「───知ってるか？死ってのは誰にでも訪れる。
だから皆求めるのさ。不老不死や死者復活の方法を──。」

「もう朝か...。早く支度しないとな。」
商人の朝は早い。今日は半年に一度開催のキングスフォール大バザーの日だ。
ドーデン地方で最も大きいバザーでアルフレイム大陸中の商人たちが集まり
ドーデン地方では見られない品々もたくさん取引されている。アルマのガラクタ集めにぴったりの日とも言える。
早く現地で店を開かなければお客さんを沢山逃してしまう。

「あなた！早く出店準備しないとお客さんが来る時間になってしまうよ！」

「わかってるて！すぐに行くさ。」

そう言い足早に妻のピオネと一緒に大バザー周辺にある宿から出る。
ピオネは普段、蛮族退治などで収入を得ているため僕の商売の手伝いはしないのだが
大バザーの日だけは人手が欲しいため手伝ってくれる。

「えっと、この紙によると出店場所はこの辺のはず,,,。」

商工会から貰った紙で自分たちの出店場所を確認する。
B-10か悪くない、入口から近くそこそこの集客が見込めそうだ。
何やら隣の出店場所に見覚えのある顔たちがいる。

「兄貴ぃ、またアルマたちが隣だよぉ。」

「ハッハ！今回も俺たちが売上勝負勝たせてもらうからな！」

同村出身のガメードとラントンだ。
派手な格好をしている方が兄貴分のガメード、
小柄でまんまるとしてるのが弟分のラントンだ。

何かと縁があり、商売のことについてよく情報交換をしている。
しかし、ただ情報交換するだけではお互いに面白くないため
バザーで売上勝負をし、負けた方が勝った方に有益な情報を渡すという約束をしている。
前回の勝負では僕が負けてしまったので今回はガメード達に勝ちたいところだ。

「ああ、僕も受けて立つ。今回は負けないよ！」

そしてバザー開始のチャイムが会場中に鳴り響く──
流石ドーデン地方一の大バザー、もう会場がお客さんたちでいっぱいだ。

「こりゃ今日も大忙しだな。気を引き締めいかないと。」

押し寄せる客の大群に負けじと声を張り店の宣伝をする。
このペースでお客さんが入り続ければ今までで一番の売り上げになるかもしれない。
そんなことを思いつつ妻のピオネと協力し客をさばいていく。
結局客の波が落ち着いたのは午後三時を過ぎてからであった。

「あなた、そろそろ手も空いてきたしバザーを見に行ってきたらどうだい？」

「君の方こそしっかり休んだ方がいいんじゃない？ここは僕に任せてよ！」

「うふふ、気遣いなんてしなくていいのよ？それに本当はバザーの色んな珍品が
見たくてうずうずしてるんでしょう？あたしの目はだませないわよ。」

「ちえ、君には叶わないなあ。わかった、行ってくるね。」

「いってらっしゃい！それまでの店番はあたしに任せて。」

午後三時過ぎというのもあり所謂目玉商品などは売り切れてしまっているようだ。
しかし僕が狙うのは目玉商品ではない。埋もれてしまってる商品つまり掘り出し物だ。
掘り出し物を探していくうちにある店で変わった形のした機械を見つける。

「店主、この商品はなんて言うんだい？見たところ何かの機械に見えるが...」

「これはある発明家が作ったものでして名前を全自動卵割り器と言います。
その名の通り全自動で卵を割ってくれ優れものなんですよ。よかったら実演しましょうか。」

店主がそう言うと機械の上部に卵をセットし、その後下部にあるレバーを引く。
そうするとセットした卵が手のような形をした部位に引っかかる。
そして上から卵にひびをつけられ、手の部分が開き卵が綺麗に割れ下のトレーに身が落ちる。

「どうでしょう？ここまで卵が全自動で綺麗に割れる機械見たことないでしょう？」

「確かに見たことないな。面白い、その全自動卵割り器というその機械を買おう。」

「まいどあり！お客さんまた頼みますよ！」

よし今回も良い買い物ができたな。全自動卵割り器、いい響きだ。
帰ったらピオネに自慢しようかな。きっと喜ぶぞ。
ん？あそこにいるのはガメードか。何かを探しているみたいだ。

