容姿・経歴・その他メモ

常に笑顔の仮面を被っている道化師。

私は何処かに生まれた。何処かは分からないし、それを問う意味も無い。ただ私が此処に在るという、それだけでいいだろう？

始めから道化になろうとした訳ではない。ただ皆に好かれようと、善く思われようと、人間らしい欲望を抱いていた。それだけだった。

私は皆を愛そうと誓った。
私は皆を護ろうと立ち上がった。
私は皆を幸福にしようと目を輝かせた。
私は皆を平和にしようとした。

皆が笑顔になり、私に感謝の(上っ面だけの)言葉を述べた。それに応えようと、私もその力を奮った。全てが無駄だというのに。

やがてそれも永くは続かなかった。
彼らは私に何かを言った。何かを投げた。何かを嘆いた。何かで争った。
人々は厭うた。仲間は離れた。友は裏切った。

私は全てを憎悪した。憎しみのままに骸を積み上げ、然れどそれは無意味だった。
私は全てに絶望した。絶望のままに世界を嘆き、然れどそれは無意味だった。
私は全てを貪った。己が幸福を追い暴食の限りを尽くし、然れどそれは無意味だった。
私は全てに憤怒した。怒りに任せて全てを壊し、然れどそれは無意味だった。

遍くは虚故に。無に全を見出だし、有に虚を求めよう。
道化として嗤おう。渇望し続ける世界を。
道化として嘆こう。未だ望みを捨て切れぬ私を。

私の全てを虚に帰そう。
一縷の望みを、人に託して…。

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