■父はアイルも里から連れ出そうとしたが、アイル自身がそれを拒否。というより必要性を感じなかった
■確かに自分(と姉)は里の中では異端ではあるものの、それだけだとしか考えない
■里の外でも多種多様な人種が存在し、各々に見合ったルールが敷かれ生活をしている。エルフとナイトメアは生物学的(と、ソドワ世界で言っていいのかはわからんが)には別種族なのだから線引は必要
■今の生活に不便を感じていない以上、外に出ようとも思わないし母を一人にしたくもなかった
■たまたま里を訪れた遠方より来た旅人、その人物は魔動機術を学んでおり高い魔力を持つにも関わらず里人達の扱う魔法が行使できないアイルに気まぐれで魔動機術を伝授。アイルの魔動機師としての才能が花開く
■ナイトメア×双子×魔動機術と、エルフから更にかけ離れた素養となってしまったが当人は気にしない。ただ、里人が良く思わないであろう要素が増えてしまったことには自覚もあり以前父の誘いを断った時よりは外の世界への意欲が増していた
■またエルフ譲りの探究心もアイルの中には存在し、自身の才能である魔動機術の知見をより深めたいと考えていた。それは里の環境では伸ばせるものでもなく、彼女の心中が理解できる母もまたアイルが外の世界に出ることに反対はしなかった
■そうしてアイルが外の世界に懸想する気持ちが日に日に高まっていくと、渡りに船とばかりに自らの半身からその手が差し伸べられる
■ああ、やはりこの人は自分のことを一番理解してくれているのだ。父と共に魔動機の土産を持ち帰り、常に私のことを気にかけてくれる大事な存在。またしても今、私の願いを叶えてくれる

こうしてアイルは双子の姉、セーヴィルと共に冒険者になった。
エルフに非ずとも、確かにエルフの血を滾らせたその探究心を満たすために未知の世界へと躍り出た。

ただそこにあるのは"知りたい"という純粋な気持ち。
彼女の頭の中は大半がそれで占められており、そこに姉の想いを察しようとする思考はなかった。