履歴
彼女は名も知られぬ村の幸せな家庭に生まれた。
神官の母の仕事を手伝い、母が作ってくれた暖かい食事を食べ、母の子守唄をゆりかごに眠っていた。
時々、母のお友達のアルヴのししょーが遊んでくれたりもして楽しい生活を送っていた。
彼女が教えてくれた占いは私にとって相性がいいようで、的中率はししょーのそれと遜色なかった。
ときおり、思い出すかのように、言い効かせるかのように神官の母は語ってくれた。母の妊娠が発覚する前、母は太陽神と一緒に寝る夢を見たと教えてくれた。
実際、私には父親がいない。本当のことなのだろうか?いや、おそらく本当なのだろう。敬虔深く正直な母のことだ。
とある日のこと、私と母は教会に来た人に依頼されて指定の座標の薬草を取りに行った。
薬草を摘み終わったころ、日は陰り、ガサゴソと音がした。槍を持ち、フードを被った謎の男が草むらから出てきた。
私たちは一目散に逃げた。走っている方向が奈落の魔域だとは知らずに。
『止まって!!』 母の声が響く。どうやら私たちは追い詰められてしまったようだ。
じりじり問い詰められていく。転がった石ころが着地する音が一切聞こえない。
私が母の目を覗き見るとどこか寂しいような、それでいて悲しいような、そしてまっすぐした目をしていた。
母は震える足でフードをかぶった男に立ち向かい、槍に刺され、その男を道連れにして奈落の魔域に落ちていった。
母の死後、行く当てのない私は教会に引き取られた。そこで数年、神の下で過ごした。
私は教会の運営が少しでも楽になるように、少しでも支えになるように、林に行き木を切った。
木を切っていると暇になるので歌を歌いながら切った。誰かのためでも、自分のためにも、神に捧げるわけでもない。
その歌に惹かれたのか、はたまた神のいたずらかはわからないが忘れたくても忘れられないフードを被った男が見えた。
私は後ろから近づいて彼の後頭部に何度も何度も斧を振り下ろした。憎しみからか、それとも別の何かからかは分からないけど、多分私にとってこれは正しいこと、これが、内臓の肉が裂け、血の温もりが無くなるまで振り下ろした。
その時私は初めての『殺し』を経験した。手の震えが止まらない。斧の切っ先にはまだ暖かい肉片と雨粒のように滴る血が付いていた。
私は教会に戻り斧を血をふき取り、暖かい布団に入り無理やり目を瞑って眠りに入った。
次の日に死体を探しに行くとどこにもなかった。場所は合ってるはずなのにどこにもなかった。
そのころからだろうか、どこからか声が聞こえるようになった。その声は母のように優しく、日差しのように暖かかった。
神からの声か、はたまたあまりの寂しさに気が狂ってしまったことによる幻聴か?もしくは両方か。
そんなものはどうでもよかった。この柔らかく語りかけてくる太陽のような声だけが孤独な私を支えてくれる唯一の安心だった。
この声に慣れたある日、教会の書類整理をしていた。すると一つ気になる文書を見つける。私に関しての書類だ。
読んでいていくらか分かったことがわかる。私の母が言っていたこと…少なくとも父親がいないことは本当だということ。
死体が無くなっていたのは少なくとも人の行いではないこと。そして、この頭の中で響く声が言うことはほとんどは正しいことだ。
今この声は、『旅に出ろ。汝が旧き師に逢え。』と言っている。
私はこの声に従おうと思う。神の意志か、母の加護か、その両方かはわからないけど私が為すべきことに導いてくれるから。
でも不意打ちはやめよう。正々堂々じゃないとこの声が悲しんでいる気がするからだ。ユースティツィア・プルガトリオ。この名は太陽の神、そして私を愛してくれた母の形見として、私に倒される者に対しての手向けとして。
信条 友情(連帯、孤独)
矜持/執着 可能な限り名乗る
生まれた環境:太陽神の落胤 妊娠が発覚する前、君の母は太陽神と褥を共にする夢を見たと教えてくれた。実際、君には父がいない。本当のことなのだろうか?
ハプニング:立派な先達と出会えた
ハプニング:自分や家族が奈落の魔域に落ちた
ハプニング:本当の親を知らない
冒険に出た理由:予言によって
身長198cm/体重は知らない