「ようガメード、何か探しているのかい？」

「あぁ？誰かと思ったらアルマか。妹の病気に効く薬と草を探してんだよ。」

「そうだったのか。妹さんの体調はどんな感じなんだい？」

ガメードの妹リリーナは数年前に病気に罹ってしまった。
そのころ当たりだろうか元々僕よりお金にガメツイやつではあったけども、
あいつがよりお金に執着するようになったのは。
どうやらあいつの妹の病気は難病らしく、治すために莫大なお金が必要みたいだ。

「あんまりよくはなってねえな。今は魔法と薬で進行を遅らせてはいる。
あいつに苦しい思いをさせたくないし早く治してやりたいけどよ、それには金が要るんだ。
そのためにも今回も売上勝負に勝って良い情報吐いてもらうからな！」

「今回の僕は一味違うからね、前回と同じと思って余裕見ていると痛い目にあうよ。
まあ、おまえの妹さんの病気に関する情報ならいつでも提供するよ。」

「相変わらずお前はお人よしだな。まあ結果発表を楽しみにしてるんだな！」

しばらくしてバザーの終了を知らせるチャイムの音が会場全体に響き渡る。
僕はピオネから、ガメードはラントンから売り上げの報告を受ける。

「ピオネ、今回の売り上げはいくらだった？」

「そうね、あたしたちの売り上げは8740ガメルだわ。」

「おいラントン！俺たちの売り上げはいくらだ？」

「えっとぉ、ぼくたちの売り上げは8320ガメルだよぉ。」

「8320ガメル？おい計算間違いしてないだろうな！？」

「ぼく何回も検算したから間違いないよお。」

「どうやら今回は僕たちの勝ちみたいだね。悪いけど情報を吐いてもらうか。」

「チッ、あんま教えたくはないが約束だからな。
実はよ、このアルフレイム大陸のどこかに『死者蘇生の書』と言われる本があるらしい。」

「死者蘇生？別に一般的には穢れが増えるから忌み嫌われているけど別に特別なもんではないだろ？」

「それがよ、なんでもその本を使って蘇生した場合は穢れが増えないらしい。
穢れが増えないとなれば、喉から手が出るほど欲しいやつも出てくるわけだ。
一般冒険者に貴族、それに一国の王様だって欲しがっているという情報も出てる。
そいつらに売れば一千万ガメル、いや一生を遊んで暮らせるほどのガメルが手に入るって噂だ。」

「ふーん『死者蘇生の書』ね。これは良い情報をもらえたかな。」

「悪いけど先にゲットするのは俺様だがな！」

「いや僕の方が先に頂くけどね。」

「ふん！だったら、どっちが先にゲットできるか勝負といこうじゃねえか！」

「望むところだ！」

こうして『死者蘇生の書』を巡るアルマの冒険が始まった──

古代魔法文明時代に作られたアーティファクトとか超越者である操霊術者によって作られたとか
様々な噂が絶えない代物。なんでも穢れを増やすことなく死者蘇生を行えるらしい。
そしてこのアルフレイム大陸のどこかに今も眠っている──

全自動卵割り器
物を冷やせる箱
注ぎ口が三つポット
スイッチ押すと中身が混ざるマグカップ
カッターばさみ
魔晶石用MP確認アイテム
アルケミーキッド
マトリシカ 『砂を纏いし者-サンドガストの巣を払え』
バッポ(けん玉) 『ブラックギルドへようこそ』
盤上追走競技チェイス 『奪われた海賊の宝』

名前：アルマ
種族：リルドラケン　性別：男　年齢：52
＝＝＝＝＝技能＝＝＝＝＝
ファイター：7 レンジャー：4 エンハンサー：3 アルケミスト：2
＝＝＝＝＝自動習得の戦闘特技＝＝＝＝＝

＝＝＝＝＝選択習得の戦闘特技＝＝＝＝＝
防具習熟S/盾　かばう　ガーディアン