容姿・経歴・その他メモ

とある朽ち果てた古城の地下室で彼女は目覚めた。

彼女はルーンフォークと呼ばれる人造人間であったが、
彼女の周りには、彼女を造り出した者も…いや、何者も存在しなかった。

彼女が唯一持っていたものは、微かな記憶の欠片。
多くの者に愛され、煌びやかな舞台で皆を魅了した、あるニンゲンの記憶。

記憶の世界に魅了された彼女は、そのニンゲンと同じ名を名乗ることにした。

無人の古城を抜け、記憶の中の世界を求め、彼女は歩く。

野を越え、森を越え、山を越え……
一体どれだけ歩いただろう。
……どれだけ歩いても、記憶の世界は一向に見つからなかった。

記憶の断片は、彼女にとって唯一の支えであったが、
次第に、その記憶は彼女の心を蝕むようになる。

――ニンゲンの記憶であったソレは、決して自分のモノではないと、理解してしまったから。


不安と孤独に苛まれながら、徐々に、徐々に、歩む速度も弛んでいく。
ついには、足も動かなくなり、力尽きたように彼女は崩れ落ちた。

深い森の地に躰を沈め、絶望の中、自らの活動を停止しようとした矢先、
一人の少女が自分を覗き込んでいることに気づく。

それは、彼女の記憶の中でも、最も色濃く残る
ニンゲンの姉と瓜二つの少女だった。


むろん、その少女は人造人間である彼女のことなど知る由もない。

だが、少女は、彼女の生い立ちを、これまでの旅路を、心の叫びを。ただ黙って聞き届けた。
すべてを聞き終えると、少女は、はにかむように、笑った。

「にへへ…だったら…テンカがなーちゃんの本当のお姉ちゃんになってあげるね…」

そうして彼女は冒険者であるテンカと同じ道を歩むことになる。

この記憶は、おそらく何者かに植えらつけられた記憶、紛い物である。
だが、たとえ人造の身と虚構の心であろうとも、いつか、自身の真実となる時が、くるのだろうか。

セッション履歴

収支履歴