テンガロンハットがトレードマークのおっさん(風)ルーンフォーク。手首や肘などの関節が金属製。
　基本的に苦手な動物はいない。蛇は財布や鞄の状態まで原型を留めていない状態であれば大丈夫。

A：3-2　一定期間の記憶がない
B：6-3　命を助けられたことがある
C：3-3　苦手な動物がいる
冒険に出た理由
　失われた文明を取り戻すため

「はい、手続き終了です！次は気を付けてくださいね･･･?」
「･･･すまない。」
　私の名はイーストン・ウェイルベルム。しがない学者"もどき"だ。魔動機文明時代の遺跡から出た出土品を使える状態まで再生させたり、時には遺跡に入り直接遺物を収集したりしている。
　フィールドワークは良い。部屋に閉じこもっているだけではわからないことが色々見えてくる。
　いつもの通りに遺物を収集。あとは帰るだけ･･･だったのだが、
「まさかああなるとはな･･･無鉄砲すぎるんだよ、お前は。」
　私の隣に座り、酒を煽っているこいつはフェリックス・リーデンブロック、私の古い友人であり、同業者だ。
「で、どうなんだ？死んだ感想は。」
「何も覚えていないな、噂通りだ。私はどう死んだんだ？」
「四方八方から飛び出した槍に貫かれてザックリって感じだ。どう見ても即死で、覚えてる方が不幸だったかもな。」
「そりゃ幸いだな。」
　そう、私は死んだのだ。
　魔動機文明時代の探索済み遺跡の再調査･･･という簡単な内容だったのだが、新発見の未探索領域に浮かれ、迂闊に手を出したのがマズかったらしい。
「で、今じゃ一文無しと。」
「馬鹿を言え、貯金してないわけじゃない。蘇生費用を差し引いても、この食事を奢れる程度にはある。」
「じゃあ、お前の奢りだな。」
「死人にたかるな、ハエかお前は。」
「まぁそう言うな、記憶を金で買えるんだ。奢っておいた方が得だと思うぞ？」
「･･･」
　ルーンフォークは他の人族と異なり、死んだ際には直近1年の記憶が丸ごと吹き飛ぶのだ。記憶を取り戻すには、こうして過去の自分を知る者に聞くのが一般的･･･らしい。
「さて、どうするね？安くしとくぞ？」
「･･･捏造はするなよ？尾ひれも付けるな。」
「仰せの通りに、ボス。そうだな、1年前って言うと確か･･･」
結局この日は、鶏の声が聞こえるまで彼の話を聞いていた。

　どうやら此処は、元いた世界とは少し"ルール"が異なるらしい。
　マナの代わりに発達した魔素と呼ばれるエネルギー･･･またそれに伴って変化した種族に対する考え方･･･どれもこれも未知のものだ。
　しかし、こんな大陸がまさか"とある冒険者ギルドの床下"にあったとは、一体誰が想像できようか!?

イーストン・ウエィルベルムの手記より抜粋

　エルンスト･･･随分と変わった者のようだ。
　蛮族に手を貸すと言うのは、かなり危険な行為だ。しかし、この世界の中で孤立し、右も左もわからない我々にとって後ろ盾が出来るのはかなり有難い。
　彼は、我々がこれから入手しうる『コナルクルハ内の情報』と、彼の持つ『ダウラギリ内での行動の自由』をそれぞれ交換してほしいようだ。
　この取引が、この先の私の運命にどう絡むかはわからないが、せいぜい利用させてもらおう。

　コナルクルハにたどり着いた･･･簀巻きにされながら。まったく、あのメリアは何をどう説明したというのだろうか。
　「上手くやれ」と伝えた通り、助けを呼ぶことに成功はしたようだが･･･なぜ私はあの扱いを受けなければならなかったのだろうか？
　この国は、メリアとエルフが多く住む国らしい。彼らは良質な魔素の原料になるため、他国から狩られ続けていたようで、結束し、この地に集まったようだ。
　まぁ、どちらにせよ、ここは我々に対して友好的な国のようだ。しばらく厄介になるとしよう。

イーストン・ウエィルベルムの手記より抜粋

　この里は平穏に見えて、何か複雑な状況を抱えているようだ。
　特にリーフと言う女性･･･どうやら"我々"に近い存在かもしれない、注意せねば。
　全く、マナの枯渇という状況がここまで国家に影響を及ぼすとは考えもしなかった。

　ノルンという少女は･･･若い時の自分を思い出すな。私も良くフィールドワークに"勝手に"出かけては怒られたものだ。
　あの頃は少しの石ころでも宝物に思えたものだが･･･歳を取るのはいけないな、そういう大切な気持ちが薄れてしまう。

　アネモネ、アルボルでありながら人族に近づく少女。
　他人との距離感の掴み方。これは本当に難しい。異種族･･･人族と蛮族という垣根があるなら尚更だろう。

イーストン・ウエィルベルムの手記より抜粋