経歴

　アヴァルフ妖精諸王国連邦にある人間の国、ウル・ヴァ・ドゥール出身の妖精使い。若くして妖精と心を通わせる方法に通じ、才あるものとして期待されていた。しかし、書物で触れた冒険者に憧れ王国を飛び出して冒険者としての活動を始めた。しばらく冒険者として活動し、彼女は一つの事実に気づいた。“冒険者はクソだ”ということに。彼女が書物に見た英雄たちの冒険などそこにはなく、実態は食い詰めた農家の口減らし先であったり、傭兵崩れや脛に傷のある軍人といった人でなしの類であったりとまともに働けない人間の掃きだめだった。
　現実に絶望した彼女の前に表れたのは一人の髭面の男だった。彼は自らを“ヴァグランツ”と名乗り、強きをくじき弱きを助ける義賊であると語った。そんな男の在り方にかつての夢を見た彼女は自らもヴァグランツを志し、求めて止まない美しき冒険のために旅をすることとなった。彼女がヴァグランツとして活動してしばらくたった後、一つのことに気づいた。それは“ヴァグランツはクソだ”ということだ。冒険者は社会の爪弾きにされたものの掃きだめだったが、ヴァグランツは社会不適合者の寄り合いだったのだ。そこには彼女が夢見た気高き者たちの冒険などなく、社会になじめなかった者たちの傷の舐めあい、そしてより弱い者への排斥があるばかりであった。そんな中、ある衝撃的なニュースが飛び込んできた。彼女をヴァグランツの世界へと導いた男がお縄になったというのだ。罪状は婦女暴行。自らが夢を見た男すら結局はそこらへんにいる者たちとなんら変わりない存在であったことを思い知った彼女は同じクソならせめて表で活動を認められているほうがましだろうと冒険者への復帰を決断したのだった。

人物

　かつては王国でも才ある妖精使いの一人として将来を嘱望された妖精使いであったが、国を飛び出してからは冒険にうつつを抜かしていたため、魔法使いとしての技量は国を出た15歳のころから大して進歩していない。しかし、冒険者、そしてヴァグランツとしての活動が彼女に与えたものは確かにあった。それは斥候としての能力である。身軽で、危機感知に優れた彼女は自ら斥候任務にあたることを好んだ。そんな日々は彼女の二つ目の才能を目覚めさせた。
　現状に満足せず、常に新しい何かを求めるタイプ。悪く言えば、物事の悪い点ばかりに着目し、それを飲み込むことが出来ない人間。王国での魔法学習も、冒険者、ヴァグランツとしての活動も何も悪い事ばかりではなかったが、それでも気づいてしまった汚点を飲み込むことが出来ずに環境を転々としてきた。一種の理想化であり、夢想家であるともいえる。理想家のくせに現実に目を瞑ることが出来ない生きるのが下手な人間なのだ。しかし、年を取ってそれなりに落ち着きを得た彼女はいまさら王国に変えるのも癪なのでまぁましなほうであると考えた冒険者としての活動に勤しむのであった。

一般技能について

　彼女は生来の飽き性であり、一所に長くとどまることが出来ない。それゆえ、冒険者としての活動以外にも様々な職業に手を出してきたが、一つとして長く続いたものはない。結果として彼女が得たものは、“労働はクソ”という一つの真理のみであった。

セッション履歴

収支履歴