おっちょこちょいで師匠であるアンリ＝ジェストの後ろばかり追いかけている10歳
行ったことない場所など行くと、エルフのサガなのかあっち行ったりこっち行ったりして迷子になったりする。
寒かろうが暑かろうが首元にマフラーを巻いている。
ちなみにアンリ＝ジェストの事を勝手に師匠呼びしている。

人が全く立ち入らない場所にひっそりとあったエルフの里で、何不自由なく暮らしていた。
しかし、そんな幸せな日常は突如として壊れる事になる。
ある日、母親と共に薬草取りに出かけた時だった。
鳴り響く足音と、荒い息遣い、轟く咆哮。
硬く伸びたツノに、自身の何倍もある体格。
ミノタウロス..そう理解し、駆け出した時にはもう遅かった。
そのミノタウロスの大きな手で、彼らの体を掴み上げた。
体をよじっても、足をばたつかせても身動き一つ取れず、結局彼らの巣穴に運ばれてしまう。
中は薄暗く、獣臭や血や腐敗臭が鼻を突く。
吐き出してしまいそうな中、壁に思い切り叩きつけられ気を失ってしまう。
薄れゆく意識の中、髪の毛を引かれ洞窟の闇にの方に連れてかれる母親が、必死に彼女の名前を叫んだがそれは酷く寒い洞窟に響くしか無かった。

それからは地獄のような日々だった。
聞こえてくる誰かの悲鳴といつ自分が酷目にあうか分からない恐怖。
それでも..ボロボロボロになりながらも我が子を守ろうとそばにいた母親だけが唯一の救いだった。
そんなある日だった。
洞窟の奥から足音が聞こえる。
否、地鳴りのような奴らの足音ではなく..人間の足音。
もう少ない精神を使って音の方に顔を向ける。
徐々に現れたその姿は、一瞬神にすら見えたがそれは全くの別物。
それは金品目的で忍び込んだ盗人。
しかしそれでも彼女にとってそれは、蜘蛛の糸を掴むような思いだった。
掠れた声で思わず助けを求めた。
気づいて欲しくて、必死に鎖に繋がれた首輪を引っ張って、少しでも近づこうとする。
そんな必死な思いに神が慈悲を与えたのか、それともお宝の音と勘違いしたのかは定かでは無いが、確かに彼がこちらを見たのだ。
彼はこちらに近ずき、腰掛け首を捻った。
必死に何度も助けを求め続け、彼は自分の首輪を解いてくれた。
これでようやく開放される、そう思ってお母さんの体を揺する。
しかし、返答は無い。
何度も揺するがやがてその体は倒れ、一切動かなくなった。
もう一度母親の体に触れようとしたところで、腕を彼に引かれてしまう。
何度も振り返り、泣きながら母親の名前を叫んだが、やがて強い衝撃と共に意識はブラックアウトしていく。

次に目を覚ませば、ボロボロな天井と壁が目に入った。
状況が理解できない中、洞窟で自分を救ってくれた男性がこちらを見ていた。
それを見て、思わず目からまた涙がこぼれ落ちた。
これはきっと助かって嬉しいとかじゃなく、自分が弱かったから母親を守れなかったのだと後悔したのだ。
だから彼に彼女は尋ねた。
強くなる方法を。
彼はそれを教えてくれた。
決して正義とはかけ離れているかもしれないが、彼女にとってそれはどうでもよかった。
彼の名前はアンリ＝ジェスト。
彼は生き抜くための力と名前を与えてくれた。
そんな中、彼が捕まりその間昔から気になっていた魔法に手を出すことにした。
それが案外体に合っていたのか、基礎をすんなりと覚え、アンリをら驚かせることになるのだが、それはまた別の話である。

その後は魔法をより学ぶために師匠(勝手に呼んでいる)と共に冒険者になる。
首元の首輪の跡はマフラーで隠している。

チェーロの負の感情に目前から目を付けていた、そこでこっそりとチェーロの中に介入しそこで黒い感情を取り込んで行くことで力を付ける事に成功した。
彼女の望みは、いつかこの体を乗っ取り"私"に成り代わる事なのだが、今のところは上手く行っていない模様。
性格はチェーロの性格を真逆にしたような様で、ヘラヘラしてて少々やり過ぎな面が見られる事がある。
好きな物は、酒、金、面白い事。

『は..初めま..まして..です』

『師匠?!置いてかないでくださいよぉ..!』

『私だって..!!』

『な..何とかなりました..し..死んじゃうかと思いましたよ..』