“傷痕の神”ヴァンゴート
(第二の剣/大神:アルフレイム大陸)聖印と神像
聖印は、深くヒビ割れて欠けた水晶玉(真珠や宝石という説もあります)、もしくはそれを意匠化したメダルです。
神像は、顔から胴にかけて大きな傷痕をもち、不敵に笑う逞しい体つきの美丈夫が一般的です。神像の傷痕の数は意外に少なく、多くても4~5つほどにとどめ、その分ひとつひとつが大きなものであることが良いとされています。美麗な部分を残すことでより傷痕の痛ましさを強調したり、逆に身体の一部を欠けさせて残った部分を印象深くする手法が取られることも多いと言われています。
神格と教義
価値あるものや美しいものを傷つけ汚して損なうことを教義としている第二の剣の大神です。人や芸術品に限らず、美しい風景や街並み、人々の営みを対象とした、より大規模な破壊活動に走る信者たちも多数存在しています。高位の信者たちの中には、あえて身体に目立った損傷は与えずに強烈なトラウマだけを植え付けたり、地位や名誉を損なうことで、被害者が自ら転落していく様子に美を見出す者もいるようです。
少なくとも神々の戦争のころには神格を得ていたらしく、神紀文明時代の壁画にも第一の剣の神々と争う姿が残されており、美しい工芸品や優れた人物が彼の魔の手にかかったとされています。これらは妬みや憎しみからの行いではないらしく、傷痕こそが積み重ねられた歴史と価値を示す証であり、傷がつく瞬間こそが最も大きな価値を得る時であるという独自の美的価値観ゆえと伝えられています。
神になる前はどのような種族であったかは不明ですが、独特の美的価値観からバジリスクであったという説のほか、極めて最初期のナイトメアではないかという説も有力視されています。
かつてライフォスがダクルレムとの戦争を避ける最後の手段として“戦意や悪意を鎮める胡弓”を作り上げたものの、1羽のカラスが巣作りのために弦を盗んだ際についた傷が原因で弦が切れたことで破綻した神話が残されていすが、このカラスこそがヴァンゴートの遣いであると信者たちは主張しています(真偽は不明です)。
破壊的な教義の関係から、美しい人物を憎むフッドを始めとする妖魔、ナイトメアやウィークリングのような被差別種族、そしてゴシップ記者や周囲に対して強いコンプレックスを抱く人々が、主な下位信者を構成しています。
一方で高位の神官たちや上位蛮族の信者は芸術家や哲学者、「傷痕こそ歴史」という価値観から戦士階級の信者の割合が大きく増えます。彼らはより原理的な…つまりヴァンゴートと同じような思想から行動し、どのような傷こそが相手(自身も含む)に最も相応しいかを日々思案し暗躍しているとされています。
格言
「不変に意味なし、完全に価値なし」
「瑕とは歴史なり。ゆえに痕を刻み、傷を暴け」
「美しきものに消えぬ痕を。そうして初めて美は完成を迎え価値を得る」
備考
・他神との関係
彼の思想は、多くの第一・第三の剣の神、特にアステリアから危険視され強く敵対しています。
また、ミリッツァとはなんらかの因縁があるのか、幾度となく争った神話や記録が神紀文明の壁画に残されています。
同じ第二の剣の神々とは、利害が一致しやすいのか、ダルクレム、エイリャーク、ゾラス=バレスらと手を組むことが多く、信者たちも協力関係を築くケースが比較的多いとされています。
一方で不滅の美を求めるツァイデスとは対立することが多く、陰謀や策謀を企てる神々とも最初は順調ながら策が結実する寸前で台無しにしたがる(その様子が彼には美しく思えるのでしょう)悪癖から、敬遠されがちだと言われています。
特殊神聖魔法
- 2
- 【ビビッドタトゥー】
- 消費
- 3MP
- 対象
- 1体、もしくは任意の地点や物品1つ
- 射程/
形状 - 1(10m)/
射撃
- 時間
- 永続
- 抵抗
- 消滅
- 概要
- 対象に消えないインクを塗り付け、絵や文字を描く。
- 効果
対象に魔法のインクを塗布し、絵や文字を描きます。色やデザインは術者が自由に選べますが、多くの場合は一度見たら嫌でも印象に残るような強烈な色合いをしています。また、術者が望めばインクを発光させることも可能です(この光で暗いことによるペナルティ修正は打ち消せません)。
建造物やある程度の大きさの物品を対象とする場合、1度の行使で最大で1平方メートルまでの面積にインクを塗布できます。
このインクは【ディスペル・マジック】などで魔法が解除されない限り、通常の手段では決して消えることはありません。
- 4
- ≫【ハイライトスカード】
- 消費
- 4MP
- 対象
- 1体全
- 射程/
形状 - 2(30m)/
起点指定
- 時間
- 3分(18ラウンド)
- 抵抗
- 短縮
- 概要
- 対象の弱点を悪化させる
- 効果
対象の弱点やナイトメアの種族特徴[弱点]、「[常][常]に弱い」やそれらに類する特殊能力の効果によって発生するボーナス・ペナルティ修正やダメージの増減分を2倍にして適用します。
この魔法の効果を受けている対象が《弱点看破》の効果を適用したキャラクターからの攻撃や魔法の対象となった場合、弱点によるボーナス修正やダメージの増分は累積します(つまり4倍となります)。
- 7
- 【ディテクトペイン】
- 消費
- 5MP
- 対象
- 1体全
- 射程/
形状 - 接触/
―
- 時間
- 一瞬
- 抵抗
- 消滅
- 概要
- 対象の悩みや懸念を知る
- 効果
ミリッツアの特殊神性魔法【ディストレス・リーディング】(⇒『MA』107項)とまったく同じ効果です。
ヴァンゴート信者は、主に事態を悪化させるためにこの魔法を用います。
- 10
- 【トラウマティック】
- 消費
- 8MP
- 対象
- 1体全
- 射程/
形状 - 2(30m)/
起点指定
- 時間
- 3分(18ラウンド)
- 抵抗
- 短縮
- 属性
- 精神効果
- 概要
- 対象の行動判定-2、抵抗力に失敗すると転倒
- 効果
対象にとって辛い過去や恐れている事柄の幻覚を見せて激しく動揺させます。対象は行為判定に-2のペナルティ修正を受けます。さらに行使判定が対象の精神抵抗力判定を上回った場合、その対象は転倒します。
- 13
- 【ヴァンダリズム】
- 消費
- 24MP
- 対象
- 全エリア(半径20m)/
空間
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 1時間
- 抵抗
- 必中
- 概要
- 範囲内の「[常][常]無効」などの効果を打ち消し、HPやMPの回復を阻害する。
- 効果
ヴァンゴートの恐るべき呪いによって、完全性と回復を損う瘴気を放ちます。
範囲内に存在するキャラクターや構造物は、「[常][常]無効」や【ファイアプロテクター】などの、特定のダメージや効果を受けない魔法や特殊能力の効果が一切適用されません。
また、効果範囲内のキャラクターが、ヴァンゴートの神聖魔法以外の手段でHPやMPを回復する場合、その回復量は「この魔法の術者の魔力の半分(端数切捨て)」だけ減少します。全回復する効果の場合、回復量は「(回復する対象の最大HP・MP)-(術者の魔力の半分)」となります。