幼い頃から蛮族達に奴隷として育てられてきたリルドラケン。
色んなことにこき使われた挙げ句捨てられ、途方に暮れていたところを1人の冒険者(ご主人様)に拾われ、そのままその人の家で家政夫として働くことになった。
働いてるうちに、デイルスの内に愛とか恋とか、一般的にそう呼ばれる感情が芽生えてきた。芽生えてきたが…ちょっと独占欲が強目に出てきた。どういうことかと言えば、隙あらば監禁してくるタイプの、そういう感じになってしまった。

そんなある日、ご主人様が冒険の途中で死んでしまった。デイルスはとても泣いた。泣いて泣いて泣いて、それでも立ち直ろうとした。
そして一人で暮らしていると、ある一冊の本を見つけた。蘇生に関する本だった。
これ幸いと、デイルスはその本に書いてあった操霊術を勉強して、棺桶に入れて地下に安置しておいた死体にその魔法を使った。すると

「ﾊｧｲジョージィ、調子いい？」

そんなおどけた声とともに、1人の何か…悪魔っぽい奴が目の前に現れた。操霊魔術使ったはずなのに何故、そんな疑問そっちのけでその悪魔は話しかけてきた。
そいつによると、彼はイヴィレイスと言う名の悪魔で、元々ご主人様に憑いていたらしく、死体に残っていたものをデイルスが操霊魔術で復活させてしまったらしい。
で、イヴィレイスは取引を司る悪魔らしく、「何か対価を支払う代わりに願いを一つ叶える」とのこと。
なので早速「ご主人様を生き返らせてくれ」と頼んだ。
「死者の蘇生、ねえ…高くつくけどいいの？具体的にはお前の魂貰うけど」
無論そんなのは承知済みだったデイルスはぱっぱと契約した。契約書読めなかったけど。
あと、対価を支払うために悪魔の体の一部を取り込み、その悪魔の宿主とならなければいけないらしいので指を取り込んだ。

斯くして、ご主人様は生き返ったのだった…うん、生き返った…生き返ったのだが…意識までは戻らず、今は植物状態でずっと寝ている。
でもデイルス的には「僕がいないと生きていけないご主人様…かわいい…好き…」って感じらしいので多分ヨシ。イヴィレイスくんドン引きしてるけど。
あと魂奪われてるはずなのに何故か元気。まあリルドラケンの生命力だし多少はね。
写真映りが悪いのは魂を奪われているせいで存在が希釈化しているかららしい。