なんてことないエルフの集落の出
なんてことない…なんて言ってるけどそれなりに大きなコミュニティーで軽い君主制が行われていた。
エクマジ家はそんなコミュニティの中でも人間国家で言うところの貴族に当たる家柄で魔動機文明の頃から貴族位を貰っていた古株だった。
無論エルフだって子供の頃は毎日が新鮮と驚きの連続で大人よりも好奇心旺盛だった。

ある日、親の目を盗みコミュニティの外へ探検に出たフエンは新鮮な外の景色のおかげかドンドンと森の浅い方へと進んで行った。この頃は動物達の繁殖期に入り凶暴化していたが、そんな事は露知らず、見つけたフォレストコングを遠巻きに観察していた。普段ならエルフとしての聴力で接近に気づけただろうが、観察に夢中だったのだろう、後ろから迫り来るもう一体のフォレストコングに気が付かず、その剛腕で思いっきり吹き飛ばされ、木に叩きつけられた。肩から木に叩きつけられた為左腕は一切動かず、受け身もろくに取れず立つことすら困難になっていた。

自分の存在に気が付いたもう一体のフォレストコングもやってきて死を覚悟した。
「☑☑☑☑☑☑☑☑☑☑☑！！□□□□！□□□！」
「「「☑☑☑！！」」」
閉じゆく視界の端では先程まで殺されそうになっあフォレストコングが一方的に蹂躙されていた。
それを見ると緊張の糸が途切れて目を閉じた。

気がつくと先程の冒険者達がフォレストコングを剥いでいた。目が覚めたことに気が付いた冒険者の1人が傍に近寄ってきた。何か話しかけてきているが何を言っているのか分からない。
「あ、交易共通語分からなかったか。これで伝わるかな？」
どうやら困惑の表情が伝わったのかエルフ語で話しかけてくれた。その人達から色々なことを教わった。自分達は冒険者という身分だと。今の森は動物達の繁殖期で危険だと。先程のフォレストコングは異常な進化をした化け物だと。そして…左腕はもう使い物にならないかもしれないと。魔法で再び生やすことが出来るらしいけど、何故か上手く機能しないらしい。そして今は魔法で無理やり治しているけど使わなくなったら壊れちゃうらしい。よく分からない
こちらも何故こんな所にいるのか諸々の事を冒険者達に話した。すると集落まで送っていってくれる事になった。

道すがらでも動物、魔物と遭遇した。噛まれると石になってしまう蛇や牙がとても発達した犬、自分で動く花にも遭遇したか冒険者が苦戦することも無く打ち倒した。
集落に着くと長や貴族達が村の門に集合して弓をこちらに向けていた
「☑☑☑☑！□□□□□□□□□□！□□□□□□□□□□□□！」(「人間共よ！何をしにこの地へ来た！ここは我らエルフの領地だ！」)
「我々は貴殿らの子供を森で保護した！森は今動物達の繁殖期になり危険な為護衛をしていた！どうかその弓を下げてはくれないか！」
「ほう？エルフ語を喋れるものがおるのか。皆の者武器を下げよ！エクマジの家の者だ！手厚く歓迎せよ！これは王としての勅命である！」
王様には「どうしてエクマジの家系のものは必ず冒険者に助けられるのだ…」と言われたけどなにを言ってるのかよく分からなかった。父様と母様にも血は争えないと言われたけど…何を言ってるのだろう？

冒険者さん達と父様と母様がお話をしていた。どうやら左腕がぎしゅになるらしい。2人ともとても悲しんでいた。

この日はお祭りだった。なんでも助けてもらった恩人に感謝を示すためらしい。冒険者でじゅう？を使うエレンさんは集落1番の弓の使い手シェンイさんとの的当て勝負で圧勝していて凄かった！

夜中にますいってやつを打たれて左腕が切り落とされた。不思議と痛みはなかったけど喪失感から泣いた。その後すぐにお爺様が倉庫から色々なものを持ってきて左腕を作ってくれた。今日からこれが左腕らしい。扱いづらい…

冒険者のみんなは街へ帰ってしまうらしい。エレンさんが腕に魔法をかけてくれた。おまじないと言うらしい。将来僕もエレンさんのような冒険者になりたいと父様と母様に言うと色々教えてくれた。エクマジ家の当主は代々冒険者に助けられるらしい。よく分からないけど兎に角いつか必ずエレンさんのような冒険者になる！