容姿・経歴・その他メモ

　僕の家はその近辺では裕福な方だった。僕が生まれてから実家にいた半年間は何も不自由しなかった。好きな勉強をして好きなことをさせてもらっていた。
　僕が成人する一週間前のこと、お母さんが急にしおれていってしまって、それから三日後には帰らぬ人となってしまった。一日中泣きはらして疲れて寝てしまった僕は、夢を見た。
　声が聞こえたんだ。お母さんのあったかい声。二日と経っていないのに懐かしく感じた。
　「カノ、あなたには何もしてあげられなかったけど、これだけは最後に伝えておきたいの。この世の中にはね、綺麗なものがいっぱいあるのよ。あなたが好きだった図鑑で見るよりも、実物の方がずっと、ずっと綺麗。あなたの人生は長いようで短いでしょう。私のように。でも、輝かせることはできる。あなたは自分がやりたいと思えることだけをしなさい」
　そう言って、遠くへと行ってしまった。
　僕は覚えている夢の方が少ないのだけれど、その夢はやけにはっきりと覚えている。目が覚めた僕の心は寂しさとわくわくでぐちゃぐちゃになっていた。
　僕はその日、最低限の荷物をまとめて旅に出た。世界中にある"綺麗"を探すために！
　それから半年、できるだけいろんなところを歩き回った。ずっと同じところにいるのはもったいなくて街から街へとずっと渡り歩いた。綺麗なものは沢山見つけた。でも、もっと探したい！
　…と思っていたけど、そろそろ旅に出るときに持ってきたお金が尽きそうになっていた。どこかで稼ぐ必要があるなあ。そういえば、冒険者っていろんなところに行って依頼を受けるって聞いたなあ。いろんなところに行けてお金も稼げるなんて一石二鳥じゃない？
　よし、冒険者になろう！

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