容姿・経歴・その他メモ

規律に厳しい環境で育った
純潔である
裕福な家で育った

戒律を尊ぶべし。
戒律、規律、規則、どんな言い換え方をしてもいいがそれが意味することは原則として一つ。
ルールである。
ルールは大事だ。
無ければ民草は暴力に怯え、暴力を振るい、暴力に溺れることだろう。
暴力とは何も物理的なものだけでは、勿論ない。
物理など暴力の形のほんの一つに過ぎない。
金銭、社会、政治、この世のありとあらゆる物事がその危険性を孕んでいる。
この国のこの街の、そのルールに最も深く携わる我がローゼンバート家に生まれたことは、私からしたら実に誇らしいことであった。
幼い頃は父からのその厳しさ故、幾度となく涙を飲んできた。
裕福な家庭だからこそ厳格であるべきだという父の鬼気迫る顔には幾度となく涙を飲まされた。だがそんな父の業務の一環である司法裁判を見せてもらった時、決まり事を守らなかった人々の起こした事件・事故のその先を紐解くと、成程父手ずから私に手解きを施して下さったその有り難みも分かろうというものだった。
その家に生まれたからには、私も立場ある者「ノブレス・オブリージュ」を貫かんと、邁進するのみである。
…文句が無いとは言わないが。

さて、そんな私に父から暫く旅に出よとお達しがあった。
曰く、「お前の思うノブレス・オブリージュに相応しくあるべく、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する能力を身につけよ」とのこと。

私の家はこの土地の法律、つまり法整備に携わる家の一つである。
それはその土地に関する凡ゆる法を適用出来得る権限を有していることと無関係ではない。
しかしそれは、この地でのみの話。
この地では盗みは懲役になるが、それ以外の地では死罪になる、といったケースも無くはない。
そんな、地域によって差分のある法や規律を、様々な土地を巡り、広く見聞することで養おうというのが父の言い分であった。
…つまり、その時に起きた不測の事態に対して即応できる対応力を鍛えろ、と。
言われたことを噛み砕いて並べ直せば要はそういうことである。
つまりあれだ、私は父から遠回しに頭でっかちと言われたのだろう。
どの口が言えたものかとも言いたくはなったが、言ってることにも一理ある上、正直なところ自覚もあるにはあった。
…まぁ言いたいことは山ほどあるのだが、私がここで言葉をこねくり回しても、今の父には歯が立たないのは明白。
ならば今は精々言われた通り、世を渡り、国を巡り、その地の法を捲り、己が糧としよう。
父の言う、私の理想足らしめんノブレス・オブリージュを全うすべく、旅先で困った民草があればそれを助けよう。

全ては我がローゼンバートの法の元に。

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