コボルド・コブリン・ダガーフット・アローフット・ボルグ・コボルド
シールドフッド×・レッサーオーガ×・オーガウィザード×・ヘルハウンド×・ボルグヘビーアーム×

私は小さい頃、2つの群れに属した経験がある。始めにいた群れは私が生まれ、そして幼少を過ごした群れ。その群れが好きだった。父も母もいた、皆も優しかった。お互いが支え合いいつも笑顔だった。しかし自然災害に巻き込まれ皆散り散りになってしまった。そうして幼い私は別の群れに拾われることとなった。
その群れでは雄ばかりが優遇されていた。雌は強い雄のハーレムに加わるため必死で芸を磨くことが良しとされていた。そんな中、密偵や戦士の訓練を受け、力を伸ばそうとする私は群れの皆からは煙たがられていた。雄にはどうせ何をやっても無駄だと馬鹿にされ、雌からは将来を棒に振っていると嘲笑われた。
そんな群れの中でも私についてくる酔狂なやつもいた。何でも私を頂点としたハーレムの一員になりたいだとか。正直そう聞いた時は大声をあげて笑ってしまったが、その頃からかもしれない。

私がこの群れのルールとなる。
幸いこの群れは弱肉強食、実力主義。強くなりさえすればいい。
その信念を掲げ訓練に打ち込む私を群れは良しとはしなかった。ある時訓練中に雄共が徒党を組み私に襲いかかってきたのだ。訓練を積んでいたとはいえ私もまだ大人数には敵わなかった。腹部は剣で貫かれ、危うく致命傷となるところだった。
その時私の中に恐怖が生まれた。このままでは私がルールを変える前に命が尽きてしまう。そうなれば、私についてくると言ったあの娘達はどうなってしまう。

強く、ならねば

己を守るため。信じてくれる者達を守るため、強くならねばならない。

そうして私は齢27にして旅に出ることにした。私を慕う愛しい者達を残して。

　まずはスカウトギルドで行先のギルドについての情報でも集めることにでもするかと普段は飲みに行くことでしか利用しないスカウトギルドへと向かう。いつもの席へ座ろうと思うとその席の隣には背が高ぇルーンフォークが座っていた。席へ着きビールでも頼むかと思ったところで隣から気になる単語が出てくる。
「ハーヴェスへの安全な道を教えてください」
なるほど、こいつもハーヴェスへ行きたいらしい。耳を傾けているとマスターが何も頼まないのかと怪訝な顔でこちらを見てくる。うるせぇ後で注文するから今は話を聞かせろ。
　話を聞いてみればどうやらこいつも冒険者になりたいらしい。マスターとそいつが話を終えたタイミングで話しかける。旅は道連れ世は情けと聞いたことがある。ギルドにつくまでの短い間だろうが誰かと旅をするのも悪くはないだろう。

　冒険者ギルドにつくとあたしたちの他にも3人いた。ゆるそうなメイドとちっこいのと黒いの。ちっこいのと黒いのは兄妹かと思ったが違ったらしい。
　メイドが皆でパーティーを組まないかと誘ってきた。群れでは腫物扱いだったから誰かから組もうと誘われたのは驚きだ。互いに自己紹介をしてパーティーを組むことになった。ギルドマスターには一人で冒険をするのはやめるべきと念押しされたがそんなにあぶねぇもんなのか？

　ギルドで一日休ませてもらった後、ギルドマスターから依頼、というかお願い？をされた。どうやらここのギルドではそういうシステムらしい。昨日組んだメンバーで近くの村に向かうこととなった。
　村に行くまでの途中で蛮族と遭遇したが、ツバキが皆の防御面を底上げし、オーウェンが敵の攻撃をかわし、ミーティアがハンマーでぺしゃんこにし、フィリカが的確に敵を打ち抜き、なかなかバランスの取れたメンバーのようだ。

ところで、この森はこんなに蛮族が出るもんだったか...?

最初の戦闘は少し時間がかかったものの何とかギルドマスターに言われた集落にたどり着くことができた。集落をぐるりと見渡すと畑は荒らされ、建物はボロボロで酷い有様だった。

蛮族の襲撃に備えとりあえず待機することになった為フィリカとオーウェンと共に近くの森で食料調達することになった。近場にいた鹿を狩って合流したところフィリカが乳牛を連れてきていた。この森にそんな珍しいもんいただろうか。オーウェンは草を取ってきていた。肉はあまり食べたことがないらしい。もったいねぇ！絶対損してるぞ。

襲撃が来るまでは一時的な休息だ。取ってきた獲物を村人達に振舞ったり、逆に野菜を分けてもらったりした。
オーウェンが酒が作れるらしいので飲み比べをしようとツバキから提案があったので勿論乗った。オーウェンに色々言われていたがそういえばツバキは神官だったな...いいのか？飲んで。
ミーティアも意外と乗り気で参加してきた。フィリカもノリノリとではなかったが参加するらしい。酒弱そうなのに大丈夫か？

飲み比べは意外な結果だったらしい。正直記憶に残ってないがどうやら賭けを始めたツバキと私が1番目に脱落、続いてフィリカが。最後まで残っていたのはミーティアだったらしい。フィリカにも負けたのかわたしは...いや、きっと飲み比べの前から酒を入れていたからだ！

村長に起こされて飛び起きる。周りを見るとミーティアとオーウェンが居ない。ツバキとフィリカも同じタイミングで起きたようだった。早く外の様子を見に行かなければ
外ではミーティアとオーウェンがそれぞれ魔物と応戦していた。ミーティアの方に加勢した方が良さそうだったためまずはそちらに向かう。こいつら、どんだけ増えるんだ...

なんとか敵を倒し合流した。村人への被害はなかったらしい。不幸中の幸いだった。久々に他のやつと時間を共に過ごせたことで浮かれて飲みすぎてしまったことは反省しないといけないな

村に来るまでと先程の戦闘で物資を結構使ってしまったため、1度ハーヴェスまで戻ろうかと話していたところ村長が、ハーヴェスよりも近い場所に買い物ができる街があると教えてくれた。ついでに街の様子も見てきてほしいとの事だったのでその街に向かうことに。

街に行くまでの間罠のようなものが多数あった。ツバキが岩に挟まれた時は多少の笑い話ですんだが、ツバキ以外が落とし穴にはまった時は少しヒヤリとした。落とし穴までの道中で薬草を見つけておいてくれた2人には感謝だ。にしてもなんでこんなにトラップがあるんだ？もう実は街は占拠されたりしているかもしれない。気をつけよう。

街についたが街は平穏そのものといった感じで別段荒らされた様子もない。買い物を済ませたあと飯を奢ってくれるという親切な街の人について行き事情を聞くことにした。
話を聞いてもやはりというか、街は平和らしい。トラップについても聞いてみたがあまり知らないようだ。この街は宿屋が少ないらしく案内してくれるらしい。普通何でもない冒険者、しかも名も売れてないような相手にこんなに親切にするもんだろうか？

宿屋に案内してもらったが私は借金はあっても持ち金はない。皆の負担にもなりたくはないので最悪外で朝まで過ごすか等と考えていたらタダで泊めて貰えるらしい。
案内された先は地下だった。随分暗い所を進んでいくなと思った。まあ雨風は凌げるし十分だと思ったが外から南京錠をかけられたことには驚いた。最近はセキュリティ意識が高いところが多いと聞くがそんなとこだろうか。