容姿・経歴・その他メモ

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トーマは村の小道具屋の息子だ。祖父は旅商人で、父の代から店を構えた。
昔からやんちゃで、いろんなところに遊びに出ては騒ぎを起こしたりしていた。
独りで村の外に出て、川で溺れて死にかけたもんだから、それ以降は店番をやらされたりしていた。
溺れるきっかけになったのはサワガニを深追いしたからで、あいつのせいだとちょっと根に持っている。

ある日、店番をしている時に、祖父が帰ってきた。
旧い友人から預かったという、ルーンフォークの少年を連れて。

当時は自分より大きかった彼は、ずっと外を見ていた。
話しかけても喋らない。物も食べないし、瞬きもしない。
折角店番の時の話し相手ができるんじゃないかと思ったのに。
あいつ退屈だ、と零したら、祖父は彼の話をしてくれた。
難聴の商人に拾われ、その救けとなり、共に歩んできた数年間の話を。

祖父が旅立った日の晩に、トーマはミルクを温めた。
昔、祖父が旅立つのが寂しくて駄々をこねたトーマに、父が入れてくれたホットミルク。

「なあ、思ってることは、言わなきゃ伝わんねえんだよ」

そう言ったトーマに、初めて彼が口にした言葉は、「さみしい」だった。
ああ、そうか。お前もあの日の俺みたいに、寂しかったんだな。

蓋を開ければ喋り方を上手く知らないだけだった彼と、トーマはいっとう仲良くなる。
そうして、彼の手を引いて、おいていかれるだけじゃなく、冒険者としてこの広い世界に自分から飛び込むことを決めた。

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