ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

イリス・レポート-0 - ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

イリス・レポート-0

基本取引価格:取引不可
cr
知名度
形状
古い紙束
カテゴリ
製作時期
不明
概要
イリスの書き記したレポート
効果

由来・逸話

コルガナ地方のとある場所を示した地図と紙束

魔剣の迷宮について

コルガナ地方南部・クルツホルム郊外の地下迷宮の奥深くにその魔剣は存在した。
情報の発信源は影法師のような男。それはローゼンクロイツ、あるいはトリスメギストス、あるいはパラケルススを名乗る異端者。
信頼性はないが、利用しない手もない。私は学者として、護衛に何人かの冒険者を雇用。最深部まで幾度となく迷宮の罠や守護者との戦闘を経たが、古代魔法文明時代のその迷宮には、いくつか興味深い記録が残されていた。
最深奥の魔剣を発見後、その場で雇った冒険者たちを殺害。
迷宮の守護者である強力な魔物との戦いの直後であり、負傷も大きく見られたため、時間は必要としなかった。
詳細は後述するが、元より大きな危険の伴う迷宮であったため、彼らが戻らずともギルドは何も不審には思わなかった。

迷宮のもつ情報

迷宮の遺跡には魔剣に関係すると思われるいくつかの石碑が発見された。
ひとつは、この魔剣の生まれ。
ひとつは、この魔剣の力。
ひとつは、この魔剣の目覚め。
特に、魔剣の生まれに関する石碑にはいくつかの種類があり、特に生まれについての記載は、私の目的に一歩近づくことのできる情報だと確信を得た。

●魔剣の覚醒

魔剣は白い刀身の直剣。長さは1.2mほど。私の筋力でも持てる程度には軽い。
武器として扱うには貧弱と言わざるをえない。
石碑により、目覚めさせるには人族の血が必要であることがわかっていたので、殺害した冒険者たち4人分をその場で利用した。しかしながら、その場ではまだ力の覚醒を確認はできなかった。
元々学者兼医者でもあったので、人を密室に連れ出す分には苦労することもなく、年齢、種族を問わず8人を殺害したが変化せず。
夫に蘇生させることを約束させた上で、私自らの喉を魔剣で引き裂いた。
目覚めると、私を蘇生させるために魔法を行使していた夫は息絶えていた。
体のほとんどを蝗によって食われ、動かなくなっていた。蟲たちは私を一瞥したように見えたが、飛び去ってしまった。この時を境に、私は食欲というものを失っていた。
後にわかったことではあるが、この魔剣はいくつかの人の命、そして私の中にある欲望のエネルギーを奪い取ることで、命の形に変化を与えることができるようだった。
生活拠点を移したのち、生まれたばかりの娘を魔剣に与えた。

●魔剣の能力

魔剣の命を生む能力は、私の知識欲を強く刺激した。
人と魔物の境界を破壊し、新たな未知の生命を創造する力。世界の創造主にも近しい能力。
この力を使えば、新世界で生み出す命の進化に、未知なる変化を見ることが出来るかもしれない。
魔剣にはもうひとつ能力があった。
それは、周囲を塩に変える力。
この力は生命を生み出す際の余剰能力であると推測していたが、後の調査により、これそのものが本来の能力であることがわかった。
ひとまず、この魔剣を「ネツィヴ・メラー」と呼称することにする。

●魔剣の生まれ

そもそもこの魔剣はどのような目的で創造されたものなのか。
それはこの魔剣が置かれていた迷宮の石碑を再び調査することで明らかとなった。
以後、石碑の記載と眷属たちの証言を元に私の推測を足した経緯を記載する。

