生を受けた場所は、船の倉庫の中だった。
私を発見した銀バイを働こうとした渋い男の人は、突如生まれた私に腰を抜かしていたことを今でも覚えている。
降ろそうにも海賊船、安直に船を止めるわけにもいかず、そのまま育てられることとなった。

　世界の事はよくわからないが、極東の生まれの人が多いということは耳に入ってきた。
そんな人たちは私に優しく勉強も教えてくれたし、身を守るために戦い方も一応程度に教えてくれた。
正直、とても楽しかった。

　そんなある日、補給のため入港し、私は初めて地に足を着き、恐る恐るながらその町のいろんな場所を探索していた。
恐れはいつの間にか好奇心に、町から外の獣道、更に森や川などいろんな場所を探検し...帰り道がわからなくなった。
　しかも森の奥にいたせいで妖精「ドライアート」に絡まれ、そのまま攫われてしまう。
世界ってなんて恐ろしいのでしょう...なんて震えていたが、どうやらやたら気に入られたみたいで妖精「ドライアート」が、道に迷った私の面倒を見てくれた。
　世界ってなんて優しいのでしょう！...なんて暢気に考え数日間お世話になってしまったが...街への生き方を教わり急いで戻った時には、私の生まれ故郷である船は出港していた。
　泣く泣く戻ってきて困り果てた私を、ドライアートは優しく抱擁する。大丈夫、一緒に暮らそう？と。

　それから数年経ちました、時々森へ迷い込む人たちを外へと送り返す度に私は思いました。
数年前、知らなかった「陸」という世界はまだ広く、あの人たちが歩いてきた道には、一体何があるのだろう。
私は世界を見て回りたくて仕方がなくなってきました。
　それを妖精「ドライアート」に伝えると、こう返してくれました。
　「冒険者なんてどう？危険一杯だけど、いろんな場所に冒険できるらしいよ？」

私は、また帰ってくると手をふって旅に出ました。
知らない食べ物、知らない花、知らない木々をその目で見るために。
知らない世界をいっぱい知り尽くすために！