容姿・経歴・その他メモ

経歴：忘れられない恐怖を体験したことがある

経歴：監禁されたことがある

理由：失われた場所を取り戻す
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元はリカントのみで構成された、とある部族の出身。
決して裕福な生まれではなかったが、それなりに平穏な生活を送っていた。余所者が里を荒らしに来るまでは。

9歳の頃に里が襲撃され、里の大人達は皆殺しにされた。生き残った子どもたちも一人残らず拘束された。ある者は奴隷として死ぬまでこき使われ、ある者は欲情の捌け口として使い潰され……この少年も、その運命を辿ることとなった一人である。
引き渡された先は、酔狂な貴族の館。よりにもよってその女は、人の悲鳴を聴くことに執心していた。毎日のように鞭打たれ、縛られ、焼かれ……初めは抗っていた少年も、いずれはその瞳から光を失った。

それからしばらくのことは、何も覚えていない。

次の記憶は、視界に突き刺さる光。差し伸べられた手。
貴族の女は死に、少年は幾年振りかの自由を得た。
しかしながら、彼は生き方を知らなかった。
自分を助けてくれた男の一党に付き従いながら、彼は抜け殻のように生きていた。

1年ほど経ったある日、男は問うた。「お前さんは、どうしたいんだ？」
言葉に詰まる少年。どうしたい、だなんて、とうに忘れてしまったことだ。
「難しく考えんな」「お前さんの心に、正直に答えりゃいい」

「……おれ、は」

その時は、まだ答えは出せなかった。男も「ゆっくりでいい」と答えを急ぐことはなかった。

冒険に付き従い、世界を見る中で、ある日不意に口をついて出た言葉。

「会い…たい」

「ミナ……おれの、とも、だち」

思い起こされたのは、とある少女の記憶。
周囲に馴染むのがあまり得意でなかった自分にも、嫌な顔ひとつせずに接してくれた少女。
あの日、離れ離れになるその瞬間まで、ずっと傍にいてくれた少女。

ミナ。

何処へ行ったのか、まだ生きているのか、何一つ解らない。だとしても。

「－－そうか」

「ついて来な。うってつけの仕事を紹介してやるよ」

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