彼女は小さな村で育った。
お父さんは植物学者で良く綺麗なお花を見つけては、私の頭に付けてくれていた。
お母さんは私が生まれてすぐ亡くなっちゃったけど、優しい人で村でもすごく人気だったみたい。
けどあまりお母さんの事は話してくれない。
お母さんの亡くなった部屋には、亡くなってからずっとある花瓶には、夜に輝く猩々緋色の綺麗なお花が飾られていた。
お母さんと同じお花が欲しいってお父さんに言っても、もう手に入らないみたいでお父さん自身が研究して、作れるか研究してるみたい。
私は幼い頃、大きな病気を患っていた。
体を動かす事に支障はないが、日に日に身体は黒く変色していき、そんな私でも村の住民は良い人達で良くしてくれていた。村自体は小さく皆老人や30代以降しかいない過疎村だ。
只事ではないと思った両親は病院、神官や医者に尋ねたが未知の病気らしく治りもしなかった。
その後村人全員で緊急会議が行われた。
そんな時、たまたま自分の家の屋根裏で本を見つけたすごく埃がすごくとても難しい神紀文明語で書かれた本だった。
そこには色々な病気に効く薬草やきのこ、お花が書いており、そこには日に日に黒く変色していく体に効く花があるみたいだ。その後にこの病気に関する注意事項が書いてあったが元々古い書物のせいか文字が掠れて、読む事が出来なかった。早速、この病気に効く花を取りに近くの森に出たが、一向に見つからない。
お父さんにその本の話をすると、悲しそうに語ってくれた。
「その病気の特効薬はそのお花なんだ
一つのお花につき、一人分の効果だ、
お母さんもその病気で亡くなってしまった。
本当はこの花を使いたかったが君のお母さんは優しい人でね、この綺麗に輝くお花はもう存在しないんでしょ？娘にもこの病気が発症するかもしれない。その時に使ってと笑顔で言うんだ。」
私は涙ながらにその話を聞くとお父さんが母の花瓶から花をつけ、頭につけてくれた。
「これがある限り、君はの病気は治っていくよ
お母さんの形見だ、大事にするんだぞ☺️」
と涙ながらに受け取った。
その後、少しずつ黒く変色する身体が治っていくと同時に両親や、村の住人が体が黒くなっていっている事に気づいた。
あの本を父親や他の村人達に見せたが、なにが書いてあるか分かっていない様子だった。
いや、きっと父や分かっていたんだ。
調子もすごく良くなさそう…
早くみんなの分のあの花を見つけきゃ
絶対あるんだ！
そう日々探している間にも村の住人は黒く変色していく一方だった。
そして探す事1ヶ月ある日、月夜に輝く猩々緋色のお花が沢山生えていた。その日は満月の夜最もこの花が輝く時と父から教わっていた。
やった！見つけた！みんな喜ぶだろうなぁ〜と帰っていると、
そこには村人全員が真っ黒に変色し倒れていた。
え？なにこれ…
みんなに触ろうとすると体が黒く変色する
真っ黒に変色したお父さんに聞くと、「綺麗な花だね。君はその花を見つけられたんだね。僕の研究は無駄じゃなかったのか」その後も「よく聞くんだカエデこの病気は感染するんだ…そして末期、つまり真っ黒になったらもう戻らない。」
ごめんなカエデ本当は村の住人にはこれが感染病って伝えていたんだ。
カエデがこの病気にかかった時緊急会議を開いたんだ。もう感染病だと気づいた頃には恐らくある程度の数は感染してしまっているが、私達の中に感染してない物もいると思う。だから逃げてくれと、そして感染してしまっている者達は長くは持たないと。
みんな残ると言ってくれたんだ…
カエデちゃんと最後まで一緒に楽しく居ようよってさ。全くどこのお母さんに似たのかな。
ここでみんなが死ぬ時までカエデと共に暮らしていくって。
だから気負うなカエデ、君はこれからどこまでいける。肌だって黒くない。これで他に差別を受けたりはしないし自由だ。その綺麗なお花を付けてどこまでも輝く存在になると私は信じている。
もう皆は助からない。ごめんな俺たちの勝手な判断で、君に大きな心の傷を付けてしまっただろう。
この事実を言わないという選択肢もあったが、
それでは、君がいつか気づいた時、自分を人殺しだと思ってしまう方が嫌だったんだ。
みんなカエデと最後まで一緒にいたかった。
そこに悔いはないよ。ごめんなダメな父親で
許せとは言わん、綺麗に生きてくれ…ﾊﾞﾀｯ
その後本をもう一度見てみると注意事項に人から人へ感染するような絵が書いてある。