身長175cm。黒に限りなく近い茶色の長髪に青目。
深く被った黒い帽子に黒い外套、そして黒い衣服ときてしまいには黒い靴を履いた全身黒ずくめの相当怪しい外見。何なら翼や角まで黒い。とどめに威圧感を感じる顔付きをしている。
こんな見た目の上に蛮族(しかもドレイク)、そしてよりによって魔神使いのため、完全に人々から忌み嫌われ避けられているが、先祖返りが起きた結果性格は真っ当な常識人となっている。
また、身体中に刺青を入れている。
時々顔に白塗りやら黒い口紅やらなんやらで化粧(ペイントに近い？)を施しているが、物凄く怖い。
ついでにギターが上手い。
脊椎に奇病を患っており、短時間に激しい動きをすると激痛が走る。

俺はかつての大破局の際、蛮族を裏切って人族の味方をしていた。理由は単純だ。俺は、人族が滅ぼされなければならないような種族だとは思ってなかったからだ。
…確かに彼らの手によって俺達の仲間は沢山殺されたし、その上地底に追いやられて長い年月の間屈辱を噛みしめることになりはした。だが…そこまでされるような程の何かを俺達が先にやってしまったからこそ、人々は俺達を敵だと思うようになってしまっただけなんじゃないのか一一。
きっと分かり合えると思って、俺は人族達を蛮族の軍勢が来る前に避難させたりしていた。蛮族側への報告には、いつも事実とは真逆の大嘘をついていた。
だがある時裏切りがバレ、俺は別のドレイクが引き連れてきた軍勢に囲まれ、魔剣を奪われてしまった。急激に力を失って、俺はその場に倒れ伏し、意識を失った。
…そこからの記憶は暫くない。処刑をされなかった上、魔剣を砕かれもしていなかった辺り、恐らく洗脳か何かを施して働かせていたか、封印されていたかの2択だろう。
俺が意識を再び取り戻した時、そこにはニッキーと、1人の女性のナイトメア…セライナがいた。
彼女はニッキーと協力して俺の魔剣を取り戻してくれたらしく、俺に魔剣を差し出してきた。
…今思えば、一目惚れだったんだろうな。
俺はその日から、彼女とよく接するようになった。感謝の意を伝えたいという名目で色々手伝いをさせてもらっていたが、実際のところは俺が彼女の傍に居たかったというのが大きかった。
ニッキーの奴は俺の気持ちを即座に見抜いて、よくからかってきた。…腹が立ったから何度か翼で引っぱたいたことがあったな。
そしてさらに長い月日が経った時、俺は彼女に好意を伝えた。
…その日の夜は、喜びであまり眠れなかったのをよく覚えている。
その後、俺達は、迫害がないようにこっそりと辺境で暮らしていた。
だがある日、少し2人で外出していた俺と彼女の元に沢山の人族達がやって来て、襲いかかってきたんだ。俺達は何とか和解しようとしたけど、向こうは全く聞く耳を持ってくれなかった。何度も彼女への攻撃を庇っている内に俺は衰弱していき、遂には地に伏した。
薄れゆく意識の中、俺は眩む視界で人族に連れて行かれる彼女を見ていることしか出来なかった。
…しばらくした後、ニッキーが俺を見つけて叩き起した。
俺は周囲に飛び散った自分の血を見て、先程まであった事が夢ではなかったと思い知らされ、その場に泣き崩れた。