになった。