片田舎の村に生まれたシロは元々引っ込み思案な性格だった。
そんなシロを外に連れ出してくれた幼馴染がいた。
冒険だと言って狼が出る森に連れていかれたりと振り回されることが多く、怖い思いもたくさんしたが、そんな幼馴染との日々がシロにとって一番楽しい時間だった。
そんなある日の事、幼馴染から街に出て冒険者になろうと誘われる。
もちろん二つ返事で快諾した。シロは信じていた、2人一緒なら何処までだって行けるのだと。
しかしそんな想いを嘲笑うかのように現実は非情だった。
街へ向かっている最中蛮族の襲撃に遭い、遂に崖際まで追い詰められてしまう。
蛮族の凶刃が振り下ろされる瞬間、身体が崖の方に突き飛ばされる。
突然の出来事に何が起こったのか理解できず、あっけにとられていたシロの目に飛び込んできたのは、刃に身体を切り裂かれ、血を吹き出しながら倒れる幼馴染の姿だった。
崖から落ちたシロは落下の衝撃で気絶していたが、通りかかった冒険者に助けられる。
気が付いた時にはすべてが終わっていて、何もできなかった後悔と共に、蛮族への憎悪を抱くようになった。
この時シロは誓った、強くなってあの子の仇を、蛮族を殺し尽くすことを。