解説

人も蛮族も話し合えば分かり合える。そう信じていた。お母さんも妹も弟もうちと一緒に信じていた。
お父さんはそれを心配そうにしていたけど、でもお母さんが好きだったから信じていた。

お母さん死んじゃった。みんなが言う「それ見たことか」

お父さんは何も言わなくなった。ただ武器ばっかり作ってる。うち達のことを見てくれない。
うちが家族を守らなきゃ、商売の真似事をしてお金を得て、お父さんが作った武器を売って、食べる分と、武器を作る鋼の分でなくなっていく。
必死だった。家族が生きていくためにも。頭の中でよぎる言葉を無視してでも
「確かに、話し合う暇すらないな」
気が付いたら村がおかしくなっていた。武器は売れたが、その武器で村の中で殺し合いが始まる。

妹が話し合いをしようとした。村の人たち、妹を殺しちゃった。
村人は言う「お前たちが悪い。お前たちこそが悪なのだ」

人族でも話し合わないじゃない。話し合いなんて無意味だ。剣を取ろう。

うち、鍛冶師の才能はないけど、人殺しの才能はあったのね。




彼女の神への祈りは届かず、剣はここに首を刎ね続ける。