古代魔法文明時代、場所はブルライト地方南部、現在のふんばり剣溝の付近。
その者は星の外より飛来した。
隕石によって現れたそれは、まずその落下の衝撃で大きな地震と地殻変動を起こした。
ここまではある種の天災と言うべきものだが、調査と復興に携わった当時の人間のうち、1人がある日を境に体調不良を訴えるようになった。
神の啓示とは異なる頭の中に聞こえる声。
隕石の発する強力なマナによる障害を疑われたが、原因がわからないままその日は訪れた。
突如として問題の人物から翼が生え、辺りを塩に変えた。人々は白い石柱のように変化し、建物もまた白く染め上がった。
当時の人たちは塩に変わりゆく肉体の変化に恐れながらも、ソレと戦った。当然ながら塩に変えられながらでは戦いようもなく、それどころか塩に変化した者が怪物となって動き出した。まるで眷属のように怪物に付き従い、周囲の街や都市を蹂躙し始めた。
世界の滅亡。まさにその言葉通りとも言える光景。その凄惨な世界を終わらせたのが、『魔剣』である。
そこに訪れた旅人が持ち合わせていた、
「切りつけた無機物を刀身に収納できる魔剣」
人の大きさと同じほどの容量を持つ、旅に便利なものであったが、1つしか入れられない上、攻撃力もなく、魔動機や魔法生物などの魔物には効かない代物であった。
しかしながら結果として、その魔剣と怪物は融合することになる。
周囲を無機物の塩の結晶に変化させる力が魔剣によって乱反射し、怪物を塩の塊として、そのまま魔剣の中に閉じ込めることになった。
魔剣研究の中では、その力を持つレベルのものは第三・第四世代級であるそうだ。
魔剣と怪物の融合については、本来より怪物が持っていた「生命と無機物の境界を破壊することよる新たなる生命の創造」
の能力が影響していると考えられる。
※この能力は人を塩化させる能力に付随する。
魔剣に収納したものの、融合したことで取り出すことが出来なくなった。つまりは、擬似的な封印。旅人が語るに、所持者の血を与えることで中身を取り出せるのだという。
本来なら指先を少し切るだけでいいが、あのような怪物を出すわけには行かず、アルフレイム北部のコルガナ地方の地下深くに移動させることになった。

●怪物の眷属

このレポートを作成するにあたり、大きく貢献したのが、迷宮の石碑と魔剣によって生み出された怪物の力の一部。眷属である。
彼らは我々の言語を理解し、我々の持つ魔法の力を利用する知性が存在した。
最初に現れた蟲たちもおそらくその一部だろう。
地上で生み出した者たちは、私の血と渇望の力を使って生み出された者たちだ。
私との繋がりはあるが、私の指示には従わない。
アバドン、クロセル、ジュデッカ、マキナ、テラー。
アモス、という存在はいつの間にか生まれていたようだ。
私とあの男の遺伝子を足して割ったような見た目をしていたから、あの赤子から生まれた者なのだろう。
かつて存在した、古代魔法文明時代の都市、ヴェリトールの場所の特定には時間を要したが、ふんばり剣溝の奥地に行き着くと、眷属は少しの血だけで生み出せるようになった。
彼らは私の一部ではなく、魔剣の一部として生み出された者のようで、魔剣を持つ私にある程度の忠誠を見せた。

●外宇宙の生命

さて、この魔剣の力と生まれについて調べるうちに、ひとつ疑問に残るものがある。
『まず、この怪物はなぜこの星に来たのか』
眷属たちに聞いても、その真相は語られなかった。
生物として見るなら、種を繁栄させるためであるが、彼らに生殖本能や器官のようなものは見られない。
であれば目的はおそらく、『侵略および、領地の拡大』
自身の住みやすい環境に周囲を変化させること。
自身の眷属を生み出し、星に住む生命を蹂躙すること。
星に住む人や他の命を隷属させないが、融合し、支配することから、侵略こそが彼らの目的であると仮定できる。
天を彩る星々には神が宿ると考えるこの星の住人たちからは想像もつかないだろうが、我々のような知性体が存在するのだろう。
そして彼らは、我々が海を渡って新大陸を見つけるように、『星を渡って新たな居住地を見つける』。
そして、ネツィヴメラー同様に、他の外宇宙の生命も存在する。であれば、それらによる縄張り争いも存在する。
この星の気候は生命にとって適応しやすく、それだけで、侵略するに足る理由があると言ってよい。当然、そのような常識が外宇宙の生命体に必ずしも通用するわけではないが。

●傾向と対策

魔剣ネツィヴメラーを利用し、世界と私自身を融合させる。信仰の力で私を神の位階に押し上げた後、環境を一度リセットして作り変える。
新たに生み出される命は人の形をしていない可能性もあるが、進化の過程を経過観察するには充分である。
そして、外宇宙から新たに未知の存在が訪れた場合も考慮する。この怪物との関係値は不明瞭だが、影法師によって知り得た”外的手段による要素の融合”。彼らの力の源泉にもなりうる部分だが、利用しない手はない。
万が一、彼らとの交戦となる場合、人族にも対抗し得る手段がなければならない。
このレポートを読む必要がある者が手に入れられればよい。
その手段を、魔剣を手に入れた迷宮深くに戻しておく。

製作者:クルー