容姿・経歴・その他メモ

【経歴表】
■告白されたことがある
■家族に異種族がいる
■大きな失敗をしたことがある
【ヴァグランツになった理由】
■冒険者ギルドに馴染めなくて


バラントは、ブルライト地方を股にかける陽気な山賊団の一員だった。
道行く荷馬車や他の山賊を賑やかに襲っては荷物を奪い。街の自警団に追いかけられては喧しく逃げ出し。うまい肉の魔物を仕留めれば、その度に酒樽を空にするまで仲間と飲み明かした。時に監獄に入れられれば、大きないびきと遠慮のない大声で周囲に被害を与える。
ソレイユ生来の明るさで、日々楽しく愉快に生きていた。


やがてバラントは、その身に全く合わない恋をする。とある荷馬車を襲った時、その中にハーヴェス公国に住むとある貴族の家出娘が潜んでいたのを見つけたのだ。その娘は怖いもの知らずの跳ねっ返りで、喧しく騒ぐ山賊団に興味を持ったようだった。
女だ女だと、山賊団員たちも嬉しそうにはしゃいでいた。当然、バラントも下心を持っており、その娘を連れ帰ることにした。


その夜、最初に娘を見つけた特権でバラントは真っ先にその娘を抱こうと同衾を命じた。断られれば無理やりにでもひん剥いてやろうと思っていたが、その娘は貴族にあるまじき貞操観念のゆるさで、バラントを拒絶しなかった。むしろほとんど風呂も入らず汗や垢で匂うバラントの身体を気に入ったらしく、バラントもまた二束三文で買うような娼婦とは違う綺麗な娘を抱くことに興奮し、情熱的に抱き合った。
明け方、娘からお慕い申し上げていますと腕枕をしながら言われて。バラントは満足そうにそれを受け入れた。


にも関わらず、娘は山賊団員たちとまぐわうのもやめなかった。すっかり色んな男の匂いをつけられた娘は、山賊団の一員として当たり前のようにいるようになり。どうやら世話好きの気質もあったらしく、盗んできたり狩猟した食材を調理してふるまい皆を喜ばせた。
彼女には兄弟姉妹が他に9人もいるらしく、探されているという話も聞かなかった。まあ、このありさまじゃあ出ていかれた貴族の方も厄介払いが出来たと喜んでいるかもな、とバラントは呆れながら思った。
バラントは、娘を独占しようと思わなかった。身体を重ねることについては一番多く抱ければまあいいか程度に思い、それより上手い飯が食えて面倒な雑務を押し付けられる得の方が勝っていた。


だが、娘がひとつ、嫌がることがあった。貴族の家から来た娘は、荷馬車を襲うことをやめてほしいという。
山賊退治、魔物退治、それから農耕や狩猟。それで食べる飯の方がずっとうまいし、調理も楽しいのだそうだ。
すっかり胃袋と股間を握られていた男どもは、娘の機嫌を損ねないためにそれに従った。別に困るものでもない、それよりこれまで通り過ごせる方がずっと大事だ。


そうしてバラントは、ひとつの気づきを得る。山賊退治をするにあたって、冒険者ギルドから依頼を受けた方が実入りがいい。
自分には既に居場所があるから所属するつもりはないが、時には依頼を受けて働いてもいいだろう。
ついでに美味い酒や上等な女を新規開拓できれば儲けもんだ。


バラントは最後に娘を一晩独占し、成果が出る迄しばらくこの温もりから離れることを名残惜しみながら。
山賊団を出て、出稼ぎのように旅立つのだった。

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