前述の通り、ポロックの家庭環境は酷いものがあった。あえて例を挙げるとするなら、暴力を振るわれるのは当たり前。まともな収入はなく、しかし家族の人数だけはある。
……そんなポロックが生きて行けたのは、冒険者の兄がいるからだった。兄という抑止力と収入源があるからこそ、何とか生活を続けることが出来たのだ。

だが、一家の大黒柱をになうには、冒険者とはあまりに危険な職業であろう。……残念なことに、兄は死んでしまった。
そこからは地獄であった。無論、今までも十分地獄ではあったが、これまでは兄という心の支えが存在していたのだ。もはや、不幸に底など存在しないのかも知れない。

そうしてポロックは、お金を稼ぐ必要に迫られた。そうでなければ、命を繋ぐことさえままならないのだ。
見た目のよい、しかし何ら特別な技術を持たない人族が、すぐに金銭を得る方法……そういった行いにさえ、手を出さざるを得なかった。
……だが、しかし、ポロックにとってそれはひとつの希望でもあった。あるいは、自身の体に残る虐待の跡を見て、手を差し伸べてくれる者がいるかも知れないと。
成年に満たない子供の体を金で買おうなど、そういった者たちに、そんな良識があるはずもないのだが。
その希望は、せいぜい、マゾヒズムと掛け合わせた卑猥なあだ名をつけられる程度に終わってしまった。

ある日のこと。ポロックの元に、ある荷物が届いた。
それは兄の遺品であるといい、その内容は彼の愛用していた〈クォータースタッフ〉と、魔術の知識を記した手記であった。
それを見たポロックは、これをメッセージと受け取った。お前は冒険者になるべきだという、兄のメッセージであると。……そうすれば、きっと、金銭に困ることはあるまい。

10分くらいで考えた、フレーバーテキスト的な何か