上記のデータは、あくまでPCとして扱った場合のデータです

彼もまた両親の寵愛を受け、同時に両親、特に母を愛していた。...既にこの世を去った母を
「双子を産み落とした母は一刻を争うほどに激しく衰弱していたが、癒し手は外界の蛮族を撒く為に魔力を使い果たしていた」

...彼はこの話を聞いてはならなかった
疑念が芽吹き、焦燥を誤魔化す日々を送る最中に更なる悲劇は起きた
蛮族が里を襲撃し、安寧を火の渦に包んだ

父はドレイクの凶剣に貫かれながら、最後の力を振り絞って兄妹を逃がした


そして逃亡先の魔動死骸区にて、辛酸を舐めながら生き長らえる日々を送る
...あの時、故郷を襲撃される一端を担った人族に、袋叩きに、或いは慰み物にされながら

疲弊しきった心に巻き付く黒い情念は、やがて死臭漂う彼岸の曼珠沙華を咲かせる

幾度目かも分からぬ、白濁にまみれた一糸纏わぬ妹に襤褸布を着せ、長らく日課となっている食料調達を行っている時だった
店の主が隙を見せ、パンを手に取った瞬間だった
「泥棒！」
何処からか声が聞こえた瞬間に店主はパン斬り包丁を手に店から出て、彼を捕らえた
「...小僧、舐めた真似してっと、斬り殺すぞ？」
　　「脅しは効かないよ」
「へへへ...そうかい」
店主は腕と足を斬りつけ、激痛に悶え声をあげる彼からパンを取り上げた
「今ならこれくらいで許してやる、とっとと失せな」
　　「...う...お願い...パンを...」
「コレは俺のパンだ、欲しけりゃ払う物払えよ、ガメルの硬貨をなぁ？」
　　「...お願い...何でもするから...」
「何でも？がっはっはっ！だったら、命で払えるって事だよな？」
　　「...！？そんな...僕が死んだら...」
「おっと？このパンを食わせたい誰かが居るんだな？ソイツを俺のもとに連れてこいよ！」
　　「...何を...言って...」
「そいつも纏めて一生面倒見てやるよ！飯は何が良い？糞だったらタダで出せるぞ！がっはっはっはっ！！」


　　～...ああ、そうか...～

　　　　～...殺らなきゃ、死ぬのか...～

～...弱い奴は、こうやって殺されるのか...～

「おい、どうしたー？喋る気力も尽きたか？そりゃ大変だ！金を払えば今すぐにでもこのパンにありつけるぞ！」

「おい聞いて」

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二度と動かぬ時計の針を眺めながら...彼は血塗れのパンを口にした

彼は一命を取り留め、代償として一線を踏み越えた