フルシル様を信仰するきっかけになった出来事が10歳頃にありました。実際に啓示を受けたのは13歳頃だったのですがね…。
上にある通り、13歳頃にフルシル様に啓示を受けて、プリーストとなることができました。また、神聖魔法を使えるようになったため、七色のマナの学徒となるための準備も急ピッチで始めました。

ユーシズにて6年間、七色のマナに通いました。イネさんとはそこで知り合いましたね。生徒の信仰等についても尊重されていたため、居心地が悪いこともなかったです。
卒業生の中では優秀な成績を修めていた訳ではありませんでしたが、特に滞ることもなくスムーズに卒業することができました。

ある程度の知識と野伏としての能力を活かせるだろうかと、対奈落教会議の活動に積極的に参加していた時期です。実態調査を主な活動としていましたが、戦闘になることも少なくはありませんでした。その時にとある神官の先輩に色々教えて頂きました。【奈落反転神術】もその一つです。
今までとは打って変わった環境でした。今までは、ゆったりとしていた日常が普通でしたから。正直に言うなら、辛い日々ではありました。
…その中で、ある日下した判断をきっかけに、ここでの活動をやめてサンドキアに帰ることにしました。

平穏な日々に戻ってきたわけですが、いざ戻ってみると、あれは夢だったんじゃないのかという錯覚すら覚えました。それらが夢ではないと証明する物は沢山ありましたが…。
あんなことがあっても、一応神殿勤めの神官として活動ができたのは幸いでした。
最終的には平穏な日々に飽きてしまい、色々な口実や仮の名目を立てて貰ったりすることで、このグレンツェ村に来ることになったのですが…。

今が落ち着いているというつもりはありませんが、10歳頃の私は比較的好奇心旺盛…というかやんちゃと言えたと思います。
これと言った目的もなく、ただ友達とサンドキアの端の方からブルライト地方を見下ろすのをただ楽しんでいた時期がありました。
ある日、その場所はサンドキアの進行方向とは逆に位置していました。そんな日に、運悪く私は足を滑らせてしまいました。そもそも離れていく地面、さらにスリップストリームのせいでほぼ風にも乗れず、帰還するのは絶望的だったでしょう。
その時に、後ろから突風が吹き付けて来て、その風に飛ばされるように地面に投げ出されました。直後の嵐に先んじて吹いた風のようでしたが、私にとってはその雨風に命を救われた形になります。この日から、私はフルシル様を信仰するようになりました。

結論から言うと、奈落教のマントでラーリスの信徒となってしまった方をその場で殺害しました。ここまでの経緯でも話した、私に色々よくしてくれた先輩でした。
交戦中、奈落教のマントもなしにラーリスの特殊神聖魔法を行使するところを確認してしまったのです。
もちろん、染まってしまった人間が元に戻るはずもないため、そういう人がいれば、他のメンバー達がその人を処分することになります（今回はその先輩をです）。
その時は数人の小隊としての行動だったため、まずは状況証拠を他のメンバーに提示しました。結果、この場での処分をしても作戦行動に影響がないとして、即座に執り行うことになりました。…私がです。
理由は単純でした。（その先輩を除けば）その場で筋力が最も強かったからです。それと、本人が『殺されるなら自分が手塩をかけて育てた後輩がいい』と言ったのもあったのかもしれません（言っていたのは事実ですが、決定に影響があったのは分からずじまいです）。
実行は一瞬でした。休憩のタイミングを装い、下ろされた先輩の剣を抜刀し、その剣で正確に先輩の動脈を切る。即死でした。万が一遺言で優しい言葉をかけられていたら、逆に心に大きな傷を負っていたでしょうから、結果的にはよかったのかも知れません。
殆どの遺品は遺族の元に届けられるのですが、本人を切りつけたそのものである剣は、縁起が悪いと突き返されてしまい、流れで私が持つことになりました。
『lauren』、花言葉を元につけた武器名だそうです。とはいえ、この名のままにしておくのも…となり、私からも名前をつけて繋げることにしました。
『astarec』、花言葉について深い理解があるわけではありませんが、『あなたを忘れることはできないが、後を追うつもりもないので、せめて離れていよう』というつもりでつけました。名前から『lauren』を消してないのは、私がこの過去を精算できていないと考えているためです。私を縛る鎖足り得るかはわからないですが…。

空の書を捜索するという任務です。無理難題ですから、仮に達成できなくとも、何かとやかく言われることは無いですからね。
それはそうと、空の書についての手掛かりを見つけられれば、私はそれを逃すつもりはないのですがね。