履歴
「ダーウィン・ロジーだ。ダルと呼んでくれていいぜ相棒。」
只のダーウィンは孤児として生まれ、自身の両親を知らずにヴァイスシティで育った
高い壁に阻まれ、生きることすら認められない街でただ漠然と死から逃げる生活だった
そんな中でもいつしか友人ができた
バカで回りが見えないナイトメアのローレンスと男勝りな人族のデリラだ
「ダル、何とか許可証を奪えないかな。」
「無理なものぐらい分かれよ。第一、俺たちじゃ見た目で許されないよ。」
「ロン一人で行ってきなさいよ。」
「おおぅ、諦めた。今諦めたよ。ったく、優しい言葉が欲しいぜ。」
「やさしさか、デルにはねぇな。」
「優しい私が引導を渡してあげましょうか?」
「「はは、笑えない。」」
年もわからない彼らは誰が年上か揉めにもめ、その当日を誕生日として10歳を名乗った
何時か死ぬ、明日か、明後日か、だから今日を生きた
ローレンスはその日の目標を作り、三人で取り組む、何故始めたのかも覚えていないが、その時間が何より楽しく、幸せだった
同じ目標の日もあった、無理難題もあった、不毛なものもあった、それでよかった
「ロンが死んだ。」
デリラに聞いたのは風邪で寝込み、熱が引いた翌日だった
その日は二人で始祖神の大神殿跡へアンデットを一目見るのが目標だった
結果はロンの死、突然現れた魔神に殺されたらしい
以来、二人が集まることはなかった
15歳、成人とされるその日に盗んだ蒸留酒を呷り、ふとデリラも成人を迎えたのだろうかと思った
死んでしまっているだろう、これまでのたった5年が生半可なものではなかったからこそそう思った
しかしどうにも気になって調査した結果
蛮族に捕らえられ、奴隷にされていることが分かった
「関係ない、もう関係無いんだ。」
切り捨てることは簡単だった
だが捨てきれなかった、デリラをじゃない、デリラとまた会いたいと考えてしまう自分をだ
少ない金で情報屋を頼り、辿り着いた
馴染みの盗品屋に剣と盾を買い、蛮族の闘技場へ向かった
それがデリラを売るために蛮族が出した交換条件だったからだ
「ほれ、ファイトマネーだぞ。」
3戦を乗り越え、剣を血で染めたままの俺に蛮族は笑いながらデリラを渡してきた
もう彼女は人ではなかった
肘と膝から先を失い、媚薬の中毒症状に苦しむ"それ"はもう俺を誰かも分からないようだった
それでも、もしかしたらと思った
だからプリーストを探した、薬師を探した
何とかなる、生きていれば、大丈夫だ
その翌日、彼女は舌を噛み死んでいた
21歳、この街で生きる術を理解してきた
必要なものはほとんどが手に入ることを知った
だからこの街を出た
この街で幸せになることが嫌だったからだ
遠く、その一心でランドール地方へ足を進める
道中山賊を追い払ったことをきっかけに小国オエリアにてバウンティハンターをしながら生計を立てることにした
それがきっかけで名をオーフェンと偽った
知名度とともに様々な依頼が舞い込み、掃除でもなんでも依頼があればやった
その際オエリアの姫の愛する兵士がいると、侍女に姫の男関係で助力した
22歳、オエリアにて第2歩兵中隊長ザンスに声を掛けられる
「腕を見込んでだ、協力してほしい。アインから聞いているよ。」
「・・・これはこれは、プリンス直々のお誘いとはね。」
「そう言わないでよ、僕も身分不相応で参ってるんだ。」
姫の男だった
傭兵として実力を認めさせ、164人を束ねる傭兵中隊隊長となった
戦績は上々、しかしオエリア全体としては芳しくなく、敵国マゼンタとの戦争開始から2年、領土の2割が奪われていた
4回目の出陣で村が戦場になり、一人生き残った村娘のロジーを雇う
「これを一人でやったのか?その得物で?」
「生きるために。」
「そりゃすげぇ、驚きだなぁ。」
「あなたは私の敵ですか。」
「お前次第だ、どうしても戦いたいなら相手になるさ。」
後に傭兵中隊副隊長にまでなり、オーフェンの最も信頼する腹心となる
26歳、状況は悪化
領土の5割を奪われ、第1歩兵中隊長、第2、3弓兵中隊長、第3魔法小隊長を代表に部隊に大打撃を受ける
打開策としてオーフェン、ザンス主導の魔動機文明の迷宮探索が行われる
最深部の罠でロジーが死亡する
そこで中距離戦術兵器アノニマスを3門発掘
視覚できない魔力の砲撃によって戦況を打開、戦勝国となる
とはいえ多くの犠牲を払ったため、傭兵団にも正規軍への勧誘が行われたが、オーフェンは辞退
名が知れすぎたためブルライト地方へと流れた
それとともに伸び散らかしていた髪と髭を整え、名をダーウィン・ロジーと名乗った
それからドーデン地方とブルライトを往復し、油を輸送する仕事をしていた
43歳、鉄道の復活により職を追われ冒険者となる