竹千代に感服しオニでありながら仕えることにする
「ぬしは只々勝つ存在となれ」
名をもらい、「■■■」の名を捨て「本多忠勝」と名乗りだす

この頃より槍を得物とする
竹千代、改「徳川家康」を守る武将として動く
鬼のような強さを誇ったと言われる

槍使いにおいて右に出る者がいなくなる
乱世の終わりを感じ、家康と袂を分かつことを予測
「本多忠勝」の名との別れを感じ始める

戦国の終わりとともに「ヒト」としての名を捨てる
再び「■■■」として山奥に住むようになる
酒だけは幕府との繋がりから困ることはなくなった

山奥の住処で呑んでいると小娘に喧嘩を売れられる
小娘は「ムサシ」と名乗った
なんでも、鬼を討つ事が目的らしい

ムサシは剣士として名を轟かす器を持っていることを見出す
ムサシは鍛錬を重ねる
鬼としての「■■■」をいずれ討つ為に
師としての「■■■」をいずれ超える為に

「■■■」はムサシに新しい名を与えた
ムサシは「桃の香」を揺らせるのが好きだった
それを持ち、「■■■」はこの娘のことを
「桃」と呼ぶようになった

桃は、いずれこの国を出たいと言っていた
今は言うなれば家に縛り付けられるようなものらしい
親父とも喧嘩が多かったと言っていた

遠くにあるという国に二人で飛び出そうと話した
ヒトとオニ。交わることのない筈の2つの種族が同じ夢を見た
この国を出ることを

計画を実行するに当たり示し合わせた
己の生きた証拠を全て処分し、どこかに旅に出よう
落ち合わせるのは、「おにがしま」と名付けた島だ

失敗した
桃は巌流島(おにがしま)に来ることはなかった
代わりにムサシの親を名乗る男が巌流島に現れた

「■■■」は己の住処に戻り意気消沈した
何もかも忘れたくなった
酒に溺れ、時間を忘れ、すべてを忘れ
泥のように眠った

………「桃の香」が、鼻をくすぐった気がした


………顔を変えよう。名を変えよう
「■■■」の名を捨てて。そうだ。アクラと名乗ろう
顔は、二度と忘れないようにあの顔にしよう
桃の顔に…

アクラは、すべてを忘れている

アクラは気がつけばこの国に着く船に載せられていた
船員によれば謎の女がアクラを載せたらしい

アクラは「バルムジェイル」についた瞬間、整形した
酒を呑んでも忘れることのないように桃の顔に似せた

アクラは桃は死んでいないと考えている
同じ顔をして名を挙げれば再び会えるのではないかと
そう考えている