君は新米の冒険者だ。ヴァイスシティ出身者であるかどうかは、自由に決めて構わない。
ある日、君は冒険者ギルドの依頼掲示板に興味深い依頼が張り出されているのを見つける。
“死体収集家”ベネアス・ディケット（人間/男/32歳）の抹殺だ。
ベネアスは、200人以上を殺害し、その死体を切断して一部を持ち帰った罪によって、いまだ逃走中にもかかわらず、いくつかの国から死刑宣告を受けている殺人鬼である。どうやら冒険者ギルドは、その居所を掴んだらしい。
報酬は2万ガメル。金額からして熟練の冒険者向けの依頼だろうが、受注条件にはなにも書かれていなかった。
おそらく、何組かの熟練冒険者たちに断られたのだろう。その理由は、ベネアスが潜伏していると思われる場所にある。
ヴァイスシティ。悪名高き“悪徳の都”だ。彼の街では、“奈落”から現れる魔神との戦いがいまなお続いており、市街地を囲む城壁の外に打ち捨てられた廃墟の如き旧市街には蛮族が跋扈していると言われている。間違いなく、アルフレイム大陸においてもっとも危険な場所のひとつだ。
どう考えても、通常の依頼をこなしていけば十分な稼ぎを得られる立場である熟練の冒険者たちが好き好んで行くような場所ではない。冒険者ギルドとしては、依頼の受注条件を緩和せざるを得なかったのだろう。
それが君には幸いした。。なんとしてもこの依頼だけは他人に任せるわけにはいかない、ベネアスは、君の手であの世に送ってやらなければ気が済まないのだ。なぜなら、あの殺人鬼は、君の愛する家族（あるいは恋人や親友）を殺し、その頭部を持ち去った憎むべき相手なのだ。
冒険者ギルドの受付嬢は、ヴァイスシティがいかに危険な場所であるか説明して、君に依頼を受けることを諦めさせようとしたが、無駄な努力だった。最後には、受付嬢のほうが折れて、君に〈竜牙の割り符〉をくれる。
この割り符は、ドラゴンの牙で作られた円形の符を半分に割ったものだが、片割れは協力者が持っているらしい。協力者は、トリシア（リカント/女/19歳）という【酒場〈死にたがりの亡者亭〉】の女給だ。
受付嬢は、ヴァイスシティに到着したらトリシアを訪ねて協力を得るよう、君にアドバイスする。
こうして、君は復讐を果たすべく、ヴァイスシティへとやってきたのである。