本名:ヴリトラ・ニーズヘッグ・ベアトリーチェ
爵位:ヴリトラ公女
高貴なる上級蛮族バジリスク、その中でも更に上位の存在にあたる”オニクスバジリスク”または、それよりも上位のバジリスクであるニーズヘッグ卿の跡取りとして彼女は生を受けた。本来であれば、下位の蛮族を多数従える高潔なる一員として数えられるはずであったがウィークリングという出生故、一族の中で不遇の扱いを受けた。そのせいもあってか、貴族の中ではあくまで下級のものとして認識されていた人族の社会環境やその所作に触れ合う機会が多く、その文化を幼き頃の教養として溜め込んで行った。12歳の誕生日、ヴリトラの兄に当たる”オニクスバジリスク”であるシュードラ公がニーズヘッグの家督を継ぐ際に起こった跡取り争いによって一族が乱れた際、その動乱に乗じて抜け出した。その後は色々な街を転々としていたが、元々あった莫大な軍資金も底が見え始め、いよいよヤバいと思った彼女は冒険者になることにした。家督を継ぐ際の争いは表面上は沈静化したかと思われているが、実際は彼女が13になった今でも水面下では終結しておらず、跡取りもまだ決定していない。

彼女が一族を抜けた理由。それは自らの野望を達成する為であった。ヴリトラはニーズヘッグ家が取る排他的な体勢を良くは思っていなかった。ニーズヘッグは家訓として他の種族との関わりはあってはならず、ましてや下級蛮族及び人族、それに連なる種族との交流は禁止とされた。(例外として使用人などは数名他種族も存在する。)その為、ニーズヘッグ家には「知るものには恐怖を、見たのものには死を」ということわざが出来るほどであった。そのような体制に不満を持っていたヴリトラは13歳を機に家を飛び出すこととなったのだ。ちなみに、自らの不遇な扱いも理由にはあった。

一族では不遇の扱いを受ける彼女だったが、全員が全員そのような態度を彼女にとっていた訳ではなく、何名かは彼女をニーズヘッグ家の御令嬢としての扱いをしていた。(彼女の母、姉、そして忠実なる使用人である”アルボルエルダー”のフリードリヒが、その数名にあたる)そのもの達は家を抜け出した後の彼女の事気にかけており、特にフリードリヒに関しては彼女の母の命を受けて外の社会で彼女が危険な目に逢わぬように陰ながら支えていた。

ニーズヘッグ家当主 グランデューク=ウルボロス(ニーズヘッグ卿)

数千年の歴史を持つニーズヘッグ家の8代目当主でありながら、"オニクスバジリスク"を超える更に上位の存在であると噂される。基本的に他者と直接会うことはなく儀礼的な場面のみ顔を見せる。ほとんどの業務は使用人を利用して行い、莫大な領土と配下を従えている。ヴリトラのことは空気かなんかと思っているようで全く興味を示さない。ただし、家族に全くの無関心という訳ではなく心中では家族のことを大切に思っている。……落ちこぼれただ一人を除いては。

ニーズヘッグ家当主夫人 ヤトノ・ニーズヘッグ・ベアトリーチェ(ニーズヘッグ大公夫人)

当主であるニーズヘッグ卿の妻でありヴリトラの母である。ヴリトラが"オニクスバジリスク"のウィークリングではなく"バジリスク"のウィークリングとして誕生したのはヤトノの血統に原因があった。ヤトノの本家は成り上がりバジリスクの血統であり、祖先をたどるとバジリスクの血にたどり着く。そんなヴリトラを不憫に思った彼女はフリードリヒなどを通して彼女を援助を陰ながら行っている。

ニーズヘッグ家長男 シュードラ・ニーズヘッグ・ベアトリーチェ(シュードラ伯)

家督相続序列第一位である"オニクスバジリスク"の男性。その地位からニーズヘッグ家のいくつかの領土を管轄しており配下も相当数持つ。妹にあたるヴリトラには冷たく当たり、ウィークリングであることを揶揄して彼女の事をキュクロと呼ぶ。一族の中でヴリトラをキュクロと呼ぶのはシュードラ伯のみである。

ニーズヘッグ家長女 ムシュフ・ニーズヘッグ・ベアトリーチェ(ムシュフ女伯)

[未定]

ニーズヘッグ家次女 ヴリトラ・ニーズヘッグ・ベアトリーチェ(ヴリトラ公女)

本人

使用人を通じることでしか家族との繋がりを感じれなかった彼女は、次第に孤独感を感じるようになった。彼女の記憶の中にもっとも鮮鋭に残っていたのは幼少期の頃の母のぬくもりであった。しかしそれも、既に8年以上も前のことであり次第にその記憶も風化していった。そうした中で、彼女はニバセプスへの信仰のなかで家族の愛を得るようになった。その信仰心が彼女の孤独を表す弱さであり、強さでもあった。